孤思庵の仏像ブログ

少し深くの 仏像愛好のブログ続けてます、オフ会に集ってます、貴方も如何?

集メンバーkaさんからの寄稿文

 
「仏像愛好の集」 のメンバー Kaさんからの寄稿が在りました。 
ご紹介の為、著者Kaさんの許可を受けまして、此処に転載します。
 
 
 
2014.10.1010.12 京都・滋賀観仏記
10/10(金)
 常念寺 台風18号が去って良かったぁ~と思う間もなく19号が発生。旅行最終日の午後には遭遇か?と焦らされたり、風邪で声が出なかったりと波乱含みの行程。今回はSBさんとKBさん、二人の男性が一緒の観仏なのでレンタカー移動となった。運転はずっとKBさん、ナビはSBさんにお願いし、女性三人は後部座席で寛ぐ事が出来た。何しろ声が出ないので今回はお寺での応対はOTさんにお願いする。
 神奈川仏教文化研究会のブログで見付けた常念寺は京都府精華町祝園(ほうぞの)にある。7月の観仏時、「祝園」を何と読むのか気になり駅名をチェックしていたので読む事が出来た難読地名。
重文菩薩立像は平安前期の欅一木造。連眉と天衣がW字に絡んでいるのが特徴の仏像。神仏分離で祝園神社の神宮寺から常念寺に移されて来た。薬師菩薩という尊名の神仏習合像として祀られたようだとの事。薬師なのに如来でなく菩薩?という疑問は、神奈川仏教文化研究会のブログを読んで頂きたい。堂々としていてまた拝観したい仏像の一つとなった。
 
 観音寺 観音寺の国宝十一面観音立像は5年位前、SBさん、OTさん始め何人もの方から素晴らしいと言われ急遽予定に入れMUさんと拝観した思い出のある仏像。その時は老住職が案内して下さったが、今回は息子さんである若住職の案内。朗々とした美声の持ち主。個性的で忘れられない老住職も御健在との事。また10/16BS11の「京都国宝浪漫」という番組に観音寺が出るというお話を伺う。
前回は騒々しく落ち着かなかったが、木心乾漆の美しい像を私達のグループだけで静かに拝観する事が出来た。
 
 阿弥陀寺 阿弥陀寺の駐車場は屋根付きで看板が出ているとの事だったが、細い道と曲がり角の連続で行き着くまでが大変。運転のKBさんにはお世話を掛けた。
重文薬師如来立像は台座蓮肉まで榧の一木造。檜と書いてあった本もあったがお寺の説明では榧との事。螺髪、両手先は後補。近くの天満宮の神宮寺から移されて来たらしいが、やはり神仏習合の霊威が感じられる。平安前期の仏像の素晴らしさを改めて教えられた。
 
 極楽寺 阿弥陀寺極楽寺へ行くのか聞かれ、予約はしていなかったがダメ元で行ってみることにする。SBさんが郵便局で場所を聞き到着すると同時に、外から若奥さんが帰って来られ拝観のお願いをする。快くお許しを頂き重文阿弥陀如来立像(鎌倉)を拝観させて頂く。快慶、行快によって造られた像。
1996年の調査・修理をきっかけに像内から文書が見つかり、快慶の没年が1227年ないしそれに近いとわかったという貴重な仏像。その文書の写真が長押の上に張り出されている。阿弥陀様は平成16年に重文指定され東博にお出ましになったとの事。
 
京都国立博物館 10/711/24まで明治古都館で特別展「国宝 鳥獣戯画高山寺」、9/1311/16まで平成知新館でオープン記念展「京(みやこ)へのいざない」が開催されている。金曜日は午後8時まで開場。男性二人が駐車場を探しに行って下さったので、女性三人は最初に高山寺展の行列に並ぶが平日の、しかも会社員ならば終業時間前と思われる時間帯なのに信じられない50分待ち。中に入ってもまるで小腸か大腸かと言うような並び方で鳥獣戯画を見るのは諦める。
出品一覧を見るとお目当ての重文白光神立像、重文善妙神立像と重文の子犬、神鹿が出ていたのでそこだけじっくり見る。重文白光神立像、重文善妙神立像は以前高山寺に電話で問い合わせたところ、京都国立博物館に寄託しているとの事だったので今回展示されているに違いないと予想していた。
京へのいざない展はすぐに入場出来た。全部は見られないので彫刻だけ見る。目玉は金剛寺の本尊大日如来坐像と行快作不動明王坐像。なら仏像館に安置されていた、こちらも行快作降三世明王坐像との三躯で尊勝立体曼荼羅を形作る(以前、金剛寺で頂いたパンフレットを見ると三体とも運慶作と書いてある。何でも運慶作になるのが面白い)。
他に西往寺の重文宝誌和尚立像(中国南北朝時代の伝説的僧)、廬山寺の重文如意輪観音半跏像(四天王寺救世観音(現存せず)模刻)、報恩寺の重文牡丹蒔絵厨子阿弥陀三尊来迎像を納める)などが印象に残った。
 
10/11(土)
 常信寺 ネットでは電話番号がわからず、調べるのに苦労したお寺。結局大津市歴史博物館で教えて頂いたが必ずお礼するように厳重に言われた。管理されている上坂さんの話ではお堂を管理するにも費用が掛かり大変らしい。約束した830に伺うと隣の春日神社の宮司さんとお二人で出迎えて下さった。今回から拝観者に住所・氏名を記入して貰うことにしたとの事で最初のページに書かせて頂いた。
 重文釈迦三尊像は像内にも漆箔のある美しい仏像。由緒ある仏像らしい。釈迦如来坐像を中尊に騎象普賢菩薩と騎獅文殊菩薩が脇侍として従う。何とニューヨークまでお出ましになった事があるという。
 
 金勝寺(こんしょうじ) 「こんぜじ」とルビのある本もあったのでお寺の方に読み方を伺ったところ「こんしょうじ」が正しいとの事。「こんぜ」は地名。以前は事前連絡が必要なお寺だったようだが、問い合わせたところ常時9時から17時まで開扉しているとの事だった。
定額寺だったそうで本堂に重文釈迦如来坐像(平安)、不動明王立像(室町)、良弁坐像(桃山)、願安坐像(桃山)、二月堂に重文軍荼利明王立像(平安)、虚空蔵堂に重文虚空蔵菩薩半跏像(平安)、重文毘沙門天立像(平安)、重文地蔵菩薩坐像(平安)などたくさんの仏像を安置している。また里坊に藤原時代の市文僧形八幡神坐像、女神坐像が安置されているとの事だったので場所を伺うと、かなり下に降りたところのようだったので行かなかった。
「こんぜの里」という道の駅で買い物をする。
 
 橘堂(たちばなどう) こちらもネットでは電話番号がわからず、草津市教育委員会文化財担当の方に伺う。本来15年に一度開扉される秘仏だが拝観させて頂けたとのブログを幾つか見掛けたので、思い切って管理されている吉田さんに電話した。快くお許しを頂いたが吉田さんは地番がわからず、また教育委員会に電話して地図を送っていただいた。
 
市文観世音菩薩立像(平安)は三面六臂で美しい像。天武天皇の髻の一部を頂いて本尊とともに安置したところから髻堂(もとどりどう又はきつどう→橘堂)と呼ばれるようになったとか。教育委員会の方が送って下さった住宅地図では橘堂ではなく観音堂になっている。
 
 梵釋寺 始め、橘堂から石馬寺に向かう途中にある蓮長寺、蓮乗寺などを拝観候補にしていたが、お寺と拝観希望時間が合わなかったり電話が通じなかったりしたので、回り道になるが梵釋寺に伺う事にした。梵釋寺も以前は事前連絡が必要なお寺だったようだが、問い合わせたところ常時9時から17時まで開扉しているとの事だった。
 重文阿弥陀如来坐像(平安)、は高い宝髻、胸に瓔珞を付けていたため、長く観音像として信仰されて来たが宝冠阿弥陀と判明した像。衲衣は通肩でU字型に胸を開けている。
 本堂内でおリンを始め、様々な法具の音を出させて頂き楽しませて下さる。また鐘も突かせて下さった。また縁側では老夫人が縫い物をされていたが、庭に置かれた籠の中の手作りイチゴ型ストラップを勧められるまま沢山頂いて帰る。
 
 石馬寺  「かんのん坂」は登り口の石段の脇に貸し出し用の杖が置かれている程厳しい登りの石段。聖徳太子ゆかりの寺で、太子の馬が石になって池に沈んだため石馬寺と名付けられたという。
 宝物庫の中には国の重要文化財が多数安置されている。平安時代阿弥陀如来坐像、十一面観音立像2躯、大威徳明王騎牛像、二天立像2組、鎌倉時代役行者倚像、前鬼・後鬼。
 境内はパワースポットらしいし、予約なしで拝観出来るのでありがたいお寺だ。
 帰りは車で琵琶湖大橋を渡って頂いて京都のホテルに戻った。大橋を渡り終えて、下から見上げた大橋のライトは素晴らしかった。10月の土曜日なので盛安寺によってみるが、時間が遅かったためやはり収蔵庫は閉じられていた。
 
10/12(日
 神護寺 10/1113の五大虚空蔵菩薩開帳日に合わせて伺う。12日午後からは台風の影響で雨が降り始めるとの天気予報だったので、石段が急な神護寺には午前中に行くように計画変更した。
 神護寺には以前クラブツーリズムのツアーでMUさんと行ったことがある。その時は金堂安置の榧一木造国宝薬師如来像(天平)の拝観は外陣からだったのが、今回はすぐ目の前から拝観させて頂けて嬉しい驚きだった。素晴らしい迫力の仏像で、風邪のため声が出ないからだけでなく言葉もない。国宝五大虚空蔵菩薩貞観)は5月の3日間と10月の3日間だけの公開。多宝塔内に横一列に安置されている。宝冠、垂髪、持物、彩色は後補との事。色々な本に業用(ごうよう)虚空蔵と書かれている像が、羯磨虚空蔵(業用)になっていた。
 
 西明寺 車を神護寺側の駐車場に置いたまま徒歩10分位の西明寺に向かう。
本堂厨子内の重文釈迦如来立像(鎌倉)は清凉寺式。重文千手観音菩薩立像(鎌倉)は本堂の脇陣に安置されている。
事前に確認の電話をしたがずっとお留守のはずで、ご住職が受付に座っておられた。
 
西教寺 昨日の道を戻り、大津市坂本の西教寺に向かうが大きなお寺でびっくりする。さすが天台真盛宗本山だけの事はある。行快作阿弥陀三尊の拝観が目的だったが大津市歴史博物館に寄託しているとの情報もあったので、歴博とお寺に事前に確認したがお寺にあり拝観出来るとの事だった。ところがお寺の受付や中で聞いてもはっきりせず、通り掛かったお坊さんに至ってはどこにあるかわからないとぶっきらぼうな返事。在家の信者さんのための集まりがあったようで、本来拝観出来るはずの仏像も拝観出来ない時期だったらしい。事前に電話しているのに何で教えてくれなかったと腹が立つ。大きなお寺では職員も仏像の事を知らず、返事も当てにならないとまた思う。同行の皆様には本当に申し訳なかった。
本堂の重文阿弥陀如来坐像(平安)と身代わりの手白猿(てじろのましら)は拝観出来た。
 
大津歴史博物館 10/1111/24まで智証大師円珍生誕1200年記念 企画展「三井寺 仏像の美」展が開催されている。150点余りの出陳があり、殆どが園城寺所有のものなので驚く。5/17護法善神堂(園城寺)に行った時かなり並んで拝観した、重文護法善神立像(平安)がすぐに見られたので「あの行列はなんだったの?」と思う。また水観寺(園城寺)で見当たらなかった二十八部衆立像(室町)も拝観出来た。
最終日の午後がいまいちの観仏になってしまったが、雨に降られることなく、また1人では行くことが難しい寺にも行けて満足の行く三日間だった。皆様お世話になりありがとうございました。
 
 
★ 仏像愛好の集 のメンバー Kaさんからの寄稿が在りました。 ご紹介の為、此処に転載させて頂きました。