孤思庵の仏像ブログ

少し深くの 仏像愛好のブログ続けてます、オフ会に集ってます、貴方も如何?

KNさんの 「京都・奈良・大阪・神戸観仏記」

【 「仏像愛好の集」のKNさんから 投稿がありました。 掲載します。】 


2016.3.1213 京都・奈良・大阪・神戸観仏記


3/12のみ公開の伝香寺地蔵菩薩像内納入品を拝観したく、前々からこの日の関西行を計画していたが、4/89も京都・奈良へ行くことになり今回は延期して伝香寺は来年にしようかとも考えた。しかし京都国立博物館二尊院の釈迦と阿弥陀が出展されることがわかり、今回の関西行を決めた。同行者はMUさんと、この日厄日か東京駅エレベーターで危うく事故に巻き込まれそうになったり、奈良行近鉄急行車内に荷物を忘れたり(無事回収)とお騒がせのJUさん。


 


3/12(土)


 京都国立博物館 安祥寺重文大日如来坐像、金剛寺重文大日如来坐像・重文不動明王坐像、阿弥陀寺重文薬師如来立像等数々の重文が並ぶ中、二尊院重文釈迦如来立像(鎌倉)・重文阿弥陀如来立像(鎌倉)を拝観する事が出来た。5年位前二尊院に伺った時は、縁側の外側からはるかかなたの像を拝ませて頂いただけだった。今回はガラスケース越しではあるが納衣の内側の截金もはっきりと見えた。4/8には同じく釈迦と阿弥陀の二尊を本尊とする遣迎院へ伺うので比較するのが楽しみだ。


 


 伝香寺 京都駅から近鉄奈良駅へ出て伝香寺に向かう。地蔵菩薩着せ替え法要の時は拝観料無料だったが像内納入品開帳日の今日は有料(400円)だった。


お目当ての地蔵菩薩像内納入品は本堂内左側のガラスケースの中に収められていた。解体修理時に頭部に絹糸製網袋入り碧瑠璃舎利壺(仏舎利薬師如来像を込める)、腹部に宋版細字法華経、願文3通、結縁交名、左大腿部に十一面観音立像が納入されているのが発見された。妙法尼願文に納入の仏舎利(釈迦)、薬師如来、十一面観音、本体の地蔵を春日四所明神の本地として奉籠するとあるそうだ。


十一面観音立像は最も古い長谷寺式十一面観音の作例になる。薬師如来も十一面観音も驚くほど小さいのに精巧に出来ていて見飽きることがない。碧瑠璃舎利壺も濁りのない美しい青色だった。


 

 今までバスか車で移動しこの間
を歩いたことがなかったので気付かなかったが、近鉄奈良駅方面から東大寺奈良国立博物館に行くには地下道を歩かなければならないようだ。雨の時は便利そうだが夏は暑そうだ。


神奈川仏教文化研究所HPで三月末まで旧眉間寺三如来像が展示されていると知ったので行くことにした。眉間寺というのは聞いた事がなかったが、明治の廃仏毀釈で廃寺になった奈良の寺だそうだ。


眉間寺が廃寺になった後は東大寺に移され、釈迦・薬師両像は阿弥陀堂、重文阿弥陀如来は収蔵庫に安置されているとの事。阿弥陀如来坐像の蓮弁が吹寄せになっていたが、裳が元は魚鱗吹きの蓮弁に掛かる形になっていた。


 特集展示「二月堂修二会」には二月堂本尊光背(銅造舟形光背)が展示されていたが、線刻画が美しかった。


 


 奈良国立博物館 特別陳列「伊豆山神社の歴史と美術」「お水取り」、名品展「珠玉の仏教美術」が展示されていた。「珠玉の仏教美術」は仏像の展示が少ないので、なら仏像館が4/29にリニューアルオープンされるのが楽しみだ。


 この後、近鉄JRを乗り継いで宿泊先の大阪・京橋駅そばのホテルに向かう。地図にOBP連絡通路経由とあって何かと思ってが、案内板を見て大阪ビジネスパークの略とわかった。確かにビジネス街のようだった。ホテルの住所は城見という所だったが、17階の部屋の窓から大阪城の石垣が見えた。



3/13(日)


 慶瑞寺 せきどさんのHPには拝観が難しい寺院として載っている。しかし昨年高槻市立しろあと歴史館での公開時、わずか数日の差で拝観しそびれるため是非拝観させて頂きたいとJUさんがお寺に電話し、仏像がお戻りになっていれば拝観させて頂ける事になった。ところが歴史館での公開は終わっても会期中は戻さないとの歴史館の返事で拝観はかなわなかった。そのような経緯を書いた手紙を出させていただいたところ拝観を許可するとのお返事をいただくことが出来た。


 奈良に宿泊する予定だったので拝観時間を1015にお願いしてあったが、宿泊先を大阪に変更したため915に変更して頂けないか電話したところ930なら良いというお返事だった。伺ってみて、毎週日曜日には座禅会がありその後お斉を召し上がるため朝はお忙しいとわかった。


 作務衣姿の座禅会出席者の方が「私が案内します」と仰って下さった。座禅をする建物の奥に位牌堂があり、須弥壇の上の方に重文菩薩坐像(奈良―平安)が安置されていた。榧の一木造り、連眉で目尻が上がった目付きが鋭く異国風なお顔立ちだが、中国の檀像に学んだ日本の仏師の作らしい。東京国立博物館にお出ましになったこともあるとの事で、「一木の祈り」展の事かと気付き帰宅後OTさんに図録を調べて貰ったところ大当たりだったので写真と説明部分をコピーして頂いた。


 帰途、私たちが駅へ向かう途中、自転車で帰宅する方が「ご苦労様です」と挨拶して追い抜いて行かれたり、パンフレットを渡し忘れたと走って追いかけて来て下さる方がいたりと感じのいいお
寺だった。また、履物を脱ぐ時、例外もあるらしいが黄檗宗では横向きに、臨済宗では舟形にすると教わった。


 


 神戸市立博物館 神奈川仏教文化研究所HP2/63/21まで「須磨の歴史と文化」展が開催される事を知った。美しい十一面観音の写真も載っていたので是非この機会に拝観したいと考えた。と同時にやはり神奈川仏教文化研究所HPで見た非公開文化財特別公開の大阪・三津寺の仏像群にも心惹かれ、大いに迷った。しかし「関西在住の方々は、訪ねてみてはいかがでしょうか」の一言で、関東在住の私たちはやはり神戸市立博物館の十一面観音だと決心が付いた。


 須磨寺の重文十一面観音立像(鎌倉)は期待を裏切らない素晴らしい仏像だった。異国風のお顔立ちで慶派仏師の作との事。右膝を少し曲げて立つ姿も纏わりつくような衣も何もかも素晴らしい。光背には阿弥陀如来、飛天、迦陵頻伽が配され、雲気が目に
見える形で表される等こちらも素晴らしい。立ち去りがたい美しさだった。


 仏像では他に県文聖観音立像、県文薬師如来坐像如意輪観音坐像、釈迦如来坐像、十二面観音坐像、元三大師像が出展されていた。


 


 あべのハルカス美術館 神奈川仏教文化研究所HPで知った「長谷寺の名宝と十一面観音の信仰」展が2/63/27迄開催された。長谷寺では気付かなかった本尊十一面観音立像の脇侍、重文雨宝童子立像(室町)と重文難陀龍王立像(鎌倉)が出展されるというので前売り券を購入した。雨宝童子毎日新聞社の国宝・重要文化財大全では赤精童子(せきしょうどうじ)と載っているのでネットで調べてみたら、仏像専門店の広告に「正確には金剛赤精善神雨宝童子」と書いてあった。両像とも堂々として存在感があるが、本尊の傍では小さく感じられるだろうと思った。


 また9躯の十一面観音立像が出展されていたが、須磨寺の重文十一面観音立像を見た後ではどれも色褪せて見えて残念だった。神戸市立博物館では図録の写真撮影OKだったが、こちらでは不可だったので絵葉書を三枚購入した。


この展覧会は私にはイマイチだったので、これも行ってみなければわからないが、大阪・三津寺の仏像群を拝観すれば良かったと後から思った。                     KN


「以上 KNさんの投稿でした」







【コメント】


ある記事に・・・、
 2016年4月12日に岡山で33年に一度の御開帳が

2016年03月23日 08:46
. kurataid たった一日だけの御開帳です。 
趣味人倶楽部であと一名だけ8時半にJR須磨駅に集合して 
この御開帳のお寺他巡るツアーの参加者を募集しています。 
趣味人倶楽部で探してください。

と在りました。

また別の記事には、
33年ぶりの御開帳 須磨寺本堂 特別ご開帳 期間:2月18日(木)~2月24日(水)

かなりの人出でした。須磨寺本堂の秘仏「木造聖観音坐像」。拝観料はなかった。本堂の中央に安置されていました。少し距離はありましたが全体が拝観できました。神戸市博物館に正面の写真が掲載されていました。製作年代は12世紀後半らしい。

十一面観音立像 84cm 寄木 玉眼 重文 神戸市博物館にて展示 良く拝観できました。



 同じ仏像ですよね? 貴重な拝観を良い環境でご覧になれて、良かったですね!削除
2016/3/29(火) 午後 2:33[ 孤思庵 ]