孤思庵の仏像ブログ

少し深くの 仏像愛好のブログ続けてます、オフ会に集ってます、貴方も如何?

KNさんの 寄稿文 「2016.4.8~9 京都・奈良観仏記」

KNさんから 寄稿文が届きました。
以下KNさんの寄稿文です。

2016.4.89 京都・奈良観仏記


東博の会メンバーのTHさんが東大寺別当で中性院住職の奥様とお知り合いとの事で、普段非公開の中性院弥勒菩薩立像と大仏蓮弁を間近で拝観させて頂ける事になり、私も参加させて頂いた。また前日の予定を決める際には、長年行きそびれていた鷹峯の遣迎院を加えて頂いた。メンバーはいつものSBさん、 OTさん、JUさん、MUさん、私KNの他に、企画をして下さったTHさんと東博の会メンバーのFJさん、KTさん、BTさんの総勢9名。


 


4/8(金)


 遣迎院 新学期が始まる時期の4/8のみ開帳のお寺のため、今まで行きそびれていた。今年こそと思ったが、娘一家が季節外れのインフルエンザ罹患、孫の旺聖君の保育園入園に伴う慣らし保育での早帰り(結局インフルエンザのため登園は翌週からとなった)、じじの入院と重なり、ここ数年で一番忙しい時期に当たってしまった。


 京都駅で待ち合わせ、地下鉄烏丸線と市バスを乗り継ぎ鷹峯源光庵前で下車。数分で遣迎院に着く。


本堂には鎌倉時代の重文釈迦如来立像(鎌倉)と重文阿弥陀如来立像(鎌倉)が並んで安置されている。しかし何と格子の入ったガラス戸越しでしか見ることが出来ない。THさんに去年の事を聞くと、ガラス戸を開けて下さったと言い、ご住職に頼みに行って下さった。ご住職は他の人が来るといけないからすぐに閉めるとおっしゃりながらも十分に拝観させて下さった。


 向かって左側にお立ちになっている阿弥陀如来立像は快慶作で釈迦如来立像とはお顔立ちがかなり違う。やはり阿弥陀如来立像の方が、さすが快慶と感じさせる。


また先月京博でも二尊院の釈迦如来立像・阿弥陀如来立像を拝観したが、2ヵ月続けて発遣の釈迦、来迎の阿弥陀の二尊を拝する事が出来た。


 廊下の先の花で飾られた誕生釈迦仏に甘茶を掛けお参りしてから、庫裏で甘茶と桜餅を頂いた。ここで三組に分かれ自由行動になる。


 


 宝積寺 20141月に事前に電話で確認したにもかかわらず節分までは拝観させないと断られた苦い経験があるお寺。今度は大丈夫だろうかと心配になり京都府HPに問い合わせ先として「山城広域振興局農林商工部 商工労働観光室」が載っていたのでネットで問い合わせた。


 鷹峯源光庵前から宝積寺へは市バスと阪急京都線を乗り継ぎ1時間位だが、途中阪急線大宮駅前のうどん屋さんで昼食。関西風の出汁が効いているきざみうどんが美味しかった。この店の看板を見付けた同行者に感謝。


 宝積寺は阪急京都線大山崎駅から徒歩15分位、途中JR山崎駅の側の線路を渡り、前回阿弥陀如来立像を拝観させて頂いた大念寺の前を通り過ぎた先にある。かなり急な坂道を登るので住んでいる人達は大変だろうと思う。


 本堂に安置されている重文十一面観音立像(鎌倉)は院派仏師の院範、院雲の作。院派仏師の作は余り残っていないので貴重な仏像らしい。お厨子の中なので暗くてよく見えないが、お寺の方がいらっしゃらないのを幸いに持参の懐中電灯を付けさせて頂く。すると整っていて実に美しいお姿が現れた。光背は取り付けられた三十三応現神像を含め当初部分が多いとの事だが、彩色も所々に残っている。写真で見るより穏やかなお顔立ちで素晴らしい。また本堂横の閻魔堂には重文の閻魔王坐像ほか眷属が勢揃いしていらっしゃる。


帰りに時間があったので、近くにあるアサヒビール大山崎山荘美術館の庭園に寄り、残りの桜を堪能する事が出来た。山荘美術館入口からは美術館のシャトルバスに乗せて貰いJR山崎駅で下車する。


4/9(日)


 奈良国立博物館 国立博物館パスポートが有効期限切れになるため購入したいのと、この日から特別展「信貴山縁起絵巻 朝護孫子寺毘沙門天信仰の至宝」が始まるのでちょっとだけでも見たいのとで少しだけ立ち寄る。MUさんも同行した。


信貴山縁起絵巻 尼公の巻」は絶対にどこかで見ていると確信したが、帰ってから調べると201410月に東京国立博物館の「日本国宝展」で見ていた。大仏殿大仏の南都焼き討ちでの焼失前の姿を描いた唯一の資料であるので価値が高いとの事。


 


 東大寺念仏堂 急いで博物館を出て、途中から皆様に合流し参加させて頂く。お焼香させて頂いてから安置されている重文地蔵菩薩坐像(鎌倉・康清作)の周りをぐるりと廻らせて頂いた。OTさんからこのお地蔵様は女性だと説明があったと聞かされた。そう言われると優しいお顔立ちに納得出来る。前回拝観した時には気付かなかったが衣文に彩色の模様がくっきり残っている。





中性院 THさんの先輩がご住職の奥様との事で、非公開の重文弥勒菩薩立像(鎌倉)を拝観させて頂く事が出来た。2012年に金沢文庫で拝観しているがすっかり失念していた。今回間近でゆっくりと拝観する事が出来、その優美なお姿に忘れられない仏像の一つになった。興福寺から戒壇院千手堂に移り、昭和初年に中性院本尊に迎えられた仏像との事。


 拝観後、奥様が立てて下さったお抹茶とお菓子を頂いた。


 


 法華堂 国宝不空羂索観音立像を初めとする乾漆造りの国宝仏像の数々を拝観する。


 


 大仏殿 中性院住職の奥様のご紹介で、東大寺学芸員の坂東さんが案内して下さった。普段は入れない回廊から、栄西により中国天台山からもたらされた菩提樹を植えた場所を見せて頂いた。また回廊の出入口から出て大仏殿を横から見せても下さった。


 その後、国宝盧舎那仏坐像の蓮弁近くにぐるりと付いている台上から、蓮弁に線刻された蓮華蔵世界を間近に見せて頂いた。下から双眼鏡で見た事があるが、こんなに間近で見られる機会が来るとは思ってもみなかった。また「万勝院」と線刻された花弁が2カ所あったが、高野山塔頭で、修理時に寄付しているからとの事。


 


 戒壇院千手堂 こちらのお堂も普段非公開で、坂東さんが続けて案内して下さった。1998年に火災が起き全焼し、2002年の再建後に3回だけ一般公開されたとの事。


 中央の須弥壇に置かれた厨子の中には重文千手観音立像と重文四天王立像が安置されている。造像時期は資料により違い、鎌倉、室町、坂東さんが下さったコピーでは南北朝だった。千手観音の金泥、四天王の彩色が鮮やかで美しかった。また厨子絵は復元模写されたもの。


 中央に向かって左側に重文愛染明王坐像(鎌倉)、右側に唐招提寺鑑真像を模して造られた重文鑑真和上坐像(江戸)が安置されている。この像は上海万博に合わせて中国へ出陳、鑑真の故郷揚州の大明寺にも里帰りされたそうだ。


 


今回はTHさんのご尽力で個人では拝観不可能な仏像を数々拝ませて頂く事が出来た。改めて感謝の気持ちをお伝えしたい。ありがとうございました。

また、いつの間にか京都市バス奈良市内循環バスともにスイカパスモが使えるようになっていて非常に便利になった。                               KN記