孤思庵の仏像ブログ

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メンバーの日記転載 若狭・小浜 仏像の旅 第3回 羽賀寺 十一面観音(2) 他に類例のない特

仏像愛好の集 メンバーの暗夜軒さんが他のSNSに投稿されましたので此処に転載致します。③
 
 
古美術商氏がいうのは「奈良様が一部表れているというのは衣の裾が波うって一部巻いたようなところに現われている。この裾の形式は右横に安置されている千手観音(藤原)の衣の裾が横一線に並行になっているのと比べれば明確に違う。足も千手観音は平たく扁平なのに比べてると、甲が膨らんで厚い。」との説明。
そういえば、天衣もぐるぐると手から流れている。他の仏像にも見られるが、とりわけ天衣が長く流れているようである。これも奈良様(盛唐様式の流れ)の表れだろう。手が長いのも古い仏像の特色である。
さらに、古美術商氏は「この仏像には神仏習合のニュアンスを感じる。」という。
なぜですかと聞くと、「照明できないが、説明はできる。それは、この仏像は壇像のうちに分類される仏である。唐伝来のものは別として、壇像風は壇色(木を壇像の茶色などに染め上げる)、彩色、白木のまま(一部唇などに朱をさすなど)他に時代がさがると切金をしたものがあり、4種類であるが、この仏像は彩色の壇像風である。一木と壇像は木ということでは共通するところがある。神木から仏像を造ることは神仏習合であるが、壇像も貴重な木であったので、このことは繋がっているともいえる。ただ、それを証明できるものはない。」とのこと。この寺はもともとは天台宗で、本堂は室町中期の文安4年(1447年)に再建され内陣は密教様式なので、いつもの論でいけば、山岳宗教、密教、壇像、神仏習合ときて繋がっていることになる。
それから気ずいたのは、頭上の化仏の配置も独特ではないか。頭上に頭頂仏がなく、その代わりに髷がある。天冠台が幅広く、髷がありような十一面観音は他にあるだろうか。
いずれにしてもこの仏は独特の風貌をしていて、どのような経緯で造られ、なぜ羽賀寺で秘仏とされてきたのか謎めいた仏である。
千手観音(藤原期)は非常に好ましい。千手とのバランスもうまくまとまっており、顔立ちも素朴であっさりとしている。そういう意味ではレベルが高い。
他に重文では毘沙門天があり、他にも藤原仏(弥勒、釈迦ほか)3体があるが、重文3体が突出している。
なかでも、十一面観音が飛びぬけているところが、この寺の意味の大きいところである、
2014年05月08日 01時30分
 

 
 
 
コメント
1 仏像好きの「孤思庵」  2014年05月08日 23時35分
 
仏像の鑑賞、今回は「仏像はじっくり見て、自分の言葉で感想が言えるようでなければ意味がない」の本領の件ですね。

代用材檀像の事は知ってるつもりでしたが、彩色の壇像風の認識はありませんでした。白檀に似せるためにか、黄土を塗るは知りますが、檀像の定義としては(代用壇像を含めて)香りを殺さぬために唇と髪にの一部の彩色あるも、その他は素木との認識でした。

云われる彩色の壇像風、この羽賀寺十一面の他には、秋篠寺の9世紀の地蔵菩薩と十一面観音がその範疇化と存じますが、それらを私は彩色壇像風とするよりは一木造り彩色像としたいのですが・・・ご意見や否に?
2 暗夜軒さん2014年05月10日 02時01分
仏像好きの「孤思庵」さん
代用壇像が香りを重視したのは、楠が使われた時までで、その後は檜が使われているので、壇像風というのは彫り口の問題で壇像風には香りの問題はありません。
最初に東博でお話ししたときのレジメにも一木造りが成立したいくつかの説を上げましたが、そのひとつには一木造りは壇像から発生したとの説があることを紹介したことを覚えていますか。壇像は50センチ以内のものが多いですが、壇像も一木造りも一本の木からできており、内刳をしないのも共通しているので、壇像風であり、一木造りでもあるのですが、彫り口から壇像のウエイトが大きいと言っているのです。一木でも彩色の仏像は多いですが、壇像風にも観心寺如意輪観音(承和様)のように彩色もあります。
この時代ははっきり分けられす、いずれの要素ももっているのですが、どちらの要素が強いのかです。一木の彩色とに分類することで、見えてくるものはなにもないと思います。無理に壇像風に持っていく気はないのですが、壇像風の要素を取り上げることで、見えてくるものが大きいのではないでしょうか。
秋篠寺の十一面観音は、壇像風ではありません。精巧で写実的ですが、下半身は平安初期を反映して太くはなっていますが、胴はしまっています。いわゆる一木造りの森厳さは感じられませんが、柔らかい肉体表現や写実がはいっているのは、彩色があることの共通性で羽賀寺と比較するより、奈良様、盛唐の様式が入っていることを論ずべきです。秋篠寺が桓武の母で渡来系の高野新笠の出身地であるので異国風の仏像があることを言いたいのですが、古美術商氏から言わせると大寺に最新の仏像があるのは当たり前だ。奈良様も分かってないのに勝手なことを想像で言うなと言われそうです。
3 仏像好きの「孤思庵」  2014年05月10日 07時30分
代用壇像の御教授ありがとうございます。すぐにでも更なるお教え乞いたい質問があるのですが、本日はこれから、生涯学習センターと講演会、法隆寺展に出かけますので、後程にさせて頂きます。

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