孤思庵の仏像ブログ

少し深くの 仏像愛好のブログ続けてます、オフ会に集ってます、貴方も如何?

12月1日 仏像鑑賞会 報告 【その2】 阿弥陀の九品印相

Ninoさんが、12月1日の仏像愛好の集定例会の レポートを纏めて メールしてくれました。  遅ればせながら ブログに 12月度の定例 議事録に代えて、この前のブログに掲載しました。今回はその続きです。


12月1日議事録 ②

午前中は東博本館11号室を見学。孤思庵さんのギャラリートークの続き


 
阿弥陀如来立像 鎌倉時代 13世紀 個人蔵 の前で】
   阿弥陀如来立像
鎌倉時代・13世紀個人蔵

  1. 来迎印を結んでいる
    (阿弥陀の)来迎通仏相施無畏与願印に似て、右手を上げて左手を下げてともにたなごころ)=手の平 を前に向け、それぞれの手の親指と人差し指(または中指、薬指)で輪を作る。信者の臨終に際して、阿弥陀如来西方極楽浄土から迎えに来る時の印相= 来迎印(らいごういん)=摂取不捨印 している。

    古様の阿弥陀の印相は,定まっていないが、平安以降の阿弥陀の印相は、左右ともに同じ指での輪を作っています。(以下は。ネットで見つけたnaranouchi.blog.jpのイラスト。クリックすると新しいウィンドウで開きます

    これには諸説あるようなので、あくまで参考まで、

  2. この図は仏像の入門書などに良く見られますが、 誤謬ありです。浄土教では、生前の行いによって、極楽浄土に生まれ変わるとき、九品往生と言われる 九つのパターンがある、とされています。これは『観無量寿経』に説かれていまして(cf.当麻曼荼羅),それは良いのですが、 九品往生のその来迎の時の上品上生 から 下品下生のそれぞれの来迎印接によって、阿弥陀如来印相が、異なると説明されることが多いですが、それは拡大解釈の誤謬で、九品往生 にはそこまでは説いていません。観無量寿経の九品来迎を描いた、当麻曼荼羅の下縁部や平等院鳳凰堂の扉絵は、不明瞭で確認できないのですが、
    いずれにしても、いわゆる九品印の例はなく、転法輪印もしくは、施無畏与願印が確認できるだけ のようです


    ちょっと難しくなるが、図像文献の『覚禅鈔』に恵運請来九品曼荼羅というものが書かれていて、そこには九品往生印についての記載があるのです。
    ↓『覚禅鈔』には、九品往生印と書かれている・・
    http://livedoor.blogimg.jp/naranouchi/imgs/7/2/724d3c1c-s.jpg 
    この『覚禅鈔』の記述にしても、「儀軌がないために単なる異説の一つとしかいえない」(田村、後述)ので、九品印の典拠にはならないのです。(→而して、後世いろんな展開になってしまう様です。)     

    九種類の
    印相の事が言われるようになったのは、仏像図彙(ぶつぞうずい)からでして、仏像図彙は江戸時代に描かれた仏画集でして、土佐秀信画で元禄3 年(1690年)の刊。であります。九品印の九体阿弥陀は、江戸以降の様で、古い九体阿弥陀の遺作には、九種類の印相の使分けをしていません。

    cf.浄瑠璃寺の九体阿弥陀、然りです。 一方、東京都世田谷区奥沢の九品仏浄真寺の印相は上品上生 から 下品下生に作られていますが、九品仏浄真寺は、越後国村上泰叟寺の珂碩上人(元禄7年1694年寂)を請うて延宝6年(延宝6年1678年)当地に創建したといいますから九品仏のその制作年代は、1678年頃と見られます。仏像図彙が1690年で、九品往生を9通りの印相で表す教義的根拠は他に明確はなく、以上から品往生を9通りの印相で表す教義は、近世になってから日本において考え出されたもののようである。

    整理されたウエブを見つけました。
    九品阿弥陀の印相について,上品・中品・下品の各上生の印を定印とし,同じく中生印を説法印に,下生印を来迎印に当てて九種の印を組み合わせたものが,《仏像図彙》(江戸時代)などに見られ,現在も一般の概説書等に取り上げられているが,これらを説く儀軌はなく,しかも近世以前にはそれに基づいて造像されたものは存在しないことから,この九品印は近世に考案されたものと推定され,阿弥陀の印相としては説明すべきではないとの提言がなされている。【関口 正之】。…

    多くの仏像入門書に九品来迎印と書かれ,説かれています。初学者の陥りがちな 落とし穴です、落ちないようにしましょう!  私は 九品印での解釈よりも、 その上生印は定印(禅定に入っていることを示す印相)、中生印は 説法印、 下生印は 施無畏与願の印相と考えるようにしています

          印によって、仏像の語りかけて来る言葉を理解することが大事。
          ※この像は、左手、右手で親指と合わせる指が異なる。片方は薬指、片方は人差し指 珍しい。
          その意味するところは??です。 どなたか教えて下さい!
           

              【続く】