孤思庵の仏像ブログ

少し深くの 仏像愛好のブログ続けてます、オフ会に集ってます、貴方も如何?

【転載】 暗夜軒さんの発信 ④

かんなみ仏像の里では、つい口癖で薬師如来の時代を「定朝の頃」と言ってしまい、大恥をかいてしまったことから、同行の古美術商からは「あんた、ほんとに仏像のことは何も知らないね。いかに無知か今回よくわかった。だいたい美術展に行き過ぎだ。知識が大切なのではない。肝心なところを知っていることが大切なのだ。この前、荒又宏が茶道のことを話していたが、膨大な知識を持っているが、茶道の本質に触れてない話で、なんにもわかっていなかった。あなたの森羅万象流の美術鑑賞もそれと同じだ。」と言われた。
たしかに私の興味の範囲はだれにも負けないくらいひろい。その分、理解が薄い。寺社仏閣も20台では30歳まで、月に数回、京都・奈良に週末滞在して7年間仏像も見たが、ただ見たというだけでなのだ。わかるということは、100%でなければわかったとはいえない。90%ではわかっていないのだ。
古美術商氏はいう。「知っているならば、博物学的にはならない。大量の知識でなく深掘りすることが大事だ。森羅万象に力点をおいてはだめだ。重要なところを深く掘ることが大事だ。ポイントを深く掘り込んでから論ずべきだ。100の知識より、ポイントの30の知識のほうが大事だ。70のことはよく知っているにすぎない。ポイントを深掘りすることが大切だ。それも重点的な深掘りでないとだめだ。
まずは、唐招提寺と大安寺の仏像からやりなさい。そうすると弘仁貞観が分かる。なめるほどにやることが肝心だ。仏像の数を見るのは様式論でしかない。
ものとのつながりをやらないと一般論だけが繰り広げられることになる。ものとつながらない知識は情報が入ったにすぎない。この意識があったら定朝様という言い方はしない。
90%知っていても10%を知らねば意味がない。90%も70%も30%も大差ない。知識量が優れていることはどうってことはないことだ、ポイント深掘りの作業をしているかどうかだ。知識として羅列することがものとつながらないことが多い。院派・慶派は10%のこと、100%のほうを抑えることのほうが大事だ。」とのことでした。
かれの言っていることは、わたしもまだよくわかっていない。仏教美術を語る人には本だけの様式論だけの人が多いことを言っているのだろう。
いろんな見方があってよいだろうが、プロとしては100%でなければならない。それは、趣味とかではない。わたしも美術が趣味ならば、そんなものはやらないほうがよい。美術とは自分が生きるために真剣にやるものだ。遊びでも趣味でもない。物見遊山に旅行しているのではない。自分の生き様、そのものなのだ。
9世紀と11世紀半ばには仏像の基準作がある。しかし10世紀にはそれがない。そこを判ろうとするためには、かんなみ薬師如来はよいきっかけとなりました。
2014年01月29日 02時22分
 
コメント
1 仏像好きの「孤思庵」さん  2014年01月29日 04時40分
何時もながらの御高説に感服です。
感服どころか怖いようです。

貴兄も、武具から丸物・・・と古美術の間口がお広いようですが、私の仏像趣味も 美術史よりも仏教絡み、図像学的の興味も強く、美術史が弱いを自覚してます。

今後宜しくご指導願います。

それから、「集いin東博」の仲間は「趣味人倶楽部」に入っていない方も多く、此処を覗けないので、Yahooブログの自分の「孤思庵ブログ」に転載致し、観て貰っています。

つきましては貴兄の日記ならびにコメントを「孤思庵ブログ」に転載させて頂きます。宜しく許可お願いします。

何とか皆が観れるコミュニティー的なSNSを作れないかと其方に強い仲間を待っているのです。
2 Aさん2014年01月29日 14時53分
こんにちは~

わ~難しい!
プロと云うのは美術評論家とか大学教授などですか~?

私は大学で「日本仏像史」を学びました。その時本に出てくる仏像を何点か実際に見学に行って説明を受けました。
ですからあくまで美術史としてです。なので様式の変遷が主でしたね。

あなたは鑑定士になられるのですか~?
3 暗夜軒さん2014年01月29日 22時23分
Aさん、

プロというのは、職業をいっているのではありません。美術関係の仕事についていなくても、美術を自分が生きるための糧とするもの、美術を見ることが生きることだという人はすべてプロです。遊びや趣味でやろうというのはアマチュアです。趣味でやることは人それぞれの美術への関わりですから、否定いたしませんが、私自信でいえば、過去から逃れるために歴史や美術に逃避しなければならない成り行きがあり、それは半端なやり方ではできないのです。わかりやすく言えば、自分がなにものであるか覚醒しないようにするためです。
わたしはサラリーマンですが、日本史専攻です。3千点以上を収集したコレクターでもあります。時代は縄文から明治まで日本は当然、中国、東南アジア、ガンダーラからロシアイコン、西洋絵画からルネッサンス絵画まであります。だから100%でないと買えないということで、買いもせず、責任も取らない鑑定士(目に利かない連中)など片腹いたい。
様式は基準あってのものですが、基準作がない時代のものをどう見るかが仏像に限らず、他の美術品でも実力が試されるところです。
4 暗夜軒さん2014年01月29日 22時47分
仏像好きの「孤思庵」さん、

変人同志の会話もここに極まったという感じで呆れられるのではないかと心配しましたが、感服というより怖いようだとはそのとおりだと思います。怖いように突き詰める二人だから二十年以上の付き合いが出来ていると思います。
わたしは、趣味でない生き様としての美術でありたいと思っています。
貴殿が最初に東博で紹介されたとき、「この人は怖い人です」といっていたとき、忍者みたいな暗夜軒というプロフィール以外に怖いという意味がわかっているのかなと思いましたが、わたしがこうありたいと思う美術への姿勢がわかっていただけたことはうれしいです。
この雑談は二人で話した思いのたけを記しましたが、同感される方は少ないかもしれませんが、真剣さというものはこういうものだということで、ぜひブログで紹介してほしいですので、ぜひ転載してください。
5 仏像好きの「孤思庵」さん [削除] 2014年01月29日 23時37分
自分はプロ意識には至りませんが、自分の環境の中で最大限に向き合って続けたいと思います。また、仏像の面白さのメッセンジャーを続けて行きたく思います。

これまで趣味の事なのでと逃げる方が多かったのですが、私以上に打ち込まれる方との対峙に、剣術ではないですが、向かい合えば、相手の力量はすぐに感じます。



他方なのですが、過去に中国古典書籍に興味の「くに」さんと云う、、私には到底歯が立たない、強者に接した事が在りますが、その方も書かれる日記には本性を隠されてました。その方には成功しませんでしたが、貴兄には貴兄文章をブログに紹介を御快諾頂きましたので、今回は梵天灌頂が聞き届けられつつかと思います。されど、人それぞれに力量と環境が違いますので、どうぞ対機説法でお願いします。

今後とも宜しくお願い致します。