6月1日迄の湖東三山の
秘仏同時開帳へ出掛けた。(5月27日の記録)
寺の様子は
デジブックでどうぞ(期間限定)
http://www.digibook.net/d/03c4cfb3901d0a2d62253722..
先日、
武奈ヶ岳へ行った帰りに立ち寄ろうかと思ったが、三山へ行くのはキツそうだったので、今日に持ち越した。
三山の内、
西明寺へは一番回数行っているが、ご本尊の
薬師如来を拝観した事は無く、平成18年に一度開帳されたそうだが知らなかった。
内陣へ入ると、何時もは閉まっている
厨子が開けられている。
厨子の内側にはさらに幕が張られているので、やはり全身を見る事は出来なかった。平安末期の
薬師如来は、てっきり座像だとばかり思っていたが、立像であった。
平安後期らしく穏やかで円満なお顔は、眺めているだけでほのぼのとした気持ちになる。先日の
神護寺薬師如来となんという違いか。下半身の衣紋はちょっと他に類例を知らない珍しい様式。とまれ心惹かれる仏様だった。
金剛輪寺は、次々と景色を変えながら池が続く庭園が素晴らしい。本堂は
鎌倉時代の建築物で国宝、
西明寺の本堂と同様のなだらかな線を描く屋根が美しい。
ご本尊は
行基作と伝えられる
聖観音で
奈良時代、この地方には珍しい鉈彫り。お顔は比較的彫り込まれているが、胴体部分は粗彫りのまま。寺伝では
行基が彫りを進めると木肌から血が流れだしたので、粗彫りのまま本尊としたとされている。こうした仏像は評価が難しい。
寧ろ仏像としては本堂裏側の十一面観音像の方が優れている。この像も平安後期像らしく、浅い彫りと穏やかな表情は、先日京博で拝観した寿宝寺の千手観音像と共通の感性を感じた。又、腰を捻ったその姿は愛知県
蟹江町の龍照院十一面観音像をも思わせる。
百済寺は三山の内、信長の破壊が最も酷く、建築物はこれ以後の再建。本尊は十一面観音で、寺伝では
聖徳太子の発願で霊木の杉を立ち木のまま刻んで作ったとされ「植木観音」と呼ばれる。像高3.2mの大きな仏像だが、
厨子によって下半身が隠されている為、あまり大きさを感じさせない。
奈良時代とされているが、奈良の寺院のどの仏像の様式にも属さない。霊木信仰の仏像は、
金剛輪寺の
聖観音像にも共通の仏像史から言えば、はみ出した存在で、優劣を論じるべきものでは無いのだろう。
湖東三山は何れの寺も山の中腹に構えられた巨刹で、特に
金剛輪寺は500mもの参道を登る、なかなかハードな寺参りだったが、新緑と庭を愛でる日本の寺院の良さを具現した寺でも有った。
写真左:
西明寺薬師如来像
中:
西明寺境内
右:
金剛輪寺本堂
西明寺薬師如来の全身像は下記を参照下さい。
http://www.pref.shiga.lg.jp/edu/sogo/kakuka/ma07/t..