孤思庵の仏像ブログ

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9/27 Takさんの 投稿 図書案内・2件、興福寺講座案内ほか。

9/27 Takさんの 投稿    図書案内・2件、興福寺講座案内ほか。

私が1週間前に病院を退院する時に、担当医から「あなたのこれまでの生活の様子を聞くと、運動はそれなりにOKだが、朝・昼・晩の食事と生活パターンが全くなっていない。病気に対する真剣さ・真面目さが足りない。改善の努力をしてください」と厳重注意をされました。これからはその厳命を胸に暮らしていかなければ、毎日を楽しめなくなりそうです。
 
「運覚」という仏師について(「本郷」誌):
『大事件が起こったのは五月九日。阿弥陀仏の後頭部に鑿を当てた小仏師の遠江別当がうわずった声を上げた。「と、棟梁、来てくださいっ。大変なことが…」その声は木を打つ音だけが響く静謐の中でひときわ異様に聞こえた。…(中略)…「このあたりに落ちているはずだ。捜せ」遠江別当と一緒にあたりを調べると、梵字真言を書き付けた紙片と米粒ほどの白い粒が見つかった。』(「荒仏師運慶」梓澤要著・第四章霊験、204ページから)
山本勉教授は、「本郷」誌No.137 (2018.9吉川弘文館)の「仏師と仏像を訪ねて・第4回」で、この時代小説の迫真に満ちた場面を以下のように記しています。
『…この修理中には諸像の頭部内におさめられていた空海ゆかりの仏舎利を発見するという思いがけないできごとがあって運慶たちは歓喜したのだが、このとき舎利発見の端緒となった、阿弥陀如来像の頭部にのみをあてて割るという重要な作業をまかされた小仏師は史料に「遠江別当」の称号で記されている。のちに「遠江法橋運覚」の銘記の存在も知られることから、この遠江別当が運覚にあたると考えられているのである。』
また『…水野敬三郎は運覚を運慶と何らかの姻戚関係ある者と考え、たとえば妹婿ではなかったかなどと想像をめぐらせている。』(「運慶・快慶と工房制作」講演会録)とありました。
*水野敬三郎氏から連想して、以下の書物に行き着きました。
 
 
「奈良・京都の古寺めぐりー仏像の見かた」(水野敬三郎 著):
岩波ジュニア新書891985年第1刷発行、20184月第46刷発行、237ページ、価格・860円+税
裏表紙解説:「奈良・京都の寺はまさに仏像の宝庫。この本では、法隆寺東大寺、東寺、平等院などの数々の古寺をめぐり、飛鳥時代から鎌倉時代におよぶ代表的な仏像の前に立ちます。仏像の表情や意匠、技法などを、写真や図版でていねいに解説。時間をさかのぼり、昔に思いをはせながら仏像を見るたのしさを伝えます。」
*私が、まだ仏像や仏教美術にあまり関心がなかった時分に購入して眼を通した書籍です。本棚の端にまだ残っていました。新書版ですがしかし、内容は著名な先生が纏められたもので、さすがきちんと掘り下げた歴史考証と美術観だという印象で、各時代の仏像ともに大いに勉強させてもらいました。この新書版が私にとって最初の本格的な学習のスタートになった教科書、と感じています。最近になって書店店頭で見かけたところ、発行刷数が多くなっていました。長い期間にわたって愛読者によって読み続けられ、評価されてきた結果と思われます。会の皆様には本書を既に読まれた方やお手許にお持ちの方も多いことかもしれませんが、改めてご案内します。
 
 
興福寺文化講座」(東京)H30年度下半期講座:(於・新宿・文化学園、受講料・500円)
1講 (17301830) 
・H301025日(木)「中金堂落慶—再建記念特別展示によせて—」 
 興福寺境内管理室次長 多川 文彦
・H301115日(木)「『法相宗要』を読む—その1—」
 興福寺僧侶 南 俊慶
・H301213日(木)「瑜伽行入門—信願上人良遍の『唯識観作法』を読むー」
 興福寺録事補 Saile  暁映
・H31117日(木)「お釈迦様はかく語りきー漢訳法句経を読む2
 興福寺貫首 森谷 英俊
・H31221日(木)「興福寺学侶の春日赤童子信仰」
 興福寺執事長 夛川 良俊
・H3137日(木)「写経と書道藝術」
 書家 柳田 泰山
2講 (19002000)連続講話 「奈良・祈り・心」(6回とも)
 興福寺貫首 多川 俊映
 
興福寺佛教文化講座」(奈良)H30年度下半期講座:(於・興福寺会館、受講料・無料)
1講 (13001350
・H301013日(土)「中金堂落慶—再建記念特別展示によせてー」
 興福寺境内管理室次長 多川 文彦
・H301110日(土)「興福寺と貴族社会」
 作家 澤田 瞳子
・H30128日(土)「阿修羅像—人工知能による樹種特定にむけてー」
 京都大学教授 杉山 淳司
・H31112日(土)「中金堂再建を終えて」
 興福寺貫首 多川 俊映
・H3129日(土)「樂書からみる興福寺常盤会—その2−」
 南明寺住職 米田 弘雅
・H3139日(土)「応仁の乱興福寺
2講 (14001530)連続講座「南都をめぐる宗教文芸の世界」(6回とも)
 名古屋大学大学院准教授 近本 謙介
 
 
東大寺講演会の開催について:
・H301113日(火) 1330開場、1400開演。於:東京国立博物館平成館大講堂 受講料・無料。
・第1講「東大寺由来の書とその美—聖武天皇正倉院宝物—」恵美千鶴子・東京国立博物館・百五十年史編纂室長
 第2講「称徳・道鏡政権の実態と東大寺」森本公誠・東大寺長老
*ただし東大寺友の会会員向けの講演会で、事前申込が必要。
 
  

【以下省略】

2018927日 PM2000  Tak