Takさんの投稿 「興福寺中金堂落慶法要厳修」: 興福寺から案内通知が来ました。
以下 Takさんの投稿です
(案内通知同封はがきで参列可否の返答が必要)
・10月 8日(祝・月)・「西国札所会厳修」… AM8:45〜受付、AM10:00開始、終了12:00予定。平服のこと。
・10月 9日(火)・「南都諸大寺厳修」… 上記通り。
・10月10日(水)・「延暦寺厳修」… 上記通り。
・10月11日(木)・「興福寺厳修(結願)」… 上記通り。
*会の皆様のお手元にも通知が届いているやもしれませんが、為念でご案内します。
*なお、中金堂の一般拝観開始は、10月20日(土) 9:00〜17:00 年中無休 入館料500円。
●H30年8月3日(金)〜4日(土)奈良巡拝報告(8/7記のものを転載します。)
8月3日(金)、例によって新横浜駅始発の新幹線、いつもの定位置座席に乗車。夏休みのせいかいつもより乗車率は高い模様で、特に家族連れの乗客が目立ちました。いつものように奈良駅到着後、暑いなかを東大寺南大門目指して歩くが、しかし暑い。バスにすればよかった。既に中国人で一杯の参道から離れ南大門先の右手の門に向かいましたが、ちょうど本坊の門を開けているところで、午前9時30分到着となりました。看板が一つ門前に出ていましたが、周りには誰も見かけませんでした。目当ての行事は、既に7月27日(金)から開催しているので、早い時期に訪問した人々が多かったのかもしれません。門を入り、石畳の先の本坊建物に向かいます。右手には「写経道場」との看板を掛けた建物がありました。お寺では定例で写経活動をおこなっており、参加している人が多いようです。玄関から靴を脱ぎ受付に挨拶し、資料を頂いて仏間に向かいました。時間も早いので、受付の人と雑談を交わし奥に行きました。畳敷きの10数畳の部屋の襖を取り払い、奥へ4〜5部屋を展示会場に割いていました。各部屋の欄間が異なった彫りのデザインで面白く拝見しました。感じとしては上野の芸大・正木記念館2階の様でした。各部屋共に襖を取り払い、部屋の両側に白布を懸けた台やテーブルの上に、多くの作品を並べ、例によって写真・解説パネルを作品の背後や横に並べて説明対応していました。作品の前には小さな表示板があるだけでした。入口近くから奥を見渡すと、最奥部にスクリーンがあり、既に「東大寺法華堂執金剛神像・彩色復元」のビデオが流れていました。さっそく、入口直近の作品から拝していきました。配布資料は無いため、すべて自分のメモが頼りになります。しかし、長時間の拝観でお邪魔しましたが、お客様が少なく、それでも日本人よりも外国人観光客(中国人というより欧米人)が多く目立ちました。時代の勢いでしょうか?入場客が見えないときは、会場の受付や関係者と世間話しで楽しかったです。
本坊拝観時間: 9:30〜13:30 → 奈良博「糸のみほとけ」展へ。
展示作例ほかは以下の通りです。
・截金手板(きりかねていた):2015年・飯沼春子 截金パターンの紹介・小さな板に10種類ほどの截金パターンを例示。
1体…縮尺・構造模刻像で、他像と比べて制作上特殊な構造の寄木の、部位ごとの個辺の組み合わせを構造上判明出来る作品を展示。 「年報2013」、「年報2014」記事掲載(慶派作例、善派作例との比較説明あり)
1体…漆箔塗模刻像の展示。
・慧日寺・薬師如来坐像:2017年・慧日寺落慶プロジェクト 5分の1縮尺寄木造古色検討模刻像の展示。(史跡、金堂の写真パネル、猪苗代町芸大工房作業他も一緒に展示) 「年報2016-2017」、「年報2017-2018」記事掲載
・東大寺本坊・庭園:本坊内の石組み庭園の解放。
*記事中、「年報〇〇」は、私が所有している芸大発行の機関誌から抜き出したもので、2013年以前の記事については未記載です。
・8月4日(土)は奈良博、春日大社付近を巡った後に、12時にお寺の方とご一緒に春日大社の会場(春日大社・感謝・共生の館)に向かい、芸大の助手などの若手の研鑽発表を聞かせてもらいました。「研究室スタッフによる講演会」と銘打った会場には、薮内教授以下、東大寺・狭川別当、薬師寺・根来穆道師、山崎隆之・愛知県立芸術大学名誉教授(芸大OB、昨年の阿修羅像復元時の中心者)、木下成通・美術院国宝修理所(芸大OB、修理・復元の第一人者)、他にも芸大学生やOB、山田修氏、白澤陽治氏、小島久典氏など上野キャンパスでの展示会場でお会いした、お話しを伺った方々が集まっていました。会場には100名ほどの参集があったようです。講演会内容は、東大寺と東京藝術大学との歴史や、仏像の模刻や修復を通して得られた知見についての講演ということでした。
・乾漆像のデメリット・制作工程が多い(木枠、張り子制作)、塑土書き出しの後の重さによる歪み。・乾漆像のメリット・最終工程での微調整の表面仕上げ。
木心乾漆造り技法としては、「脱活乾漆造り」を簡素化した技法として考えられているが、他の技法ではなしえない表現を可能とした技法だったと推定する。
中性院弥勒菩薩像は造像構造上に大きな特徴と疑問がある。割首構造、肩部当て部材、脚部別材制作、臀部の扁平さと薄板当て、膝脚部前面の制作上の特異性、左腕肘部分の調整可能な組み方、胸部正面の小窓、玉眼技法や瞳縁取りの彩色(青緑色)など。制作途上での静態から動態への像態変更などが推測され、造像上で歴史的な技法過渡期、積極的な造像表現の挑戦にあったものと思われ、慶派工房ではなく傍系の「善派」仏師による特徴が強く感じられる。構造模刻像の画像を利用し説明された。
前日にも、最もよく拝した仏さまで、北河原公敬長老との関係もあり昔から自分の好きな仏さまなので、講演会終了後も小島氏にはお話しを伺った。
4.「いにしえの東大寺を『立体的』に眺める」山田修・特任准教授。
東大寺大仏に関するこれまでのCD映像の制作、TV番組での放送などの紹介、大仏開眼時の古文書や絵巻の紹介と、現在の復元大仏殿との比較など。また「法華堂・執金剛神像」の3D→CG化についての技法、TV局との「紺丹緑紫」(こんたんろくし・4色)復元などの紹介、甲冑などの部位毎に施された文様(宝相華唐草文、孔雀羽文様、対葉花文の画像紹介。これから東大寺南大門金剛力士像のCG化したい、とのこと。
持参した芸大の「年報〇〇」が大変役に立ちました。筆記をしたりスクリーンを観なくてもページを捲るだけで概要が分かるくらいでした。それでもいつものようにかなり気を張ってメモをしました。
各発表の最後に、薮内教授、山崎教授、木下氏の鼎談が短時間ありました。芸大彫刻修復保存の学科が誕生する頃の苦労話、西村公朝師の事なども聞くことが出来ました。午後4時過ぎの終了で、関係者は東大寺本坊に戻られるとのことでした。そこではまたいろいろと面白い話しが聞かれたことでしょうが、私は各人にご挨拶をして、簡単に短時間の質問やら感想を述べて失礼しました。薮内教授には、三井記念美術館・記念講演会の聴講参加もお伝えしてお別れしました。
2018年8月7日 Tak
2018年8月12日 AM1:00 Tak