孤思庵の仏像ブログ

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本年度の新指定国宝・重要文化財の展示と分科会での説明について

仏像愛好の集」のメンバー Mさんからの 投稿です。

掲載希望の表題
本年度の新指定国宝・重要文化財の展示と分科会での説明について
 
掲載内容
39日に文化庁から本年度の新指定国宝・重要文化財が発表されました。(下記アドレス参照。PDFをダウンロードして作品リストと解説をご覧ください。)
 
三十三間堂の千体千手観音が国宝になったのは意外でしたが、興福寺旧南円堂の康慶作四天王はある意味予想通りという感じです。
東博での新指定文化財展示は417日から56日までとのことで、これも予想通りです。その直前の414日(土)の午後に美術史分科会を開催し、出品作の解説を行います。現時点でも指定品の半分ぐらいの資料はありますので、当日までにもう少し資料を集めておきます。
 
三十三間堂の千体千手観音は基礎資料集成の平安時代鎌倉時代の造像銘記編を使用します。
興福寺旧南円堂四天王は基礎資料集成鎌倉時代造像銘記編と藤岡穣著国華11371138号(1990)論文を使用します。
文化庁の比丘形雲中供養菩薩(現在東博展示中)については、先日初めて現物を見て、平等院の同形像5体と比較したり論文を探したりしているところだったので、ちょうど良いタイミングだと思っています。平等院発行の鳳翔学叢5巻に伊東史朗氏の論文(2009年)が掲載されているとのことなので、近いうちにコピーを取る予定。
愛知県西光寺の地蔵菩薩(水落地蔵)については、これも同じ伊東史朗氏の論文(2015年、仏教芸術342号)のコピーを持っていますので、これを使います。
滋賀県彦根市圓常寺の快慶作阿弥陀如来については、昨年の奈良博快慶展に出品されていたので、会員の多くの方がご覧になっていることと思います。仏教芸術167号(1986年)に斎藤望氏の紹介記事が掲載されていますので、これを使います。
東寺旧食堂の火災で焼損した四天王については、文化庁編「戦災等による焼失文化財」、基礎資料集成平安時代造像銘記編(東寺千手観音の項目)、西川新次氏の国華848号(1962年)「聖宝会理とその周辺」などを使用します。
広島県丹生神社の男女神像については、これも伊東史朗氏の論文(2016年、仏教芸術347号)があるとのことなので、近いうちにコピーを取る予定。
 
その他の新指定品については、持っている資料があるかどうか思い当たりませんが、岩手県東川院の観音菩薩坐像については、久野健の東北古代彫刻史論に載っているかもしれません。薬師寺の正応二年(1289)銘四天王については岩波六大寺大観を確認してみます。基礎資料集成鎌倉時代14巻には掲載されていますが、3月に出版されたばかりなので、まだコピーは無理だと思います。残りの4件(山形県慈恩寺聖徳太子孝養像、東寺の夜叉像2体、宮崎県生目神社の神王面、宮崎県大光寺の禅宗肖像2体)は資料が見つからないかもしれません。
 
なお、以上のことを書いていて感じたのは伊東史朗氏(前京博学芸員、現和歌山県博館長)の論文が多いということです。11日まで東博で開催している仁和寺展に出ている国宝北院薬師如来や北向山不動院の康助作不動明王に関する仏教芸術論文など、特に平安彫刻に関する重要論文を数多く執筆されています。将来重要文化財に指定されるような重要な作品を見出すことができる、優れた研究者だと思います。
 
以上、メンバー Mさんからの 投稿です。