孤思庵の仏像ブログ

少し深くの 仏像愛好のブログ続けてます、オフ会に集ってます、貴方も如何?

不動明王の頭飾は、宝冠で良いのではと

 今月の 「仏像愛好の集」 午後の勉強会 その仏像質問箱のコーナー で出ました。 不動明王の頭飾  その名前が知りたくて Yahoo知恵袋 に質問してみましたが・・・、  回答が一つもつかずで  現在はYahoo知恵袋から消えてしまってます。 そんなに難しい質問では無いはずですのに 残念です。 
先日の「仏像愛好の集」の勉強会 仏像質問箱のコーナー にも話題として持ちだしたのですが、 回答は此処でも出ませんでした。 やむなく も一度 自分で調べてみました。

前にもしたのですが、 ネット検索での調べ、も一度試みましたがやはり ヒットしませんでした。 このブログの題名に、 「不動明王の頭飾」としましたが、 現在の私の考えでは、飛鳥仏の三面頭飾の馴染から 不動像の それも「頭飾」が相応しいと思いました。 

ところがです、三面頭飾 でネット検索してみますと 以外にも 三面頭飾では、 Wikipedia には出てなく、他のウェブ サイト にも在りませんでした。 ミトラ (宝冠) - Wikipedia では在りましたし、 「宝冠」では他にも- コトバンク - goo国語辞書 にも在ります。 仏像趣味には よく出ます [三面頭飾] は ノーマルな単語で ない様です。 頭飾 だけでも 、- コトバンク - goo国語辞書 に在りません!
 
以上の事から、 問題の 不動像の 髪飾りを [頭飾] と決め込むのに 懸念が出て来ました。 [頭飾]では 冠を含む 髪飾り の総称の様で、 不動像のそれが 冠なのか 否なのかの答にならぬように思えてきました。 

ネット検索で行き詰まりましたので、区の中央図書館で 不動見様王の 白描図に部分の名称を付けた図を いろいろさがしてみました。


 この問題の当初時にも 同じ白描図で、その部分の名称を探したのですが、仮称「頭飾」 の部分に名称を書いたものは なかなか見つかりませんでした。 自身の蔵書では間に合わずで、今回は図書館に行きまして、部分名称が付けられた白描図のある本をあさり閲覧をしました処、 「白描画による仏像の見方図典」(論創社 を探し出しました。


 早速 不動明王を引きましたが、此方も・・・、[頭飾] の部分の名称はついて居ませんでした。 やむなく他のページを見て居ますと、大日神変真言経による降三世明王の白描画が在りました。 其処には、頭飾部分に宝冠との部分名称が付けられて居ました。  そうだ他の尊の頭飾部分を参考にと気付いて、他の明王の白描画を見る事にしました。 

軍荼利夜叉明王には、 三鈷髑髏宝冠 との名称が在りました。  大威徳明王には、三面宝冠と在ります。 アンレ! 今まで大威徳明王は六面六臂六脚と覚えて居たのですが、三面の顔の中央本面に、三面宝冠を付けると 在るじゃありませんか! 驚きました。 急いで他の仏像図典で 確かめましたら 其処には六面とありまして、安心しました。 何処かの儀軌、図像文献に、三面に三面宝冠を付けると在るのでしょうか? 同明王は、異名に六足尊とも云われると思います。 六臂六脚と六揃いですので・・・、お顔も六面が良いと思います。 おまけに、とんだ発見もありました。

同様に金剛夜叉明王にも 宝冠との名称が付いてました。 同様に、伊舎那天には宝冠、  金剛童子、日天には宝珠宝冠と、 地天、月天、摩醯 首羅 の処では前立て宝冠と在りました。 前立て宝冠とは、その名から縦に長い形状の飾りの付いた宝冠と思います。(前立:【前立物まえだてもの】兜の前部につける立物(たてもの)の一)

いろいろ挙げましたが、附ける尊に、由来の々特徴のある宝冠も在りますが、 とにかく宝冠なのだと思います。 愛染明王には獅子冠が有名です。 思えば 愛染明王五大明王 皆 王なのです、王に冠は相応しいです。  不動明王五大明王の中尊なのですから。、当然に冠が相応しいです。 この事から不動明王の頭飾は冠ですので、「宝冠」と納得しました。 

そこで、不思議に思いますのは 不動明王は人気の尊でして、多くの図像 白描図が存在しますのに、 私の調べでは 宝冠と銘打たれた図像は見つかってません! 何故に不動明王図に「宝冠」と説明をしないのでしょうか? 

思い出しました 山伏の兜巾は 五智の宝冠の意味と聴いた事が在ります。 さすれば、不動明王は 大日如来の変化身ですので、当然に五智の宝冠の省略形と思うべきでした。 此処で不動像の頭飾は 宝冠と確信しました。 しかし それは 宝冠と云うにはあまりに簡略 まだしも菩薩たちの天冠台に近いです。 ここでまた問題です、 天冠台は 名前からして、冠を載せる台なのでしょうか? 

菩薩たちの天冠台の様は、其のまま冠そのものの扱いの様に思えます。  果たして菩薩たちの天冠台は あくまでも冠を据える台なのでしょうか? 宝冠そのものと見て良いのでしょうか? どちらののでしょうと、天冠台でネット検索してみますと・・・、天冠台も どうもずばりと出て居ないのです。 辞書で検索しても出ませんし、ウェブ検索では、かろうじてwww.kentikulink.net/architectjiten/ag15/ag15_1452.html -に  建築用語. 天冠台: よみ:てんかんだい 50音別:て 種類別:文化財. 仏や天人がつける 宝冠を受けるくり出しの部分。と在ります。
 
また別のウェブ 宝冠・瓔珞・釧 - FC2  http://search.yahoo.co.jp/r/FO ... x.files/kihon/zoyo/yoraku.html - 
には 文中に・・・、天平時代に入っても、東大寺三月堂不空羂索観音立像など贅の限りを尽くした宝冠が造られたが、天平の末期以降は、図像などを見ても余り大きな宝冠は少なく、天冠台の上に控え目に装飾をつけるものが多くなってくる。また宝冠をつけず天冠台のみを表す例もある。と在りますので、天冠台は冠でなしに 文字通りに冠の題と思えます。但し、冠の代用となるのだと思います。 

例えば、勲章の場合に、 通常は勲章自体を着用せず、代わりに略綬を着用します。 の如くなのではないでしょうか? 天冠台は勲章の略綬の様なもので、戴冠に値すべきを現した 省略形のような気がします。如何でしょうか?!

それにしても 不動明王の白描図に 何故に 宝冠の表記が無いのでしょう?? 在れば、苦労をしませんでした。  宝冠の表記が無いの裏には・・・、宝冠と言い切りがたい何かが在るのでしょうか? 

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