埼玉県立歴史と民俗の博物 の歴史民俗講座 不動明王像の諸相 ―企画展「くらべる古美術」によせて―
今日(25日)の夕刻に、「仏像愛好の集」メンバーのsaiさんから電話がありまして、 埼玉県立歴史と民俗の博物 の歴史民俗講座 を広報したらとの事でした。最近はsaiさん 熱意に熱意と見受けます。 必要 (下段ウエブ 要参照)
8/19(土)14:00~15:30
不動明王像の諸相 ―企画展「くらべる古美術」によせて― ← 要 事前申込
講師 西川 真理子(当館学芸員)
さて、不動明王像の諸相 ―企画展「くらべる古美術」によせて―との表題ですので、おそらく不動明王像の比較で、 大師様不動明王像と十九観(十九想観ともいう)の不動明王像 の比較と推測されます。 それに付け加えて、円珍の黄不動などの、高僧の感得不動明王像もあるかもしれません。
地方の博物館の企画展付随の講座、其処の学芸員が講師で、新知の無い「推して知るべし」の感もありますが・・・、 saiさんからの 一種の寄稿と存じましたので、広報しました。
尚、上の講座ご興味の方は、
歴史民俗講座 - 埼玉県立歴史と民俗の博物館
www.saitama-rekimin.spec.ed.jp/?page_id=90
から、 体験学習イベント> 歴史民俗講座 > 第3回 と進み ご覧ください。
大師様 大師様
十九観
十九観 黄不動
「大師様」の「大師」とは弘法大師空海のことで、つまり「空海スタイル」ということになります。
その大きな特徴は、両目を見開く、上歯で下唇を噛む、総髪にするなどで、有名な彫像としては東寺講堂像などがあります。
その大きな特徴は、両目を見開く、上歯で下唇を噛む、総髪にするなどで、有名な彫像としては東寺講堂像などがあります。
「十九観」
9世紀末になると安然や淳祐により、不動明王を観想する(瞑想のうちにイメージする)ための十九項目がまとめられ、ここで「十九観」というものが成立します。
大日経などに根拠を求めた19の特徴をあらわす新しいスタイルがまとめられたのです。
大日経などに根拠を求めた19の特徴をあらわす新しいスタイルがまとめられたのです。
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不動明王の隠れたおしゃれ
今回は不動明王の顔に注目です。
不動明王は怖い顔をして剣と索(ロープ)を持っています。
さまざまな欲望に惑わされる人々の迷いを剣で断ち切り、欲の海に溺れる人々をロープで引き上げてくれる頼りになるほとけさまです。
怖い顔は親が子を叱るのと同じで、人々に対する愛情がその内側にはあるのです。
さて、不動明王の顔は、大きく2種類あります(天台僧円珍が感得した黄不動は作例が少ないので今回は省略します)。
今、本館11室に展示中(2011年5月24日(火)~2011年11月13日(日)展示)の像(C-1525)の顔は、
髪がカールしていて、右目を大きく開き、左目はすがめ、閉じた口の左上の牙と右下の牙が外に出ています。
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4枚全て 不動明王立像(部分) 平安時代・11世紀 (C-1525)
一方、現在展示していませんが、当館所蔵のこちらの像は直毛をきれいにとかして、
両目を開き、上の歯で下唇を噛んでいます。
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2枚全て 不動明王立像(部分) 平安時代・11世紀 岡野哲策氏寄贈 (C-1851)
こちらは、はじめて不動明王を日本にもたらした空海が伝えた曼荼羅に描かれた姿で、
京都の教王護国寺(東寺)をはじめ真言宗のお寺に多い顔です。
空海(弘法大師)が伝えたのでこの顔の不動明王のことを「弘法大師様(こうぼうだいしよう)」と言います。
それに対して、今展示中の像(C-1525)の顔は、空海より後に中国に渡ったお坊さんが伝えたもので、真言宗、天台宗の両方で造られました。
顔だけではなく、頭のてっぺんも両者は違います。
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不動明王立像(部分) 平安時代・11世紀 (C-1525)
中央の花のようになっているのを莎髻(しゃけい)と言います。
髻は髪を束ねたもの、莎は、はますげという草の名前で、これで髪を結うため莎髻と呼ぶのです。
怖い顔に似合わずおしゃれですね。
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不動明王立像(部分) 平安時代・11世紀 岡野哲策氏寄贈 (C-1851)
不動明王は怖い顔をして剣と索(ロープ)を持っています。
さまざまな欲望に惑わされる人々の迷いを剣で断ち切り、欲の海に溺れる人々をロープで引き上げてくれる頼りになるほとけさまです。
怖い顔は親が子を叱るのと同じで、人々に対する愛情がその内側にはあるのです。
さて、不動明王の顔は、大きく2種類あります(天台僧円珍が感得した黄不動は作例が少ないので今回は省略します)。
今、本館11室に展示中(2011年5月24日(火)~2011年11月13日(日)展示)の像(C-1525)の顔は、
髪がカールしていて、右目を大きく開き、左目はすがめ、閉じた口の左上の牙と右下の牙が外に出ています。
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4枚全て 不動明王立像(部分) 平安時代・11世紀 (C-1525)
一方、現在展示していませんが、当館所蔵のこちらの像は直毛をきれいにとかして、
両目を開き、上の歯で下唇を噛んでいます。
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2枚全て 不動明王立像(部分) 平安時代・11世紀 岡野哲策氏寄贈 (C-1851)
こちらは、はじめて不動明王を日本にもたらした空海が伝えた曼荼羅に描かれた姿で、
京都の教王護国寺(東寺)をはじめ真言宗のお寺に多い顔です。
空海(弘法大師)が伝えたのでこの顔の不動明王のことを「弘法大師様(こうぼうだいしよう)」と言います。
それに対して、今展示中の像(C-1525)の顔は、空海より後に中国に渡ったお坊さんが伝えたもので、真言宗、天台宗の両方で造られました。
顔だけではなく、頭のてっぺんも両者は違います。
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不動明王立像(部分) 平安時代・11世紀 (C-1525)
中央の花のようになっているのを莎髻(しゃけい)と言います。
髻は髪を束ねたもの、莎は、はますげという草の名前で、これで髪を結うため莎髻と呼ぶのです。
怖い顔に似合わずおしゃれですね。
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不動明王立像(部分) 平安時代・11世紀 岡野哲策氏寄贈 (C-1851)
こちらは小さな穴があるだけですが、
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以下3枚全て 不動明王立像(部分) 鎌倉時代・13世紀 個人蔵
もとはこういう物が載っていました。
真上からではわかりにくいですね。
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頭の頂に蓮の花を載せています。
弘法大師様の不動明王像は必ず頭に蓮華(頂蓮と呼びます)を載せます。
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頭の上だけで顔を出さないのは失礼ですね。
こちらの顔は今展示中の像と同様で、しかし莎髻でなく頂蓮を載せる折衷のような形です。
残念ながら、今展示中の不動明王像(C-1525)の頭の上はご覧いただくことができません。
隠れたおしゃれとして紹介しました。
「空海と密教美術」展で出品されている不動明王像(作品No.96 京都・醍醐寺蔵)はどちらの顔でしょうか?
頭の上には何が載っているでしょうか?
胎蔵界曼荼羅(作品No.68 京都・教王護国寺蔵 (2011年8月21日まで展示)、作品No.42 和歌山・金剛峯寺蔵 (2011年8月16日から9月4日まで展示))にも不動明王が描かれていますので探してみてください。
ヒント:赤い焔を背に青黒い体、坐った姿です。左手には羂索(ロープ)、右手には剣を持っています。
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以下3枚全て 不動明王立像(部分) 鎌倉時代・13世紀 個人蔵
もとはこういう物が載っていました。
真上からではわかりにくいですね。
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頭の頂に蓮の花を載せています。
弘法大師様の不動明王像は必ず頭に蓮華(頂蓮と呼びます)を載せます。
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頭の上だけで顔を出さないのは失礼ですね。
こちらの顔は今展示中の像と同様で、しかし莎髻でなく頂蓮を載せる折衷のような形です。
残念ながら、今展示中の不動明王像(C-1525)の頭の上はご覧いただくことができません。
隠れたおしゃれとして紹介しました。
「空海と密教美術」展で出品されている不動明王像(作品No.96 京都・醍醐寺蔵)はどちらの顔でしょうか?
頭の上には何が載っているでしょうか?
胎蔵界曼荼羅(作品No.68 京都・教王護国寺蔵 (2011年8月21日まで展示)、作品No.42 和歌山・金剛峯寺蔵 (2011年8月16日から9月4日まで展示))にも不動明王が描かれていますので探してみてください。
ヒント:赤い焔を背に青黒い体、坐った姿です。左手には羂索(ロープ)、右手には剣を持っています。
posted by 浅見龍介(東洋室長) at 2011年07月23日 (土)