孤思庵の仏像ブログ

少し深くの 仏像愛好のブログ続けてます、オフ会に集ってます、貴方も如何?

集のメンバーのMさんより、ブログに 投稿

仏像愛好の集のメンバーのMさんより、ブログに掲載 依頼が在りました。



今後の集いでの発表予定:快慶展の直前準備講座
 
2月の集いでは都合により発表をしない予定ですが、4月開催の奈良博快慶展に関連して、3月・4月の集いでは快慶展直前準備講座という形で以下のような話をしたいと思います。奈良博快慶展に行く予定の方は是非3月・4月の集い午後の部に参加されることをお勧めします。
 
3月の集い
平安末期から鎌倉初期の仏像の着衣表現に関して、「仏像の条帛背面の形式について-運慶・快慶作品を中心に」(竹内沙織 青山学院大学史学会史友392007)、「平安時代末期から鎌倉時代初期奈良仏師の新形式形成とその展開-菩薩形・明王坐像における裙・腰布の着衣形式の検討より」(佐々木あすか 美術史1612006)に基づき、運慶、快慶、その他奈良仏師や奈良仏師以外の仏師の着衣の形式を比較し、その特徴を明らかにすることで仏師の系統や仏師個人を判別する方法について紹介する。
合わせて、以前報告した快慶の三尺阿弥陀の着衣形式(胸前のたるみ)の変遷と耳の表現形式(特に行快との違い)について、前回参加していない人のために再度説明を行う。
 
4月の集い
この頃になれば快慶展の出品作もほぼ見えてくると思うので、出品作の見所について日本彫刻史基礎資料集成と作品ごとの個別の論文などを使い説明する。
快慶研究の基本的論集としては昭和30年代に刊行された「仏師快慶論」(毛利久著)と「巧匠安阿弥陀仏快慶」(小林剛著)があるが、それらの刊行後50年以上の間に発見された快慶の作品や快慶の没年・弟子行快との製作分担などの歴史的事実の解明も多く、現在私の手元には快慶作品に関する雑誌論文資料などは(コピーを含め)多くのものが揃っているので、これらの内から快慶展出品作を選んで説明する。(下記の所蔵文献で今回出品されることが既に決まっているものには◎印をつけておきます。)
 
所蔵している主な文献(快慶作品のみ、仏像別)
栃木足利真教寺の阿弥陀如来 山本勉 MUSEUM4301987 及び 三宅久雄 国華13392007
三重新大仏寺の阿弥陀如来 田辺三郎助 仏教芸術1051976
松永耳庵旧蔵の仏耳(新大仏寺の阿弥陀三尊か) 山本勉 MUSEUM5762002
米国ハーバード大学サックラー美術館の仏手(新大仏寺の阿弥陀三尊か) 岩田茂樹 MUSEUM5882004
◎滋賀石山寺大日如来 松島健 美術研究3411988
滋賀圓常寺の阿弥陀如来 斉藤望 仏教芸術1671986
◎京都遣迎院阿弥陀如来(像内納入品) 青木淳 日文研叢書191999
京都悲田院の宝冠阿弥陀如来 寺島典人 日本における木の造形的表現とその文化的背景に関する総合的考察中間報告会資料集2010
◎京都醍醐寺三宝院の弥勒菩薩 海野啓之 美術史1632007 及び 醍醐寺大観第一巻2002岩波書店 島弘道解説
醍醐寺三宝院の不動明王 三宅久雄 国華10501982 及び 醍醍醐寺大観第一巻2002岩波書店 山本勉解説
◎京都正寿院の不動明王 三宅久雄 国華10501982
◎京都宮津如意寺地蔵菩薩 米屋優 MUSEUM4551989
大阪八葉蓮華寺阿弥陀如来 斉藤望 仏教芸術1511983 及び 根立研介MUSEUM4421988
大阪大円寺阿弥陀如来 藤岡穣 仏教芸術2081993
大阪藤田美術館地蔵菩薩 山本勉 MUSEUM4181986
◎奈良東大寺の僧形八幡神 岩波書店六大寺大観東大寺3西川新次解説 及び 青木淳 密教図像121993 及び 岩田茂樹 仏教芸術3432015
東大寺西大門勅額付属の八天王 奥健夫 南都仏教812002832003
奈良安養寺の阿弥陀如来 紺野敏文 仏教芸術1511983
和歌山高野山金剛峯寺孔雀明王 赤川一博 仏教芸術2582001
高野山金剛峯寺の執金剛神・深沙大将 友鳴利英 仏教芸術3232012
高野山光台院の阿弥陀三尊 佐和隆研 仏教芸術21948 及び 三宅久雄 美術研究3511992
兵庫浄土寺の菩薩面 古幡昇子 仏教芸術3062009
山東寿院の阿弥陀如来(像内納入品) 青木淳 日文研叢書342005
米国キンベル美術館の釈迦如来 岩田茂樹 MUSEUM6462013
米国バークコレクションの地蔵菩薩 S.C.モース 国華12862004
米国ボストン美術館弥勒菩薩高野山金剛峯寺の◎四天王、京都随心院金剛薩埵3件は西川杏太郎著日本彫刻史論叢に所収(仏教芸術等の掲載論文)
 
快慶類似作では
静岡新光明寺阿弥陀如来 根立研介 仏教芸術1831989
京都知恩寺阿弥陀如来 土井道弘 就実表現文化22007
東寺旧蔵の観音・勢至 伊東史朗 MUSEUM6032006
東博阿弥陀如来 猪川和子 国華10691983 及び 山本勉 MUSEUM5662000
 
 
論文資料のない耕三寺の◎宝冠阿弥陀と熱海伊豆山神社の◎脇侍二菩薩は日本彫刻史基礎資料集成を使用します。
高野山の◎四天王と執金剛神・深沙大将については、2014年のサントリー美術館高野山の名宝」展の時に大仏殿四天王ひな型及び重源の作善集原文の紹介として解説を行っていますので、説明資料はその時のものを使用します。
 
高野山光台院の阿弥陀三尊については、集いの会員の方の中で出品を希望している方がいますが、残念ながら今回は出品されないようです。つい最近(1/23)光台院を訪問・拝観された人のブログに「奈良博の快慶展には出品されないそうです」とありました。(*)多分お寺の人に直接問い合せた結果だと思いますので確かな情報だと思います。なお、光台院の阿弥陀三尊は1994年に同じ奈良博で開催された特別展「運慶・快慶とその弟子たち」に出品されました。この時は如意寺地蔵菩薩、大阪大円寺阿弥陀如来、奈良光林寺阿弥陀如来など、他の展覧会ではあまり出たことのない作品も出品されています。
1/231/25のブログ記事参照)
 
 
24日の集いでは都合により発表をしない予定ですが、他に発表する人がいなくて時間が余るようなら、最近半年ぐらいの講演会で講師に直接質問したことを中心に以下のことを簡単に説明します。
浄瑠璃寺旧蔵の十二神将(現静嘉堂文庫・東博)は運慶作か
浄土宗の阿弥陀如来(滋賀玉桂寺旧蔵)は行快作か
神奈川大船常楽寺阿弥陀三尊は肥後定慶作か
善円作の奈良博十一面観音、米国アジア・ソサイエティ地蔵菩薩、推定善円作東博文殊菩薩は一具としての春日本地仏か、別々の作か
以上