孤思庵の仏像ブログ

少し深くの 仏像愛好のブログ続けてます、オフ会に集ってます、貴方も如何?

2月16日の「仏像の基礎勉強会」から


過日  2016年2月16日の「仏像の基礎勉強会」は 11室の仏像展示 内容は1月2月の「仏像愛好の集in東博」の時と変わらずですのに、5名の参集者を頂きました。また山水さんからは 今回は やむなく欠席と事前に連絡を頂きました。
クリックすると新しいウィンドウで開きます 

仏像の基礎勉強会 同好の諸氏向に 16日の「仏像の基礎勉強会」の概要報告を書きます。


去る今月6日に 「仏像愛好の集in東博」で同じ展示にギャラリートークをしていますので、もう当日には 話すことが無いかと心配しましたが、その都度に思い当たる事はありまして、時間を持て余すことはありませんでした。

   

重文 毘沙門天立像 ( 奈良・旧中川寺十輪院持仏堂所在C-1869 )では、四天王の身色に付いて話題としました。方位 東・南・西・北の順の持国・増長・広目・多聞天の順の四天王、その身色は、青(緑)、赤色、白(肉色)、黒(青)色の話に成りました。 その時、この処、健忘症気味の私で、其の配当の色順に自信が無かったので ご存知のTakさんから、色の配列を発表して貰いました。
同氏からは中国の方位には四神の信仰から色が配当され(大相撲の房色もそれに依って居る)、四神では、東の青龍・南の朱雀・西の白虎・北の玄武であり。尚、中央に黄(金)龍 の解説と そして四季にもそれが配当され、更には人生を四季に例え、若年期を「青春」、壮年期を「朱夏(しゅか)」、熟年期を「白秋(はくしゅう)」、老年期を「玄冬(げんとう)」と表現されるも 解説して貰いました。
クリックすると新しいウィンドウで開きます
そして四天王の色彩に好例として海住山寺の四天王を挙げてくれました。
(同像は金剛峯寺像と並び、一連の大仏殿様四天王像のなかでもとくに原像の大仏殿像に近い形相を有すると考えられる)
クリックすると新しいウィンドウで開きます
上の図では東西南北の順に成って居ますが、四神(四獣)も普通は東南西北の順番の様です。
四神の色では 青、(朱)赤、白、(玄)黒 ですが、四天王像としては其のままでは幾分に顔色としては不適なもあり、幾分変えて、四天王肉身色では青→そのまま青、赤→そのまま赤、白→白肉色、黒→深緑 に変換しています。
おそらくインドに於いてでは 四天王に色の配分は無いのではと思います。 斯様に我が国の仏教文化の中には、中国の影響が多分に付け加えられている様です。 

「四天王像」はインドで誕生した当時は憤 怒ではなく温和な顔付きのうえ華麗な装飾を着けた貴人のようです。しかも甲冑を着けないだけでなく「バールフト」の像にいた っては武器すら手にせず合掌手の如くで守 護神らしくありません。
 バールフットの像には銘があり多聞天(毘沙門天)となっております。邪鬼はおと なしい蹲踞の姿勢で多聞天に踏みつけれた苦しみから逃れようとする反抗的な態度は見られません。
 四天王像 バールフト    四天王像 サーンチー
       
  
www.eonet.ne.jp/~kotonara/sitennouzou.htm 四天王 より引用)



続いての話題は 四天王の足下の邪鬼 その指の数に着目しました、一節には知性と慈悲にかけていると言われて多くは3本が多いのでしょうか? そのために指が3本しかないといわれています。と在ります。 2本指の邪鬼もいます・・・、とにかく人とは相違の表現と思います。

以前に金沢文庫に特別展にて、色彩鮮やかな小型の四天王像が陳列されて居ました。もしかしたら「東大寺~鎌倉再建と華厳興隆展」開催(2013年10/11~12/1)での四天王立像(戒壇院千手堂千手観音厨子内安置)かもしれません。?? とにかく目にした四天王立像はそれぞれ邪鬼を踏まえて居まして、しばらくするうちに、何と気が付けばその邪鬼たちの 指の数がそれぞれ違ってました。2本指の邪鬼から3本指の邪鬼4本・5本指の邪鬼迄いました。ビックリポンです。
当時の仏師達も儀軌に無い処ではかなり遊び心があった様で、四天王の踏まえるそれぞれの邪鬼の指を像ごとに2本3本4本5本と順に増やしているのでした。詳細は分かりませんがそんな例のある事と、自身が鑑賞の中での発見に驚いたのでした。
儀軌に無い部分では仏師も自分の裁量で工夫したり、遊び心を持ったりと思いました。
如意輪観音菩薩坐像 1躯鎌倉時代・13世紀C-1883
を見乍ら 多臂像のての腕の呼び名の勉強しました。第一手、第二手、第三手の数え方は、腕の付け根が前の方から、数えて行きます。そして六臂像の場合は四臂、五臂とは数えてゆかずに・・・、左第一手、左第二手と左右を付けて数えます。
そして、第一手が一番重要でその尊の意味付けになると思います。そして その尊の最も重要な印契(手印)か,三昧耶形的な持物を持ちます。千手観音、不空羂索観音、阿修羅は合掌手です。愛染明王の第一手は 金剛杵と金剛鈴で、その持物は 金剛薩埵と同じで 両尊が 同体を示しています。修法のメイン目的の表現の空拳とそれを打つ未敷蓮華ではないのです。
如意輪観では、右第一手は頬に当てて思惟相を示し、左第一手は掌を広げて地に触れている。その名の起源の如意宝珠と法輪を持つ手ではないのです。
また孔雀明王では、孔雀の尾羽を持つのは第一手でなしに左第ニ手にと・・・、斯様になかなか一筋縄では行かない様です。

こうした仏像の見方も興味だと思うのですが、如何でしょう。

ついでに仏教での 指の名称も勉強ました。親指は母指(ぼし)。人差し指は頭指(とうし)、中指は中指(ちゅうし)、薬指は無名指(むみようし)、小指は 小指(しょうし)と言います。 ついでにそれぞれの指に、万物を構成する地・水・火・風・空の五大(五輪)を配当します。地(小指)・水(無名指)・火(中指)・風(頭指)・空(母指)でして、一例思い当たりますに 塗香を受ける作法に 一度 掌に受けた塗香を、水である無名指の根元に移し、練る仕草をして全体に伸ばし塗るという作法を教わった事がありました。


クリックすると新しいウィンドウで開きます
2階の1室「仏教の興隆―飛鳥・奈良」の展示の中に 菩薩立像 1躯 飛鳥時代・7世紀 C-217
飛鳥時代前期の木彫の稀少な作例の一つが展示されています。貴重と思うのですが重文指定は在りません。飛鳥仏の主要用材ですクスノキの一材から頭体幹部を彫り出しています。像容は大きな手足に薄い体部と金銅仏でお馴染の飛鳥様をしています。北魏の仏像様式の影響を強く受けていて、次のような独特な特徴を持つています。
●奥行きがなく、正面観照を重視している
●衣文や服飾が左右対称的である
●面長で古拙な微笑を浮かべている
飛鳥時代前期の木彫の稀少な作例の一つと解説に在ります通りに、自分も思い当たる飛鳥時代前期の木彫は、法隆寺像・法輪寺像ぐらいしかないです。博物館のキャプションには『日本書紀』には用明2年(587)に坂田寺の木の丈六仏を造った記事があり,仏像製作の初期から木彫が行なわれたことが知られます。と・・・

確かに飛鳥仏的で、美しいとは感じられません、皆さんからも「仏像らしくないお顔」との感想が漏れました。その場で、すぐに答えが出なかった「仏像らしい顔」 この事を一度 考察をしてみたいものです。思い立ち、今「仏像の顔――形と表情をよむ」 清水 眞澄 (著)  (岩波新書) 赤本新書 ー 2013/9/21」をネット注文しました。
いいお顔をしている――仏像を見たときそう感じるのはなぜだろう。眼、眉、唇、輪郭のどんな特徴がそう思わせるのか。インド、中国を経て、日本にもたらされた仏像は、顔も時代ごとに変化した。本書では、法隆寺金堂釈迦如来興福寺仏頭、鎌倉大仏など、各時代の著名な仏像の顔をつぶさに分析。仏の仏たるゆえんを顔から読み解く著作だそうです。


3室に 図像集 1巻 鎌倉時代・延慶2年(1309) 個人蔵  がありました。
図像集とは、平安時代前期の入唐八家の請来目録などで〈様〉〈図様〉〈白緤〉〈白描〉〈白画〉などと記されたものがそれに当たる。平安時代末期に永厳の《図像抄》(《十巻抄》)の撰集をはじめとする図像集編纂の盛行によって〈図像〉の呼び名が定着した。ことに図像は多種で複雑な仏,菩薩,忿怒尊の登場する密教において教義の理解のために重要視された。(世界大百科事典より)

儀軌とは、密教で、仏・菩薩・明王・諸天 などを念誦・供養する方法や規則。また、それらを記した典籍です。(デジタル大辞泉より引用 編集)

 仏像ファンなら  その尊の容姿を規定する、儀軌や図像文献であります図像集の事はある程度ご存知でだと思います。

儀軌は造仏像の際に姿の参考にするものと最初は誤解してましたが、教わって、この頃は修法の際に 如何なる尊を如何に祀るか等のハウツー本の様な存在と今は理解してます。

また、武像文献の勉強会に同席する機会を得てからは、図像は多種で複雑な仏,菩薩,忿怒尊の登場する密教において、僧が尊像の理解のために使うものと理解してきました。図像集は 大曼荼羅で分かる様に純粋密教の到来で一気に数の増えた諸尊に対応して、必要を感じ作られた図鑑的と理解してます。

仏像ファンとしては、儀軌は仏師などが 造仏の際の参考と思いがちですが、教わりますに 本来は密教修法に際してのハウツー本・参考書的で、多種で複雑な仏,菩薩,明王などの尊の教義の理解のために使用されたものだそうです。

しかし実際に図像集をご覧に成った方は少ないと思います。
今回それが展示ですが・・・、白描で他の仏画とは相違の地味なものですので目を引かずですから、言われないとスルーで見ないと思います。

私は、幾分の予知がありましたから、何れかの展覧会で、何度か図像集を見入った事が在ります。
五部心観も見た記憶が在ります。(もしかしたら園城寺の国宝のものでなしに その写しかもしれません。)それで、展示の図像集が目に留まりました。


 
http://chinaalacarte.web.fc2.com/bukkyo-117-08-gobusinkan.jpg
五部心観:金剛界曼荼羅(まんだら)の五部(仏部,金剛部,宝部,蓮華部,羯磨(かつま)部)の諸尊の観法の為に、各尊図像を上段に描き、中段には上の像に伴う梵字眞言、 下段には三昧耶形、契印を示し、尊名の梵字を書いています。図像,標幟(三昧耶形、契印)を白描で描いた天台密教の巻物。題に『 り多僧蘖ら五部心観』とあり,略して『五部心観』という。(引用 ブリタニカ国際大百科事典 )


仏像趣味人は、「儀軌」の事を 作仏の為の参考書と思いがちです。(私もそうでした)教わる内にそれは、密教で、仏・菩薩・明王・諸天などを念誦・供養する方法や規則。また、それらを記した典籍だと理解が進みました。


余談ですが、ここ数年、縁あって、ある人に大正蔵経に掲載の「阿娑縛抄」と「覚禅抄」を読み下してもらう勉強会に参加してます。それら図像集は白描図ばかりでなしに色々と その尊の尊榕ばかりでなく、尊の意味合い、その供養・修法の事、等色々がが説明されて居ました。そんな験で 今回展示の図像集の その拾い読める所を探し、受け売りで断片的説明をしました。
クリックすると新しいウィンドウで開きます  
次に、どの仏像の前での話か もう忘れてしまいましたが、「糞掃衣(ふんぞうえ)」が話題になりました。私はこの言葉はサンスクリット名の意訳と思いこんで居ました。Kitさんから、「糞掃衣」は音写訳との意見が 出ました。前回「仏像愛好の集」の場でも、音写の中でも意味的に適した文字が使われるとの 意見を出されてました。

そこで、自分も「糞掃衣」が 意訳なのか音写訳 なのか勉強してみました。
「糞掃衣」の説明にはごみの中に捨てられたぼろ切れの布でつくった衣。十二頭陀行の一つで,初期仏教の修行僧は執着を離れるためにこれを身に着けていた。とブリタニカ国際大百科事典に在ります。
日本大百科全書では、糞塵中に捨てられた布を拾い集めてつくった袈裟。サンスクリットのパンスクーラpsuklaの訳。袈裟として、もっとも理想的なもので尊重される。と在り、サンスクリットのパンスクーラpsuklaが分かりました。「糞掃衣」を サンスクリットの「パンスクーラ」の音写と見るは苦しいです。
続いて日本大百科全書では、衣財(えざい)については、10種の衣があり、『四分律(しぶんりつ)』では、牛嚼(ごしゃく)衣、鼠噛(そこう)衣、焼衣、月水(がっすい)衣、産婦衣、神廟(しんびょう)中衣、塚間(ちょうけん)衣、求願(ぐがん)衣、受王職衣、往還衣(おうげんえ)の10種をあげている。これらは貪著(どんじゃく)の心を除くための衣財で、その布を小さく切り、雑巾縫(ぞうきんぬ)いしてつなぎ合わせ、田と畦(あぜ)をかたどった条相をつくった。衲衣と同一にみるのは中国に至ってからで、インドではまったく区別されている。[川口高風]
と在り、条相衲衣(田相衣)と糞掃衣を区別しています。
 しかしブリタニカ国際大百科事典では仏教の出家修行者が着用する衣服のこと。人々の捨てた布を拾って,洗い,縫合せたりして着用したのでこのようにいい,また糞掃衣などとも称する と同一視しています。

何れにしましても その様に粗末を尊重するのは、頭陀の精神からと思います。
頭陀:デジタル大辞泉解説 - 《〈梵〉dhutaの音写》仏語。1 衣食住 に対する欲望を払いのけること。転じて、あらゆる煩悩を払い去って仏道を 求めること。また、そのための修行。
今度は袈裟で調べてみました。袈裟とは仏教の僧侶が身につける布状の衣装のことである。梵語で「壊色・混濁 色」を意味するカシャーヤ(Kasaya)を音訳したもの。糞掃衣、福田衣(ふく でんね)、法衣ともいう。(Wikipediaより)

と袈裟と糞掃衣と同一視するも、語源としては袈裟はカシャーヤを音訳したものと在ります。

袈裟が音写訳ですので 混同して糞掃衣を音写訳と覚えられたのではないでしょうか?

斯様に疑問やご自分で思われた事を 発言して下さい、講義形式とは相違で、ゼミナール的に皆で討論 考えて行く 勉強も楽しく思えます。


クリックすると新しいウィンドウで開きます  クリックすると新しいウィンドウで開きます
午前の展示鑑賞の部は13時に終了して、東洋館別棟1階 の「レストラン ゆりの木」で昼食をとり 14時前より 東洋館エントランス 奥の休息コーナーで 座学的な勉強会を始めました。 

次回はその様子を書かせてもらいます。




【終】長文にお付き合い有難うございました。 m(__)m

「仏像愛好の会in東博」「仏像の基礎勉強会」では 参集者を募集中です。 此処に皆済予告が出ます。宜しければ どなた様もお気軽に お試し参集をされてみませんか?




【追記】 この記事に付けられましたコメントを,(閲覧者のYahooDIno登録状況などに依り)、開いて読めない場合があると聞きましたので、 本文の末にコメント文を転載します。

     コメント(2)[NEW]
顔アイコン
毎回、出席する度に自分の知識の浅さを痛感しています。袈裟がカシャーヤ、糞掃衣がパーンスクーラの音写であると、「仏教、本当の教え」
植木雅俊著に書いてありましたので、そう申し上げてしまいました。もっと深く勉強しないといけませんね
削除
2016/2/19(金) 午後 9:19[ kit***** ]


顔アイコン
> kit*****さん
私の方が正しく、貴方のご意見を否定したようで済みませんでした。私が正しいとは言い切れません! また皆で検討してみましょう。 今後も大いに 発信して下さい。削除
2016/2/19(金) 午後 10:34[ 孤思庵 ]


★ 上記の如く 本文の末にコメント文を転載しますと、 それ以後のコメントが付けられないシステムの様です。 よって、本文の末にコメント文を転載は 止めます。 コメントを読みたく思われます方、コメントを付けてみようとされる方は Yahoo のID 登録をしてください。 そうすするとコメントを付けられる様に成ります。
id.yahoo.co.jp/start/registration.html - キャッシュ
簡単、無料で取得できるYahoo! JAPAN IDの登録方法を紹介します。Yahoo! JAPAN が提供するサービスをより安全・便利・お得に活用するために、Yahoo! JAPAN IDの 登録をオススメします。