孤思庵の仏像ブログ

少し深くの 仏像愛好のブログ続けてます、オフ会に集ってます、貴方も如何?

東京藝大 大学院美術研究科 博士課程学位論文「公開審査展」





                                                
  

 今日、12月22日に、表題の展覧会に Takさんと行って来ました。 

論文の題名は『宝菩提院菩薩半跏像および道明寺十一面観音菩薩立像(共に8世紀末~9世紀初め)の作風表現および造像技法における唐の影響についてー両像の摸刻制作を通してー

という博士論文の発表でした。博士論文との事で、難しそうと思ってましたが、仏像ファンの素人が聴いても 殆どが理解できる内容でした。それどころか話は両像に先立つ唐招提寺木彫像(8世紀中頃)の解説に始まり、それらが、唐の石仏像や、前代の捻塑像の形状を受け継ぐ、カヤ材の木彫仏(代用壇像)の紹介から始まり、それらが唐の影響を受けた事をも解説して、奈良末から平安時代初期の飛鳥を除く木彫仏のスタートで、唐・慧沼の「十一面神呪心経義疏」に依ると思われているカヤ材の代用壇像の発生や鑑真の第二次渡航計画に随行の彫工の影響やその他での唐風の伝播の話も在りで、まるで博士論文とは思えない仏像史概論的で、引き合いに出されました諸像は、神護寺薬師如来立像、東寺講堂の菩薩像、観心寺如意輪観音坐像、法華寺の十一面観音立像と銘品ぞろいで、(下に画像添付しました)まるで承和の仏像の講義を受ける様でしてみていてとても楽しかったです。最後に藪内教授の誘い水で藤原時代・寄木造りの受容までもの、仏像変遷にまで言及で、更には、それに加え10世紀の平安時代仏像の谷間まで説明して欲しかったとの藪内教授のダメ出しまでも加わり・・・、まるで奈良末からの木彫仏の仏像史の講義みたいで、今日の発表を聞けてよかったとのおもいでした。共通と相異の比較の為に列挙された仏像達を見ますと、藤原期以前の仏像は魅力的と再認識しました。

本題の両像の摸刻制作を通しての作風表現および造像技法における唐の影響についての研究と見解の方は、先に当ブログに発表されてます Mさんの秀文と、今一つ 今日同行したTAkさんも、今頃、同様に感想文を書かれていると想像しますので、ここでは下手な事は、言わずもがなでして、後に他の方の秀文にて お読みください。

実際に摸刻しての本作の研究 今回も摸刻研究が技能のみに在らずして、仏像史研究でもあると再認識しました。また木の香のまだする素木の摸刻仏像を鑑賞して、此れまで気付かなかった 、木目が読めて一木の範囲、矧ぎ方が良く分かるので、通常の仏像鑑賞とは違う仏像の造り方が分かるなど、皆さんにも、新品素木仏像の鑑賞も お奨めしたいと思います。

既にご存知の方も多いかとは存じますが、此処、東京藝大大学院 美術研究科 文化財保存学専攻 保存修復彫刻研究室 研究報告発表展
というものすごく長い名の 発表展が毎年春に在ります。(今年は4月半ばでした)
仏像ファンは一度は見た方が良いと思います。 時々ネット検索をされて来場してみてください。そこでは普段の仏像展では見られない仏像修理や仏像の摸刻など、ちょっと変わった仏像鑑賞が出来ます。

  


 神護寺薬師如来立像、  東寺講堂の金剛宝菩薩像、 観心寺如意輪観音坐像、  法華寺の十一面観音立像