孤思庵の仏像ブログ

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Mさん発表「快慶と行快」③耳の彫り方 へコメント的

 
 
 
先の日記でMさんの連続発表 今回は「快慶と行快(下)」に触れましたが、そこへのコメントを書きかけましたが、長文に成り文字数制限に懸かりそうですので、新たな任意とします。

3時間もの長講で色々盛り沢山ありましたが、私は③「耳の彫り方にとる作家の判定」が面白かったです。
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ここでも山本勉さんの論説からで、快慶とその一番弟子の行快の見極めの一つに耳の彫り方を挙げています。耳輪と耳垂以外は耳の部分名称などは知りませんでしたが、耳介の耳輪の内側にもに筋状に盛り上がる字状の凸部が在ります。それを対輪と云うそうです。上は二股に別れていて、上の方を対輪上脚、下を対輪下脚と云うそうです。 ここで注視はその片方の対輪上脚の向きだそうです。

快慶作では、はそれが斜め目に傾斜していますが、行快はそれが垂直気味に上に向かうそうです。

専門家はそんな処を研究しているのかと 感心しました。

快慶作の仏像の耳にも対輪上脚が上に向かうものもあるそうです。その事を学者は行快が快慶の助作をしたと考えているようです。面白いですね。
 
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安阿弥様は詳細に伝授されて居るはずですので、という事は対輪上脚には快慶も行快も、そんなに意識せずでの手癖だったのではないでしょうか?

仏像の耳に関しては、ある講演会(それも山本氏だったか?)で聞きましたは仏師の手癖は耳に表れるとの事でした。その理由に造仏に際し、施主は仏師に注文を付けたり、ダメ出をするようです。大いに想像は付きます。その際顔の内で感情を現すのは目と口です。それは大いに顔の好みに関係するでしょうし、目鼻立ちと云います、鼻も重要で品格を現します。で注文は付きます。 

一方、耳は感情の表現もしませんし、顔の中央からも外れ 目立たないので、めったに 耳について細やかな注文やダメ出しは施主側から出ないので、依って仏師の手癖が出やすい場所と聴いた事があります。

今件も耳は目立たない、意識が薄いと云う同じ理由かと思いました。 又、聞きました講演で運慶よりも整った感のある快慶ですが、快慶の方が左右の耳のズレは激しいと聞きました。

そういえば、釘による接合の説明でしたか、快慶の大日像頭部の真横からのX線写真で、耳の位置が随分と違っているんだと驚いた記憶を持ってます。


今回は、仏像の耳介の対輪の話でしたので、添付画像用に「仏像の耳」でネット画像検索しましたが ほとんど出て来ませんでした。この様にあまり気に留めない仏像の耳ですが、これからは対耳輪なども注視してゆきたく思います。

ここでは個人の癖のお話でしたが、仏像の時代的見極めにも耳は良く説明のポイントに成ってます。皆さん、各時代の仏像の耳の特徴大丈夫ですか?

飛鳥時代 :断面的に縁が角張っている。耳朶端の後方が角張っている。耳朶の孔が開いていない。

奈良時代前期(白鳳期) : 耳輪から耳朶にかけての線が曲線を帯び始める、耳朶の孔は開く。

奈良時代後期(天平期) : 肉付き良く量感がある。 耳朶は丸太い。

平安時代前期(弘仁期) : 断面的に丸みがなく角張っている。

平安時代後期(藤原期) : 耳朶が細く長くなる

鎌倉時代 : 奈良時代後期に戻ったような量感がある。 耳朶は丸太い。
 
これを調べてましたら、自分のブログ「仏像の耳」がヒットしました。 ご興味の方は 見てやってください。「仏像の耳 2014/2/17」でウェブ検索で出て来ます。