2014-05-08 メンバー日記転載 若狭・小浜 仏像の旅 第1回 小浜は稀有の土地 日記 #工芸 仏像愛好の集 メンバーの暗夜軒さんが他のSNSに投稿されましたので此処に転載致します。 若狭・小浜 仏像の旅 第1回 小浜は稀有の土地 例により古美術商氏と深夜2時から、2泊3日の小浜市の仏像を見て実践で仏を読みとることを学ぶため出発したが、今回ほど実際に仏像を見て、そこから読み取ることは独学では限界があり、指導してもらうことが必要なことを感じる旅になったことはない。史学や学芸員資格を大学で学んだときも、教官による研修旅行があったが、そういう意味だったのかと思い当った。 深夜2時に東京を出たのに、小浜に着いたのは連休もあり14時半であったが、その間、連続して仏像の理解の仕方を話しかけっぱなしで、早口で質問する間を与えないので、頭が付いていくのが大変だった。 現地に着けば、曇りで小雨さえ降っているが、この地域には湿潤な風土を感じる。冬は雪も多いのだろう。 古美術商氏は、「仏像を見るにはまさにふさわしい天気だ。しっとりとした湿潤な空気が仏像には必要である」と言うが、保存や公開にはいいとは思えんが、本人の美意識なんだろうと思いながら現地に入りました。 ここ敦賀から若狭にかけての地は大陸文化の影響を直に受けてきた地で。帰化人や朝鮮の王族を祀る神社も多い。 日本海と大陸のつながりを考えれば、まさに裏日本の中心、へそとも言うべき地で、江戸時代に入ってからは金沢が大きいが、室町時代以前を考えればこの地の位置は大きかっただろう。 この小浜だけで130もの寺があり、どの寺も檀家が100を超すところはないそうで、ほとんどが50以内の檀家だそうである。それでもこの地に残された重文の仏像は数多く、地域が狭い割に文化財の集中度はとてつもなく、そのレベルも京都が近いせいか高い、それに平安初期の仏像も多く、私のテーマにはぴったりの場所で、以前から、ここを見なければだめだと言われていたました。それも同じような寺がひとつもなく、ひとつひとつの寺に個性があります。 文化財の集中度でいえば、京都・奈良を抜いて間違いなく日本一です。これは面積あたりの重文の数という意味ですが、狭い地域に寺・仏像があるので、見学するほうも時間がかからず効率的に見れます。うまく車で回れば主な寺8つを1日で回れそうです。 ここは山や湾が入り組んで、外からの侵略を受けにくく遮断されて、争乱に巻き込まれることが少なかっただろうということも仏像や寺が多く残ることになったのだろうと思います。 しかし、ここに寺が多いのは小さな荘園が多く、受領が成功(じょうごう)を続け、富を蓄えて寺を造った中世の一般的な例と同じなんだろうが、それにしても小さな地域が昔はもっとあっただろう、これだけ多くの寺を経済的に支えるのは大変だったろう。寺を回り、今でも檀家が少なく寺を支えるのは大変なことだと聞きます。たぶん他地域の土地を寄進されて収入としていた寺もあったのではないかと考えるのですが、他地域の富が投入されていたならば、わからなくもありません。 それにしても地域の割には檀家が少ないというのは、仏教の教えをそれだけ住民に浸透させることが出来たのでしょう。住民は人がよく、素朴で擦れてないように感じ、ゴミひとつなく、自然がよくのこり、古い家が多く昭和がよく残っている。新しい家も回りに溶け込んだ家を造り、その技術も残っている。いわば、民度が高いように感じました。そして、若葉のころの回りの山は美しく、とても空気はよいのです。 古美術商氏からは研修の3日間、「仏像はじっくり見て、自分の言葉で感想が言えるようでなければ意味がない。自分の言葉・見方が大事である。ただし、独りよがりや勝手な解釈はあってはならない。専門家なら学会から追放されるが、素人だから勝手なことを言っていいわけではない。むしろ学者以上に勝手な解釈をしてはならない。」と言われ、推量でものを言うことには何度も注意されました。 彼は寺の宗派、成立時期、伝来は読んでも、仏像の特色や時代などの解説は読まないのです。自分で感じるようにということです。私には慣れないやり方です。そこで、他の解説に書かれたりしているのと似たりよったりのことを書く意味はないので、できるかぎり自分の言葉で書こうと思います。 次は芳賀寺の十一面観音から入ります。 2014年05月06日 10時14分 コメント 1 仏像好きの「孤思庵」 2014年05月08日 22時02分 以前より小浜の仏像 評価が高いは聞きますが「文化財の集中度でいえば、京都・奈良を抜いて間違いなく日本一です。」か「江戸時代以前は敦賀から若狭にかけての地は大陸文化の玄関口」認識させられました。 古美術商の方の「仏像はじっくり見て、自分の言葉で感想が言えるようでなければ意味がない。自分の言葉・見方が大事である。ただし、独りよがりや勝手な解釈はあってはならない。専門家なら学会から追放されるが、素人だから勝手なことを言っていいわけではない。むしろ学者以上に勝手な解釈をしてはならない。」は名言です。胆に命じます