孤思庵の仏像ブログ

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③「近江路の神と仏」展at三井記念美術館に三度目の鑑賞

三井記念美術館の「近江路の神と仏」名宝展に三度目の鑑賞に行って来ました。

鑑賞眼力が不足か、前に良く観たつもりが行く度に、また発見が出る。

【前からの続き】
 
 
1-9 素紋磬
http://img6a.smcb.dena.ne.jp/cvt/pst/1/701/vf73h84i9kala52h8ka52h8kala5210.jpg/500x500-49152.jpg

1-8・1-9・1-11・1-12に「磬」の展示が続く、「磬」中国古代の石板打楽器、日本では奈良時代以降、銅・鉄製の磬を仏具に用いる。法事の僧の右脇の机に置かれ、読経の始めや、合間に叩かれる。先の1-8・1-9展示品の2遺作は共に平安時代12Cの遺作であるが共に滋賀県指定の文化財、一方の1-11・1-12の磬は共に鎌倉時代13Cの作であるがいづれも国指定の重要文化財指定と成っている。共に中央の撞座(つきざ)の両脇に孔雀文が 鮮やかに配されている。 この場合、古さよりも出来がその文化財ランクの違いに成った様だ。

余談だが、工芸部門の文化財指定の基準は

重要文化財

一 各時代の遺品のうち製作優秀で我が国の文化史上貴重なもの

二 我が国の絵画・彫刻史上特に意義のある資料となるもの

三 題材、品質、形状又は技法等の点で顕著な特異性を示すもの

四 特殊な作者、流派又は地方様式等を代表する顕著なもの

五 渡米品で我が国の文化にとつて特に意義のあるもの

国宝

重要文化財のうち製作が極めて優れ、かつ、文化史的意義の特に深いもの


と昭和二十六年文化財保護委員会告示第二号(国宝及び重要文化財指定基準並びに特別史跡名勝天然記念物及び史跡名勝天然記念物指定基準)
に定められている。

巻単位言えば製作優秀、文化史上貴重、様式上意義のある資料、云々、もっと平に言えば、出来が良い、見本的である、珍しい、と言っていると思う。

この磬たちは百年ほど先に出来たものより優れた作の方が評価されるとの好例であろう。

また1-12に貞応元年(1222)の銘文がある。製作時代の確定したものは美術史上の目盛と成る事で価値が増す。

これは我々の関心の仏像についても同様だ在るので心しておきたい。

美しく人気の仏像と、国宝の仏像、との間に幾分のズレが生じる場合も有るということで、心したい。

もう一に保存状態の良し悪しが重要で後補修理の多いものはマイナス評価だ、大人気の円城寺運慶作の大日如来は人気先行するも、修理が多いとの理由で、なかなか国宝に指定されずで、思いの外で割と近年だったはずである。

【次日記に続く】