『金剛峯楼閣一切瑜珈
瑜祇経』に説く、獅子冠をかぶり3つの目と6本の腕をもつ
愛染明王。真赤な身色も、経典に日が輝く如しと説くことを典拠とする。めらめらと燃えるかのように逆立つ焔髪、眉を吊り上げ睨みつける目、牙をみせて開く口で怒りを表わす。目に水晶の板を嵌め込む玉眼という技法が迫力を出すのに効果的である。左肩にかける条帛、下半身に着ける裙には、截金(線状に切った金箔)による文様がのこる。
愛染明王は
金剛薩埵菩薩の化身なので怒りの顔も卑しくない。
内山永久寺に伝来したことが知られ、検討の余地を残すものの、『内山之記』にある薬師院安置の雲賀造像像と考えられる。彫刻作品としてのみならず、
厨子の絵画や色紙形の書、金属製瓔珞(ようらく)の細工など、総合芸術として貴重な作品である。
普通、
愛染明王は中段左手に弓、中段右手に矢を持つが、本像の中段左手は持物を取る仕様になっていない。
●梵名をラーガ・ラージャ( Ragaraja)と言い、愛欲の王という意味である。
サンスクリット経典には見ないで、
チベットの経典や儀軌には散見される。密号は「離愛金剛」。愛欲(小欲)を離れ、大欲に変化せしむ、の意である。第一手には金剛薩たの変化身を象徴とする五鈷杵・五鈷鈴を、左右第二手には金剛愛菩薩を象徴する
弓と矢をとり、右第三手には未敷蓮華、左第三手は何ももたず空拳をする。
その姿は、増益の徳があることを表している宝瓶(真理、
智慧、悟り、の三つの徳の宝石がはいっています)に活けられた赤蓮華は敬愛を表す蓮華座、その上で赤い円相を光背にして結跏趺坐し、一面六臂三目の赤肉色で、頭部には
衆生の五智を成就させる事を表す五鈷鉤の付いた獅子冠をかぶり、髪を逆立て、三目で、牙をむき出して□をカッと開き恐ろしい姿の忿怒(ふんぬ)尊です。仏敵を降伏させる事を表した形相です。目が三つあるのは三界(あらゆる世界)を見通す事を示してます。三つの目には三徳・仏部(
如来)蓮華部(菩薩)金剛部(
明王)の仏の威徳の全てをこの身体の中に有している事を表しています。耳に垂らす天帯(頭に巻いた帯)は何も聞かずに
如来自身の持つ清らかな欲望の心を知る事が出来るほどの帝王である証である事を表します。
腕は全部で六本、これは
地獄道、餓鬼道、
畜生道、
修羅道、人道、天道の六道すべてを救う意味で、(加持祈祷の目的で願文薄紙、鴛鴦の羽、生き胆などを持たす事もある)空拳、それ以外は全て持物を持ちます。
恋愛体験を通して優しさや慈しみを育てる願いを持っています。
大日如来---金剛薩捶(こんごうさった)---
愛染明王という流れがあり、太陽に縁が深いので日輪のなかに坐っています。