孤思庵の仏像ブログ

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集いin東博 の予習 ④ 【愛染明王坐像】

※10月6日「仏像愛好の集いin東博」に際し プログラムその一番最初の11号室「東京国立博物館140周年特集陳列 館蔵仏像名品選 」の仏像の解説を東京国立博物館-トーハク-の公式サイトより転載します。
但し●付き文章の文責は孤思庵に在ります。
 

担当研究員の一言

下方からの照明を増設したので、愛染明王像の厨子の天蓋や壁画、十二神将像の表情がよく見えます。ぜひご覧ください。/浅見龍介

重要文化財 愛染明王坐像 鎌倉時代・13~14世紀
 
 
重要文化財
指定名称:厨子入木造愛染明王坐像
1躯
木造、彩色・切金、玉眼
像高64.0髪際高47.4
鎌倉時代・13~14世紀
東京国立博物館
C1858
 
獅子冠をかぶり3つの目と6本の腕をもつ愛染明王。あらゆる煩悩を菩提心にかえるという尊です。本体の彩色,光背・台座・天蓋,さらに厨子にいたるまで鎌倉末期の造像当初のものを良好な状態で残しています。厨子内部の諸尊を描いた彩色画はことに注目されます。
 
『金剛峯楼閣一切瑜珈瑜祇経』に説く、獅子冠をかぶり3つの目と6本の腕をもつ愛染明王。真赤な身色も、経典に日が輝く如しと説くことを典拠とする。めらめらと燃えるかのように逆立つ焔髪、眉を吊り上げ睨みつける目、牙をみせて開く口で怒りを表わす。目に水晶の板を嵌め込む玉眼という技法が迫力を出すのに効果的である。左肩にかける条帛、下半身に着ける裙には、截金(線状に切った金箔)による文様がのこる。愛染明王金剛薩埵菩薩の化身なので怒りの顔も卑しくない。
内山永久寺に伝来したことが知られ、検討の余地を残すものの、『内山之記』にある薬師院安置の雲賀造像像と考えられる。彫刻作品としてのみならず、厨子の絵画や色紙形の書、金属製瓔珞(ようらく)の細工など、総合芸術として貴重な作品である。
普通、愛染明王は中段左手に弓、中段右手に矢を持つが、本像の中段左手は持物を取る仕様になっていない。
 
 
●梵名をラーガ・ラージャ( Ragaraja)と言い、愛欲の王という意味である。サンスクリット経典には見ないで、チベットの経典や儀軌には散見される。密号は「離愛金剛」。愛欲(小欲)を離れ、大欲に変化せしむ、の意である。第一手には金剛薩たの変化身を象徴とする五鈷杵・五鈷鈴を、左右第二手には金剛愛菩薩を象徴する
弓と矢をとり、右第三手には未敷蓮華、左第三手は何ももたず空拳をする。
その姿は、増益の徳があることを表している宝瓶(真理、智慧、悟り、の三つの徳の宝石がはいっています)に活けられた赤蓮華は敬愛を表す蓮華座、その上で赤い円相を光背にして結跏趺坐し、一面六臂三目の赤肉色で、頭部には衆生の五智を成就させる事を表す五鈷鉤の付いた獅子冠をかぶり、髪を逆立て、三目で、牙をむき出して□をカッと開き恐ろしい姿の忿怒(ふんぬ)尊です。仏敵を降伏させる事を表した形相です。目が三つあるのは三界(あらゆる世界)を見通す事を示してます。三つの目には三徳・仏部(如来)蓮華部(菩薩)金剛部(明王)の仏の威徳の全てをこの身体の中に有している事を表しています。耳に垂らす天帯(頭に巻いた帯)は何も聞かずに如来自身の持つ清らかな欲望の心を知る事が出来るほどの帝王である証である事を表します。

腕は全部で六本、これは地獄道、餓鬼道、畜生道修羅道、人道、天道の六道すべてを救う意味で、(加持祈祷の目的で願文薄紙、鴛鴦の羽、生き胆などを持たす事もある)空拳、それ以外は全て持物を持ちます。

恋愛体験を通して優しさや慈しみを育てる願いを持っています。大日如来---金剛薩捶(こんごうさった)---愛染明王という流れがあり、太陽に縁が深いので日輪のなかに坐っています。