孤思庵の仏像ブログ

少し深くの 仏像愛好のブログ続けてます、オフ会に集ってます、貴方も如何?

9月の『仏像愛好の集いin東博』 の報告

 
2012年09月04日21:55
 
2日(日)の定例の集いも何時ものように11号室の仏像観賞から始まりました。本日の参集は5名、先月と此方の陳列は変わらずなので、時間はとらないと思ったのですが、どうして、先月の観賞では見落とした所もありましてで、新しく気付く事が沢山あり、昼迄で2時間たっぷりと掛かかってしまった観賞とミーティングでした。まだまだ見極めが甘く見落としているのが多と気付かされました。キャプションの中には前回分と重複があるかもですが御容赦を願います。


http://image.tnm.jp/image/1024/C0021864.jpg
○菩薩立像 藤原時代  三尺像  寄贈品

肉付きがあって、やや沈んだ表情、厚い胸、衣襞の所々に しのぎが立つところなどや、両肩から垂れて肘にかかる天衣の質感ある表現は前時代の天平期の乾漆像的な表現を残している。内刳の無い一木造りで弘仁貞観期の特色を色濃く示す像である。

今回観賞時に気付いたのは、裏に廻って、良く観察すると、蓮華座の光背欠落の取り付け部分から窺われて、像と共に蓮肉の部分までが、足裏で切る事なしに一体に彫り出しているのが良く判る。まさに一木造りの典型をしめすサンプル的陳列である。


http://image.tnm.jp/image/1024/C0098603.jpg
○十一面観音菩薩立像  9C 三尺像  当館所蔵

一木造りで裳の中央部分の衣皺は鋭い、ボディー起伏の肉付き、いかり肩、背中を反らせた姿勢などに、これも弘仁貞観期の特色を色良く示す。顔や腕にはボディーある表面風化が無く、顔は手直しか?腕は完全に後補とが判る。しかも腕は短く感じられる。


http://image.tnm.jp/image/1024/C0055059.jpg
○天王立像  三尺像  11C 当館所蔵

個別名迄は詳細不明の天王像だ、それは伝来もハッキリしていないからで、おそらく寺から古美術商に流れ、それを博物館が買い上げた像なのであろう。腕部分が後補されていないので腕取り付け部分が良く判る。ほぞ穴上に回転防止の為の切り込み溝が走る。これがあれば回転はしないないので、ほぞあなは丸い穴で良いのであろう。
彫眼のままなの像です。変な言い方ですが・・・訳は、頭部を良く見ると 片方に長く、反対側は短く、まさに鋸で引いた様な溝があります。 おそらく室町期以降(縦引きの鋸は室町以降と聞きます)に玉願に改造に仕掛かるも、途中で止めたものと思います。
中止した理由はハッキリしませんが、この像 尊名が不明と来歴がわからないこと、また腕ましのままで補作されていない事、博物館所蔵等々を繋ぎ合わせて、この像の冷遇を想像します。おそらく存在していた寺の経済状況が芳しくなく、早くに寺から放出され、近代に古美術商から博物館が買い上げたものと想像したりしました。想像通りでしたら薄幸な仏像も在ると言う事ですね。


http://image.tnm.jp/image/1024/C0085861.jpg
○釈迦如来坐像  等身像  9~10C  当館所蔵

これも一木造りであるが、左腋下方に見える渦紋は弘仁貞観期に良く見られる。これは図像を彫刻に写した為と窺える。時代が少し下がりる根拠は、衣文が等間隔に平行に揃うのは藤原期の特徴で、此処に和様化への兆しが見えるが興味深い。



http://www.tnm.jp/uploads/r_exhibition/exhibition/LIST_3304.jpghttp://image.tnm.jp/image/1024/C0025733.jpg
不動明王像  尺六寸像 11C  寄贈品

古様の大師様の不動である。安然が著わした「不動明王立印儀軌修行次第」の十九観相は9世紀末には出来ているので、真言系の不動像かもしれない、但し、大師様と十九観相の不動は当初、時代判別、東密台密の判別があったようですがこの時代には互いに影響し合い、錯綜しているようです。

頂蓮華は欠失しているが取り付け穴が残り、当初の存在をし示している。




次のコーナーは国宝重要文化財の大型仏像ですが,次回に廻します。