勉強会の補足【准胝観音】
写真 准胝観音図像・神醍醐寺准胝観音護符・大報恩寺像
先月の尊像別講義内容は 馬頭観音、准胝観音、文殊菩薩でした。順に補足させて頂きます。
【准胝観音】
准胝て意味判りますか?判りませんね、インド原語をそうです中国漢字に意訳したのです。原語はチュンディー、最後の音を伸ばすので女性名詞。六観音の中では唯一の女性と成ります。
以下元々チュンディーというのはヒンドゥー教の主神シヴァの妃のひとり、ドゥルガー女神の異名のひとつで、仏教に観音(如来)として取り入れられた姿である。ドゥルガーというのは古代の神々と阿修羅との戦いの時に神々が共同で産み出した荒々しい女神で、ライオンに乗って進軍する強い女神です。実質的にはこのドゥルガー自身がシヴァの暗黒面を表す女神であるとされます。しかし後にはこのドゥルガーの怒りから更に激しい女神カーリーが生まれたとされたため、ドゥルガーはライオンを従えた美しい女神として描かれる様になりました。www.ffortune.net/spirit/tera/hotoke/kannon.htm -より
准胝観音の異名に七倶胝仏母(しちくていぶつも)、(梵名サブタコーティブッダ・マトリー)とも呼ばれます。此方の方が意訳的です。うち「倶胝」が判らないですね。広辞苑には、無量の大数、1000万(1億とも)と乗ってました。さらに漢和辞典で「倶」を調べたら、ともに、いっしょにの意と、「胝」は 押しつけて硬く擦るとありました。この二つが合わさると大数と成るのは不思議です。でもこれ以上は進めませんので、七倶胝仏母を考察します。
仏母とは読んで字の如く、仏を生むもの、仏(如来)が様々な智恵の仏格化であるなら、様々な智恵を生むものとなりましょう。
もう一つの仏母に仏眼仏母が在ります。仏の真理を見つめる眼を仏格化したものであり、なお、所依の経典によって、大日如来所変、釈迦如来所変、金剛薩埵所変の三種類の仏眼仏母が説かれる。ja.wikipedia.org/wiki/仏眼仏母より
七倶胝仏母の方は過去の多くの仏(如来)を生んだもの(智恵)といえますでしょう。
胎蔵界曼荼羅では中台八葉院の上の遍知院(あまねく智恵)、中台八葉院の悟りの世界に到るためには、一切の迷いを焼きつくし、太陽のごとくに輝く真実のあまねき知恵を求めねばならない。その象徴として卍を中心とする三角形の火焔を院の中央に描く、真知こそ諸仏を生ずるものであり、この胎生の徳を擬人化した仏眼仏母と七俱胝仏母を左側に、魔の障害を打破する鋭い真知の働きを示す大勇猛菩薩、大愛楽不空真実菩薩を右側に配する。
つまり仏母とは大日如来の智恵が仏格化し、多くの仏(如来)になる、または多くの菩薩が如来となる為の役割を担うを仏母と表現したものといってよいでしょう。
七倶胝仏母心大准提陀羅尼経には、罪障消滅 裁判勝訴 病気平癒 夫婦和合 安産子授け 旅行安全 息災延命の功徳があると説かれます。我が国でのこの尊の扱いは多様で、天台系ではこの尊は観音とは認めず、「准胝仏母」と呼称。そして仏眼仏母と同じ仏母にあたる尊挌とし、菩薩部(観音も。ここに分類される)でなく如来部に分類する。為に天台系では六観音に入れずに、代わりに不空羂索観音を入れます。
真言宗でも議論され、広沢流では仏母で観音で無いとし、小野流では宋代に観音と訳されたを根拠に観音としています。
尊容は色々ろあるようで多いのは一面十八臂ですが、この尊像は時に千手観音と混同されがちです。准胝観音の主結印は両手とも親指と薬指を合わせ輪を作り、両手とも胸の前にて説法印の体を示します。「合掌」をしているのは千手観音です。
その他の手には、施無畏印と開敷蓮華の手も在ります。他の持物には右手のそれぞれに剣、数珠、レモンの実(これを食べると気力がますと伝わります)、三鈷の戟のついた斧、三鈷の戟のついた鈎(鉤:こう=カギ)五鈷杵、花飾り環
左手の各々には如意宝珠幢(如意宝珠を載せた旗つき杖)、水瓶、索(縄)、法輪、法螺貝、賢瓶(宝・穀物・薬草・香を入れ 妙なる花で蓋をする)般若経典(般若は智慧と意訳され、この尊は智慧が仏を生むのを仏格化した を示す)
そしてこの准胝観音が単独に仏像とされる例は多くないようでが、禅宗でもよく拝まれ、黄檗宗、曹洞宗、臨済宗等の僧堂にその尊像が祀られています。いずれも江戸時代以降の作であり、奈良時代や平安時代の密教における単独の造像例はあまり多くありません。
遺作像としては、京都・大報恩寺(千本釈迦堂)の六観音像(重要文化財)中には准胝観音の像がある。奈良・新薬師寺旧蔵の伝・千手観音立像(重要文化財、文化庁保管)は、その像容から本来は准胝観音像と考えられています。上醍醐寺の坐像、広隆寺の准胝仏母などが著明です。
先月の尊像別講義内容は 馬頭観音、准胝観音、文殊菩薩でした。順に補足させて頂きます。
【准胝観音】
准胝て意味判りますか?判りませんね、インド原語をそうです中国漢字に意訳したのです。原語はチュンディー、最後の音を伸ばすので女性名詞。六観音の中では唯一の女性と成ります。
以下元々チュンディーというのはヒンドゥー教の主神シヴァの妃のひとり、ドゥルガー女神の異名のひとつで、仏教に観音(如来)として取り入れられた姿である。ドゥルガーというのは古代の神々と阿修羅との戦いの時に神々が共同で産み出した荒々しい女神で、ライオンに乗って進軍する強い女神です。実質的にはこのドゥルガー自身がシヴァの暗黒面を表す女神であるとされます。しかし後にはこのドゥルガーの怒りから更に激しい女神カーリーが生まれたとされたため、ドゥルガーはライオンを従えた美しい女神として描かれる様になりました。www.ffortune.net/spirit/tera/hotoke/kannon.htm -より
准胝観音の異名に七倶胝仏母(しちくていぶつも)、(梵名サブタコーティブッダ・マトリー)とも呼ばれます。此方の方が意訳的です。うち「倶胝」が判らないですね。広辞苑には、無量の大数、1000万(1億とも)と乗ってました。さらに漢和辞典で「倶」を調べたら、ともに、いっしょにの意と、「胝」は 押しつけて硬く擦るとありました。この二つが合わさると大数と成るのは不思議です。でもこれ以上は進めませんので、七倶胝仏母を考察します。
仏母とは読んで字の如く、仏を生むもの、仏(如来)が様々な智恵の仏格化であるなら、様々な智恵を生むものとなりましょう。
もう一つの仏母に仏眼仏母が在ります。仏の真理を見つめる眼を仏格化したものであり、なお、所依の経典によって、大日如来所変、釈迦如来所変、金剛薩埵所変の三種類の仏眼仏母が説かれる。ja.wikipedia.org/wiki/仏眼仏母より
七倶胝仏母の方は過去の多くの仏(如来)を生んだもの(智恵)といえますでしょう。
胎蔵界曼荼羅では中台八葉院の上の遍知院(あまねく智恵)、中台八葉院の悟りの世界に到るためには、一切の迷いを焼きつくし、太陽のごとくに輝く真実のあまねき知恵を求めねばならない。その象徴として卍を中心とする三角形の火焔を院の中央に描く、真知こそ諸仏を生ずるものであり、この胎生の徳を擬人化した仏眼仏母と七俱胝仏母を左側に、魔の障害を打破する鋭い真知の働きを示す大勇猛菩薩、大愛楽不空真実菩薩を右側に配する。
つまり仏母とは大日如来の智恵が仏格化し、多くの仏(如来)になる、または多くの菩薩が如来となる為の役割を担うを仏母と表現したものといってよいでしょう。
七倶胝仏母心大准提陀羅尼経には、罪障消滅 裁判勝訴 病気平癒 夫婦和合 安産子授け 旅行安全 息災延命の功徳があると説かれます。我が国でのこの尊の扱いは多様で、天台系ではこの尊は観音とは認めず、「准胝仏母」と呼称。そして仏眼仏母と同じ仏母にあたる尊挌とし、菩薩部(観音も。ここに分類される)でなく如来部に分類する。為に天台系では六観音に入れずに、代わりに不空羂索観音を入れます。
真言宗でも議論され、広沢流では仏母で観音で無いとし、小野流では宋代に観音と訳されたを根拠に観音としています。
尊容は色々ろあるようで多いのは一面十八臂ですが、この尊像は時に千手観音と混同されがちです。准胝観音の主結印は両手とも親指と薬指を合わせ輪を作り、両手とも胸の前にて説法印の体を示します。「合掌」をしているのは千手観音です。
その他の手には、施無畏印と開敷蓮華の手も在ります。他の持物には右手のそれぞれに剣、数珠、レモンの実(これを食べると気力がますと伝わります)、三鈷の戟のついた斧、三鈷の戟のついた鈎(鉤:こう=カギ)五鈷杵、花飾り環
左手の各々には如意宝珠幢(如意宝珠を載せた旗つき杖)、水瓶、索(縄)、法輪、法螺貝、賢瓶(宝・穀物・薬草・香を入れ 妙なる花で蓋をする)般若経典(般若は智慧と意訳され、この尊は智慧が仏を生むのを仏格化した を示す)
そしてこの准胝観音が単独に仏像とされる例は多くないようでが、禅宗でもよく拝まれ、黄檗宗、曹洞宗、臨済宗等の僧堂にその尊像が祀られています。いずれも江戸時代以降の作であり、奈良時代や平安時代の密教における単独の造像例はあまり多くありません。
遺作像としては、京都・大報恩寺(千本釈迦堂)の六観音像(重要文化財)中には准胝観音の像がある。奈良・新薬師寺旧蔵の伝・千手観音立像(重要文化財、文化庁保管)は、その像容から本来は准胝観音像と考えられています。上醍醐寺の坐像、広隆寺の准胝仏母などが著明です。