孤思庵の仏像ブログ

少し深くの 仏像愛好のブログ続けてます、オフ会に集ってます、貴方も如何?

観仏像紀 鶴林寺 聖観音立像(金銅・白鳳)

2011年06月14日15:16
以前の日記に書き漏らした事が有りますので、また書きます。

鶴林寺、蟹満寺で、現存の希少な白鳳仏にお目に掛かれた事です。

鶴林寺気付かなかったが、西の法隆寺と言われるほどの聖徳太子と関わりの深い古刹です。
鶴林寺の仏像で最も有名なのが、聖観音像である。宝物館に、独立のガラスケースに安置されていて、4方ど何処らも見ることができる。お顔と容姿あいまって総体、、見るものに気持ちの安らぎを与える像です。
鶴林寺、銅造聖観音立 重文。頭部から台座まで一体となった像高82.5センチメートルの白鳳期の鋳造仏で、お顔はこの時代の金銅仏らしく顔はやや大きめにつくられ、にこやかに優しくほほえみ、白鳳時代の典型的で、美しく親しみやすい。まげは低く、三面頭飾。正面の頭飾にはやや抽象化したような阿弥陀像が描かれて、この像が観音像と分かる。
躯体はやや上体を左に傾け、腰を絞るとともにややひねり、左足を少し浮かせて、足先を左へと出す軽やかなポーズ、ほっそりとした流麗な立ち姿。それは静中に控えめに動の気配を漂わす。それに添う流れるような天衣(1963年に盗難に遭い、後に発見されたが、天衣の一部が切断されるなどの損害があった。その後、原状どおりに修復されている。)左手で天衣を掴み持つしぐさは、他にはあまり見られないような気がする。衣は薄く表され、条帛は体貼り付くようである。腰から下の足の間に折り畳まれた裙の縦の線に腰から下がる紐が重なりあって縦のラインが目立つ、その左右では足の動きにつれて現れる連なる楕円の襞が脚を包む。さらに左右の頭飾から下がる紐、左肩からの天衣、条帛はそれぞれ重なりを呈している。
白鳳期の金銅仏では、 太子所縁の本家・法隆寺には見事に整ったお顔の夢違観音が有る。両者の比較も興味深い、全体の硬さや前述の腰から下の縦のラインと瓔珞の様、天衣に珍しい形で付く、花形の装飾に、法隆寺の夢違い観音よりも古式を感じる。

この像は、現在ほぼ全体が黒っぽい色の中にところどころに金色が覗く、金銅仏と言うので鍍金(ときん)と思っていたが、何とこの像は金箔なのだそうです。
文献などでは金箔か鍍金(ときん)かの記述がなく、長年、金の部分の剥離(はくり)、変質と考えられてきたが、実は表面の黒ずみはすすなどの汚れと分かり、約千三百年たった現在も、汚れの下にほぼ完全な形で全身に金箔(ぱく)が残っていることが、近年の宇田応之早稲田大理学部教授らのXRDFと言うX線を使った初の科学的な調査調査で分かったそうです。 宇田教授は「推察の域にあった歴史を科学的に裏付けられた。うまく汚れを落とせば、輝きを取り戻すでしょう」と話してたとの事です。
関連記事をネットで見つけましたので転載します。
 
鶴林寺聖観音像だけでなく、日本の仏像の多くはこのような黒っぽさを呈しており、これは仏像が火事に遭った際に表面の金が青銅中に拡散し、代わりに酸化第二銅(CuO)が像表面を覆ってしまったからであると説明されていました。また、大抵の場合、表面に用いられていた金は、鍍金であると説明されていました。
XRDFによる分析を行った結果以下の点が明らかになりました。
・表面の黒ずんだ色の原因物質は主に塩基性硫酸銅と土埃等を含むススで、火災に遭った際にできると考えられてきた酸化第二銅(CuO)では無かった。
・ほとんどの部位で見つかった金は合金で、金箔もしくは金泥であった。鍍金の場合は純金が検出されると考えられるため鍍金ではない。


 前述で少し、盗難の経緯に触れたが、新薬指示の香薬師(新薬師寺には、かつて香薬師仏と呼ばれ、東京深大寺の釈迦如来倚像に似た古式の風貌の逸品があったが、昭和18年に盗難にあい現在行方がわからない。)の如くにはならずに、戻られたことに安堵する。実はこの像はもっと古くに盗難の逸話が残っている。それをご披露して終わりましょう。

その昔この仏像を盗んだ男が、金銀でできた仏像だと思って盗んだが、ところ銅造だったもんで腹を立ててかなづちで壊そうと腰のあたりを打ったところ仏像が「あー痛たたーっ!刀田へ帰えろー」と声を発したため、泥棒の男は驚いてこの仏像を鶴林寺へ返して改心したという伝説です。ちなみにこの聖観音像の腰が大きく曲がっているのはこの時に、金槌で打たれたからだと言われ。この事で「アイタタ観音」の愛称があるそうです。


鶴林寺聖観音像 関連はあまり触れられる書物は少ないように感じられる。
毛利久著 「鶴林寺聖観音像を中心として」があるそうだ、今度図書館で観てみます。もっと詳しいことが判るかもです・・・・。


次回は同じく白鳳仏ので、奈良伝来とも言われます、蟹満寺の釈迦如来坐像について書かせて頂くかもです。