孤思庵の仏像ブログ

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Takさんの投稿 4月28日  「奈良新聞」新聞記事、「芸術新潮」誌記事他報告

Takさんの投稿 4月28日
奈良新聞」新聞記事、「芸術新潮」誌記事他報告



●「奈良新聞」掲載記事について(1):

私が3月23日にブログに投稿した「興福寺中金堂落慶記念・特別講演会」(3月19日・
銀座ブロッサム)の講演内容の報告が、1か月後の4月18日(木)の「奈良新聞・8
面・9面特集面見開き」に掲載されました。大きくカラー写真もあわせて、ロバー
ト・キャンベル東大教授と多川俊映貫首のお話しが、見開き紙面一杯に紹介されてい
ます。私は講演会当日は掲載紙の購入申込をしていませんでしたが、ヒョンなことか
らある寺院の方から頂戴することになりました。新聞紙面は自宅のプリンターではコ
ピーしきれないので、別途ヨーカドーで縮小コピーなどしてみたいと思います。それ
よりも私が投稿した講演内容の記述が間違っていなかったかが気になります。これか
ら読み比べてみないといけません。



●「奈良新聞」掲載記事について(2):

上記新聞の同日の3面、第1社会面に、「興福寺放生会」(鯉や金魚などの魚を南円
堂前で殺生の供養をし、猿沢池に放逸するもの)という伝統行事が17日に営まれた記
事よりも大きく掲載されていた記事がありました。

現在奈良博で開催中の「国宝の殿堂・藤田美術館曜変天目茶碗と仏教美術のきらめ
き」展覧会で展示されている「空也上人立像」(藤田美術館所蔵)についての調査報
告が大きく取り上げられていました。

空也上人」は、平安時代中期に優婆塞として阿弥陀信仰を念じ、諸国を「念仏」に
よって庶民に信仰を説いて廻り、念仏を広めた修行僧です。「空也上人立像」は、京
都・六波羅蜜寺像が有名ですが、私がこの展覧会場で拝した仏さまも見た目には、当
像も大体同じような姿態で、1mほどの大きさで胸をはだけ右手に首から吊るした鉦
鼓を打ち鳴らす棒を持ち、左手に頭に鹿の角がついた杖を持ち、草鞋を履く。玉眼嵌
入の頬骨の出た痩せた面相と体躯で、口から出る銅線に付いた湧雲に乗った姿の6体
の小さな仏さまで「南無阿弥陀仏」と唱える様が特異です。



調査・発表した奈良博・山口隆介研究員によると、英国王室の所蔵品を管理する管理
団体「ロイヤル・コレクション・トラスト」から、「明治12年から15年(1879年〜
1882年)にかけて英国海軍の軍艦で世界中を訪問した、アルバートとジョージの2皇
子が明治14年に日本を訪問した当時のことも含めて、随行した家庭教師が著した旅行
記があり、その記述から詳細が判明し、その中に「口から人を出す仏」を東大寺大仏
殿で観たという記事があり、当時大仏殿で開催された「第六次奈良博覧大会」に出展
されていた仏が同像ではないか。」との来歴に関する連絡がありました。また同様の
古写真に、明治8年開催の第一次奈良博覧大会では当像と思しき出展像の写真が遺っ
ており、「福井みね所蔵」と記した写真がある。また、明治末期に東大寺の末寺に
なった奈良「隔夜寺」(かくやじ)本堂にも、寺近在の住民が奈良博覧大会開催時に
撮影された同像の写真を、大正7年になってから複写して隔夜寺に納めた記録があ
り、その写真には「空也堂所蔵」、「当堂古代本尊」との墨書があり、当堂=空也
とみれば現在の隔夜寺本堂に安置されていた可能性が高い。「明治時代初期に奈良の
寺院に存在していた当像が、藤田美術館の手に渡ったことで、今回の展示は百数十年
ぶりの奈良への里帰りになる」と山口隆介研究員が語っています。ちなみに同展の図
録にも同じことが解説されており、英王室蔵の写真と現在の藤田美術館所蔵の当像写
真と明治初年の個人蔵の複写写真とが並べて掲載されています。

なお、山口隆介研究員は現在の隔夜寺の本尊は「長谷寺式十一面観音菩薩立像」であ
り、空也上人が始めたという「隔夜」修行が、長谷寺と奈良近在との間で近年まで風
習として遺っていたということから、隔夜寺に当像が祀られていたとしても不思議で
はなく可能性が高い、との解説をされています。

この件でも、藤田美術館が所蔵する以前の「空也上人立像」の様子が垣間見られてお
り、散逸したり消失せずに今日まで遺ってきた歴史が明るみに出た、ということで
す。



奈良新聞京都新聞については、時々注意して検索して観ていますがこの記事につ
いては、うっかりしていました。



●「芸術新潮」5月号・「特集・オールアバウト東寺」:

昨日(26日・金)最寄書店の「美術図書」コーナーに平積みされていた「芸術新潮
誌を立ち読みして来ました。表紙は昨年秋の「オールアバウト運慶」発刊時と全く同
じで、黒地のベースにいっぱいの「東寺講堂・持国天立像」写真が鮮やかでインパク
トがあります。この雑誌も全ページカラー写真を掲載して、洋の東西を問わず美術作
例や展覧会などの紹介をしています。ページをめくると、「東寺」の概略や真言宗
こと、境内風景写真と共に、ページいっぱいの仏さまの画像が多く掲載されており、
編集者の執心ぶりが伺われます。記事解説は「講堂篇」、「金堂・食堂・御影堂
篇」、「請来仏篇」、「鎮守八幡宮五重塔篇」の主要な記事編輯を、皿井舞・東博
調整室長が担当されており、大量な画像と共に読み応えがあります。「後七日御修
法」関係のぺージは、瀬谷貴之・金沢文庫学芸員が執筆されています。また東寺1200
年資料として、新見康子・東寺文化財保護課長が執筆されています。展覧会で拝した
仏さまなど大きな画像いっぱいのサービスです。



特集記事の他に、「仁和寺観音堂&金堂壁画群公開」についての紹介が綺麗です。
観音堂壁画公開(本尊千手観音菩薩立像他二十八部衆像、堂内壁画など公開)につい
ては、私が以前広報したことがあるはずで、私は先に金堂裏堂の壁画(五大明王
像)を拝観しています。また、昨年の東博仁和寺と御室派のみほとけ」展覧会での
観音堂内部再現(複製)をご覧になったでしょう。その両堂が公開されることになり
ます。金堂裏堂壁画に劣らず観音堂壁画も極彩色で明瞭・華麗な壁画群を期待してい
ます。私は5月中旬開幕直後の拝観を予定(5月17日)しています。



他に、「上原美術館」(伊豆・下田)の「伊豆半島仏像めぐり」展覧会の案内や、
「美に魅せられて」ページでは、「興福寺・国宝館・国宝・華原馨」を大橋一章・早
大教授が紹介しています。