孤思庵の仏像ブログ

少し深くの 仏像愛好のブログ続けてます、オフ会に集ってます、貴方も如何?

Takさんからの投稿 2018年末の報告

Takさんから  2018年末(12月)の報告 のメールが届きました。

3か月間のあいだに溜まった集いの会関連の仏教美術関係情報を整理したり、拝観見
聞情報や記録・記憶を順次纏めています。西洋美術関係や幕末・明治維新関係を除き
ます。あいにく今後は美術関係よりも幕末・明治維新や近世政治思想関係の活動が中
心となりますので、こうした活動報告も減少することになるかもしれません。



昨年末に送信残の原稿があり数件は昨日送信したのですが、只今よく確かめたところ
残原稿がありました。これが最後に残った原稿です。



●2018年12月6日(木) 京都・仁和寺秋の特別拝観「金堂裏堂五大明王壁画、経
蔵」拝観

境内正面の金堂はそこかしこに菊の紋章を飾金具などで意匠をほどこした重厚なお堂
です。だでさえ荘厳な金堂内陣の「阿弥陀三尊像」と後壁・柱・長押の全面的な壁仏
画(阿弥陀浄土変相南天鉄塔、各尊仏画、飛天像など)に感嘆しながら、須弥壇
周り込むと普段入り込むことの出来ない裏堂が思いの外広々とした空間で、日常では
漆黒の闇の中にありながら、この時とばかりロウソクの薄明るい、それでいて拝観者
にとってこれ以上の明るさは無いと思われるほどの程よい明るさの雰囲気の中に、内
陣裏板壁に組み込まれた「五大明王像壁画」が見事・見事でした。陽の目を見なかっ
ただけに完璧と思えるほどに保存状態がよく、長時間壁画前で腰を据えて拝観するこ
とが出来ました。内陣の6本の柱の柱間を利用し、床面から長押までの高さに縦に6〜
7枚の板を組み込んで極彩色に描かれた、等身大ほどの強烈な大胆な姿態をした各明
王像、手を伸ばして画像に触れたい誘惑に駆られるほどに接近して、随所に施された
朱色や群青色や青緑色の各々に色調の濃淡を使い分けたコントラストの鮮やかな配色
は遠目にも鮮やかでいっぺんに眼に入り込んできます。また細かくは「繧繝文様」の
彩色や「虎皮裙」の文様の違い、火焔の描写の違いなどなど、飽きることなく時間が
過ぎて行きました。順に「金剛夜叉明王像」、「降三世明王像」、「不動明王像」、
軍荼利明王像」、「大威徳明王像」と並び、右左と行ったり来たりしながらの拝観
となりました。特に中央の不動明王像には去りがたく魅入ってしまう気分でした。よ
くぞここまで400年近くの歳月を暗い堂内で佇んでこられたことに感激です。五大明
王像の概略については別途ご連絡することがあるやもしれず、今回は省略します。私
が他の拝観客と違って、その場を離れないのを訝しがったのか寺僧が話しかけてこら
れました。やはり気になったのでしょうか。

金堂東側の「経蔵」も中央に天井まで届くような大きな「八角輪蔵」をしつらえ、数
多くの経箱が時代を偲ばせるもので、足を留めずにはおかない見事なものです。「天
海僧正」の「一切経」が経箱の中に納まっていて当時の寺僧が祈りをささげる姿を想
像するには拝観者の姿が多すぎました。「霊宝館」にも脚を運び、ジックリと寺宝を
拝観して来ました。金堂手前の「観音堂」は2019年5月の修復落慶法要で平成大修復
を完成・公開予定だそうです。

金堂前の簡易テント受付をしている男性の方々も肌寒い天気の中で、一生懸命対応を
してくださりましたが、いかんせん今回の公開されている壁画の資料や写真類が少な
いのが残念でした。それでも各尊のクリアファイルとはがき大の各尊のカラー写真く
らいしかありませんでした。たしか集いの会のメーリングリストのアルバムに画像を
紹介した覚えがあります。



●2018年12月7日(金) 京都・醍醐寺秋季特別公開(特に「水晶宝龕入り木造阿弥
如来立像」公開展示)

バス停から歩きなれた醍醐寺境内をまっすぐに「霊宝館」に向かいました。玄関右手
に特別に大きなスペースで仕切りを設けて「水晶宝龕入り木造阿弥陀如来立像」が公
開展示されていました。あまり来館者も多くなく閑散とした館内でも、関心を持って
足を運ぶ来館者も少なく、ゆっくりと時間をかけて拝観することが出来ました。想像
では2〜3片の水晶で包まれた蓮華台座の中に仏さまが立っているものと思っていまし
たが、蓮華の蕾状をかたどった大きな1片の水晶塊を磨いたものであったので驚きで
した。また、仏さまは素で拝するとずんぐりとした寸詰まりの像態に観えましたが、
何と水晶宝龕内に立つ姿はスマートそのものでした。屈折の関係で外からは見栄えが
よく観えるようで、制作時にそこまでの効果を考慮していたのでしょうか?館内を一
巡りしてからまた戻って来ては再度の拝観となりました。このような稔侍仏がらみの
仏さまは、ほかに作例があるものでしょうか?どこかの地で限定ながらにも流行った
ものなのでしょうか?それともどこかの数寄者が独自のものとして考案したものなの
でしょうか?改めて専門の研究者に伺ってみたいものです。思いがけず女性職員か
ら、展示場所にはおいていない調査時の概要をまとめた資料図録があるということで
戴きました。やはり監修は副島弘道先生でした。たしか集いの会のメーリングリスト
のアルバムに画像を紹介した記憶がありますのでご覧になった方もいらっしゃるで
しょう。

館退出後は醍醐寺境内を1周して(上醍醐へは登らず)から、翌12月8日(土)は奈
良・興福寺での仏教文化講座なので、奈良のホテルに向かいました。



●2018年12月8日(土) 興福寺講座聴講と中金堂拝観

久し振りの興福寺佛教文化講座聴講と中金堂を拝観しました。中金堂は秋の落慶供養
(天台法要と結願興福寺法要の2日間)の参列の際の、厳かなそれでいて煌びやかな
雰囲気に興奮したことがかなり昔のことのように感じました。辻明俊師にもお会いし
ご教示頂きました。中金堂堂内では奈良市内在住のある会社の役員の方(Nさん)と
しばらくお話しをすることとなり、別れ際にアドレスや電話番号まで教えていただき
ました。また、どこかでお会い出来るかもしれません。



2019年3月18日  PM11:00  Tak