孤思庵の仏像ブログ

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10/18 Takさんの投稿 「興福寺南円堂(追加)と大津博「神仏のかたち」展 1


興福寺南円堂開扉(大般若経転読会)の新聞記事について:

只今、旅行不在中に自宅宛てに配達された新聞を整理していたら、「朝日新聞・10月17日・夕刊・1面・囲み記事」に眼が止まりました。タイトルは「康慶 ずら
り11体」、「奈良・興福寺南円堂 運慶の父が手がけた仏像」です。カラー写真を見てすぐに、私が写っていると分かりました。それはいつもの薄茶色のくたびれた
キャップを被っているからです。入堂しばらくで堂衆に注意されてキャップを脱いだので、その前に撮られた写真だと思います。向かって右隣りの男性も結構仏像や歴
史に詳しくて話しを伺いながら巡っていたのです。私が南円堂入口で三重塔を撮影しているときから朝日新聞の記者の方と一緒でしたし、堂内でもつかず離れずとい
う感じで、幾度となく言葉を交わしたことがあったので、入堂後のどの時点かで撮影されたものでしょう。記事から記者は「矢木貴晴」氏ということでした。思わぬとこ
ろで私が南円堂へ行った証拠写真になった感じです。





もう一つ、前回の投稿(興福寺南円堂開扉についての記事)について、追加があります。私の投稿文中にある四天王像が1月に南円堂に移安された時点では「重文」で
したが、その後3月に審議会推薦、4月文化庁確定で「国宝」に指定されています。私の投稿文中に国宝指定についての記述が抜けていました。あたかもまだ四天王
像は重文かのように印象付けられてはご迷惑なので、追加説明いたします。現在は南円堂内に本尊、四天王像、法相六祖像合わせて11体の仏さまと祖師像が祀られてい
ます。

そして、朝日新聞記事にも『重文の四天王像も近く国宝へと格上げされる見通しだ。』と誤ったことが文中に書かれています。新聞記事にも注意が必要です。





話しの順序が逆になりましたが、10月16日(火)に出掛けた大津歴史博物館の展覧会についてご報告します。

●「神仏のかたちー湖都大津の仏像と神像―」展覧会:

(10月13日・土~11月25日・日 9:00~17:00 月曜休館 入館料800円)

展覧会情報: 
http://www.rekihaku.otsu.shiga.jp/news/1807.html 

(展示作例が画像入りで紹介されています。以下の文章の確認が出来ます)

10月16日(火)いつものように早朝に京都経由でJR大津駅へ。距離はあるが単純な道のりなので電車に乗り換えずに歩くこととしました。琵琶湖疎水口から園城
寺(三井寺)境内へ。寺域を抜けて大津歴博へ約30分ののんびり歩きです。早朝の空気は少しひんやりとして気持ち良い感じでした。琵琶湖疎水口では遊覧船の運行準
備をしていました。園城寺では拝観客もまばらで森閑とした寺域です。大津歴博に到着です。眼下の琵琶湖は朝靄のせいかはっきりしませんが、明るい陽射しが気
持ち良かったです。博物館の午前9時の開扉には数人の拝観客を見かけました。

会場内に入ってすぐには、10㎝ほどの小さな「金銅釈迦誕生仏」(聖衆来迎寺蔵)、大きな「釈迦涅槃図」(安養寺蔵)、その前には新知恩院蔵の小さな「釈迦涅槃
像」(胸に水晶を嵌めた10㎝ほどの木彫像=以前大津歴博龍谷大学ミュージアムで拝観した時の報告をしたことがあります)と面白い配置に感心しました。

その後にも「崇福寺塔心礎納入品一式」(近江神宮蔵)には数多くの小さな銅製や銀製の舎利容器、箱の中には瑠璃壷、水晶玉、香木片、など白鳳時代の精緻な細工技
法が感じられます。私が今春拝観した園城寺唐院三重塔の「釈迦如来三尊坐像」は、上品で綺麗な造りのかなり装飾的に偏った傾向のある、江戸時代初期の七条仏
師の像も展示されています。西教寺蔵の「薬師如来坐像」、新知恩院蔵の「阿弥陀二十五菩薩来迎図」は、割と小ぶりな鎌倉時代の絹本着色の来迎図。

注目したのは、他の阿弥陀如来立像と並んで展示されている西教寺蔵の「阿弥陀如来立像及び両脇侍像」です。これについては、詳細を説明する必要がありそうで
す。いわゆる中尊・阿弥陀如来立像が足枘が無く、裳裾に別材の2本の管と台座からの棒で本体を支えている形式となっています。加えて着衣の裙の合わせ目が背
面に来る形は仏師・快慶様の意匠です。また脇侍像の観音菩薩立像の左足枘に「工匠 法橋行快」との墨書銘があります。法橋行快のキーワードから本像の制作年
代は1216年~27年頃と考えられるそうです。この件は最新の知見ではないのですが、寺島氏の8月におっしゃったことと関係がないのかなど、また機会を見つけ
て彼にお話しを伺いたいと思っています。

石山寺蔵「大日如来坐像」も拝観出来ました。今春には多宝塔内に安置されているところを、塔外から拝したことがありました。満月寺蔵「聖観音坐像」もユニーク
な感じの仏さまでした。特に「耳朶」が外側に反って広がる姿は平安時代によくある事のようです。正法寺蔵「十一面観音立像」は大きめの頭上面や頂上仏面が印象的で
す。近松寺蔵「千手観音立像」は優しい面相の小振りな像です。妙傳寺蔵「弥勒菩薩半跏思惟像」は銅造鍍金の、金銅仏としては大きめの姿で宝冠や装飾の細緻な細
工は渡来仏の可能性があります。園城寺蔵「普賢菩薩坐像」は極く小像でかわいいのですが、精緻な彫法や装飾、截金文様の賑やかさは脱帽です。延暦寺蔵「五大明王
像」のうちの4体は大柄な像態ながら各像共に優れた彫法で迫真の表情をあらわしています。延暦寺蔵「四天王像」も等身大くらいに大きな像ですが、細部に亘っての彫
法や甲冑などの勇壮な表現が見事です。石山寺蔵「二天王立像」も迫力のある像態は見事で、また着衣の各所に施された幾種類もの截金文様の綺麗さに驚きです。石山寺
像や聖衆来迎寺蔵「吉祥天立像」の2体も着衣(蔽膝や襠衣や鱨袖など)について浄瑠璃寺像と比較すると面白い様子が分かりました。聖衆来迎寺蔵「大黒天立像」や安
養寺蔵と園城寺蔵「三面大黒天立像」には驚きで、今まで拝した事の無い像態です。園城寺蔵「訶梨帝母倚像」2体は、赤子を抱く優しい表情の細工の細やかな像表
現で、色彩・文様もしっかりと遺るものです。石山寺蔵「維摩居士坐像」は脇息に身体を持たれかけて大きな頭部と顎鬚がハッキリと彫られていないが一見して存在感が
あり、親しみのある仏さまです。延暦寺蔵「維摩居士坐像」は石山寺像とは異なり脇息に両肘を乗せ両腕を屈臂して印を結び問答を行なっている様を表しています。

神像と仏画関係については優れた作例も多くありましたが、別途機会があればご紹介します。

その仏画中での注目は、延暦寺蔵「普賢延命菩薩画像」は大きめの画幅で菩薩像が円光背を付け金色の20臂像です。また菩薩が載る4頭の白象の頭上に大きめの四天
王像が立っているというものです。

開館の午前9時から途中展望室での若干の休憩を挿んで4時間半を大津歴博で過ごしました。あまり入館者も多くなく、というよりも少なくて、拝観は独り占め状態で
した。あいにく寺島典人学芸員は出張中で、以前のマンツーマンでのご教示のようには出来ずお会い出来ませんでした。

また本展関連の講演会(植村・元興寺研究所の湛慶講義と杉崎・手塚山准教の仏師の実像について)の聴講をしたいと思っています。



2018年10月18日 PM18:00  Tak





Takさんへ
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