孤思庵の仏像ブログ

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Mさんの投稿 「運慶展その他展覧会関連情報」

Mさんから「運慶展その他展覧会関連情報 」の投稿がありました。
 
【以下、Mさんの投稿文です】
 
1)運慶展の内容発表
420日に東博運慶展についての報道発表があり、東博HPに公開されましたのでお知らせします。(下記アドレス:「プレスの方へプレスリリース」に出ています)
私の注目作は愛知・瀧山寺聖観音、奈良・長岳寺阿弥陀三尊、興福寺南円堂四天王。浄楽寺阿弥陀三尊や静岡・瑞林寺地蔵をご覧になっていない方には朗報ですね。北円堂弥勒仏や東寺御影堂弘法大師法隆寺金堂阿弥陀如来はやはり出ません。なお、余談ですが、Takさんが書かれていた東博運慶展の直後に金沢文庫で運慶展があるという情報の件、某研究者にお伺いしたら本当の話だそうです。近々瀬谷さんの講演会に行くので、内容等を聞いてみたいと思います。
 
2)芸大で法隆寺金堂釈迦三尊のレプリカを展示
418日~72日の予定で上野芸大音楽学部内のArts & Science LABブリューゲルバベルの塔の大型立体模型が展示されています。(都美術館のブリューゲル展協賛企画)この同じ会場内で法隆寺金堂釈迦三尊と金堂壁画のレプリカが展示されています。
この釈迦三尊は以前から置いてあったそうですが、一般公開は今回が初めてとのこと。(今まではガラス越しに遠くから眺めるだけ)
レーザー計測したデータより3Dプリンターを使って原型を作り、それを型にして富山県高岡の鋳造工房が金銅仏にしたそうです。原作と異なるのは、①両脇侍の左右を入れ替えた(脇侍の左右に広がる天衣の長さが異なるが、本来は外側にくる天衣が長くないとバランスが不自然であり、原作は脇侍の左右配置が誤り)、②釈迦の白毫を再現した(原作では欠損)、③釈迦の螺髪を増やした(原作では一部欠損)、④光背の縁に開けられている火炎差し込み用の孔を省略した、⑤光背の最上部のひび割れを再現しなかった。
レーザー計測は原作で陰になっている部分(例えば脇侍光背の陰になる大型光背の部分)のデータを取得していないので、その部分は手作業でデータを補ったそうです。また、各工程別の費用としては3Dプリンターでの原型製作が最も高額であり、また、鋳造よりも台座製作の方が高額とのこと(桧の材料費)。
レプリカとはいえ本物そっくりに作られていて、すぐ近くで見ることができるので、芸大へ行かれたら是非立ち寄ることをお勧めします。なお、秋頃には光背周縁の火炎も再現し、芸大美術館で展示することも検討中とのこと。(火炎の形は東博法隆寺宝物館の甲寅年銘光背の火炎を参考にして作ることになりそう)
 
3)東博新指定文化財特別陳列での注目作
19日に行ってきましたが、大阪・金剛寺大日如来光背の化仏と台座の獅子について注目した点を報告します。この大日如来については過去に論考が出されていますが、不動明王の銘文(快慶弟子の行快作)が発見されてから、化仏の作風については快慶風が顕著であるとされ、不動・降三世明王と同時期に行快一派により作られたということになりました。展示品は金剛薩埵と思われる八角形の宝冠を被った像と髻が見えている菩薩像の2体と獅子2体ですが、特に金剛薩埵の方は快慶に近い目尻の上がった厳しい表情をしています。耳を見ると上脚が真直ぐ上を向いている行快の特徴がよく出ています。もう一体の菩薩の方は微笑みの表情をしていることと耳の上半分が髪の毛で隠れているために、作者の判定ができません。東博へ行かれたら展示ケースの左側へ回って金剛薩埵の右耳をよく見るようにしてください。なお、獅子については大日如来本体と同時の平安時代末期(1180年頃)とされています。大日如来の光背化仏が不動・降三世明王と同時期になった理由は、三尊を整備する費用に苦労して、長期間かかったためと考えられているそうです。19日には山本先生も来ておられました。
 
【以上、Mさんの投稿文です】