「春日権現験記絵」が 東京国立博物館 で9月から
8月21日の 日記 【報告】興福寺文化講座(東京)「興福寺と光明皇后」8月20日(木)←ココを左クリックしますと出て来ます。 の記事中に出てました 興福寺文化講座の第二講の「春日権現験記」を受講のお仲間が数名いらっしゃいますので お知らせします。
No.707:特集「春日権現験記絵模本II―神々の姿―」
1. 特集「春日権現験記絵模本II―神々の姿―」
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9月1日(火)~10月12日(月・祝) 本館特別1室
奈良県奈良市に鎮座する春日大社。
ここに祀られる神々の利益と霊験を描いたのが、
春日権現験記絵(三の丸尚蔵館所蔵)です。
原本は鎌倉時代後期に制作されましたが、
江戸時代後期にはこの春日権現験記絵の模本が制作されました。
本特集は、春日権現験記絵模本を紹介する第2回目の企画です。
ちなみに昨年の第1回目は「春日権現験記絵模本I―美しき春日野の風景―」と題して、
春日権現験記絵模本や春日宮曼荼羅図を通じて、
聖地・春日野の景観をご紹介しました。
→ http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1676
さて、第2回目のテーマは「神々の姿」です。
絵巻のなかで、神は様々な姿で描かれています。
貴女として竹の上に座っていたり、束帯(そくたい)姿で舞っていたり、
童子になって僧の膝の上に座っていたり、まさに変幻自在!
美しい画面とともに、神々がその姿を現わす不思議な物語も本作品の魅力です。
さらに、今年と来年は、ちょうど20年に一度の春日大社の式年造替にあたります。
春日大社にお参りした方もまだの方も、この機会に春日権現験記絵模本を
見にいらしてはいかがでしょうか?
【展示の詳細】
→ http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1746
HPトーハク の 春日権現験記絵模本Ⅱ―神々の姿― より引用
春日権現験記絵模本Ⅱ―神々の姿―
.snsb {float: right; }.snsb li { float:left; padding:0px 5px; background:none;}.snsb li.twitter { float: right; list-style:none;} 春日権現験記絵模本Ⅱ―神々の姿―
本館 特別1室 2015年9月1日(火) ~ 2015年10月12日(月)
本館 特別1室 2015年9月1日(火) ~ 2015年10月12日(月)
奈良県奈良市に鎮座する春日大社は、創建以来多くの人びとの信仰を集めてきました。この春日大社に祀(まつ)られる神々の利益(りやく)と霊験(れいげん)を描くのが春日権現験記絵(三の丸尚蔵館所蔵)です。全20巻から成るこの絵巻は、鎌倉時代の後期、高階隆兼(たかしなのたかかね)という宮廷絵所(きゅうていえどころ)の絵師が描いたもので、多くの絵巻作品の中でも最高峰のひとつに数えられています。
江戸時代後期には、紀州(和歌山)藩第10代藩主徳川治宝(とくがわはるとみ、1771~1852)の命によってこの春日権現験記絵の模本が制作されました。浮田一蕙(うきたいっけい、1795~1859)、冷泉為恭(れいぜいためちか、1823~64)、岩瀬広隆(いわせひろたか、1808~77)といった名だたる復古やまと絵師たちによって写された模本には、彼らの画技がいかんなく発揮されています。
この特集は、春日権現験記絵模本の魅力とともに、春日信仰の諸相を様々な角度からご紹介する試みの第2回目で、今回は「神々の姿」をテーマとしました。本来、神の姿は眼に見えないものですが、この絵巻の中では束帯(そくたい)の男性、貴女、童子、仏など、様々な姿で描かれています。美しい画面とともに、変幻自在な神々の姿にご注目ください。
江戸時代後期には、紀州(和歌山)藩第10代藩主徳川治宝(とくがわはるとみ、1771~1852)の命によってこの春日権現験記絵の模本が制作されました。浮田一蕙(うきたいっけい、1795~1859)、冷泉為恭(れいぜいためちか、1823~64)、岩瀬広隆(いわせひろたか、1808~77)といった名だたる復古やまと絵師たちによって写された模本には、彼らの画技がいかんなく発揮されています。
この特集は、春日権現験記絵模本の魅力とともに、春日信仰の諸相を様々な角度からご紹介する試みの第2回目で、今回は「神々の姿」をテーマとしました。本来、神の姿は眼に見えないものですが、この絵巻の中では束帯(そくたい)の男性、貴女、童子、仏など、様々な姿で描かれています。美しい画面とともに、変幻自在な神々の姿にご注目ください。
担当研究員の一言
全20巻から、春日の神々を描く巻を厳選して展示します。神々がその姿を現わす不思議な物語とともに、美しい画面をご堪能ください。/土屋貴裕*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
【関連 昨年のコラム】
前回の昨年は春日権現験記絵模本I―美しき春日野の風景― でした。それも掲載しておきます。、
本館 特別2室での 2014年7月23日(水) ~ 2014年8月31日(日) の展示でした。
本館 特別2室での 2014年7月23日(水) ~ 2014年8月31日(日) の展示でした。
その時のコラムも添付しておきます。
以下 HP「トーハク」より 引用
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春日権現験記絵とは、奈良市に鎮座する春日大社に祀られる神々の利益と霊験を描く絵巻で、三の丸尚蔵館が所蔵しています。全20巻から成るこの絵巻は、鎌倉時代の後期、時の左大臣西園寺公衡の発願により、高階隆兼という宮廷絵所の絵師が描いたもので、多くの絵巻作品の中でも最高峰の一つに数えられています。
この絵巻、永らく春日大社に秘蔵されてきたのですが、江戸時代の終わりに民間に流出してしまったようなのです。関係者の努力により絵巻は回収されましたが、こうした貴重な絵巻が紛失した時にそなえ、模本を作ろうという動きが出てきました。その命を下したのが紀州(和歌山)藩主徳川治宝(とくがわはるとみ)。治宝は幕末において様々な文化的な営みを主導した、まさに「文人お殿様」。この絵巻の模本を作ることで、いにしえの有職故実の研究にも役立てようとしていたようです。林康足、原在明、浮田一蕙、冷泉為恭、岩瀬広隆といった復古やまと絵師たちによって写されました。
模写にあたっては「復元模写」という、絵の具や絹などが剝落した箇所を復元し、彩色などをする方法がとられました。発色の良い絵の具が眼に栄えます。今回この特集で展示しているのは、この時写された模本です。模本といって侮ってはいけません。原本制作当初はこうした発色だったとも思われます。
http://www.tnm.jp/uploads/fckeditor/blog/201408/uid000067_201408111413026573574a.jpg
春日権現験記絵模本 巻第19(部分) 冷泉為恭他模 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵
この雪山の表現は原本でも模本でも、全場面中白眉の表現。
さて、今回の特集は「美しき春日野の風景」をテーマに、験記絵模本の中から、春日野を描く場面を選りすぐって展示しました。
春日社は藤原氏の氏神として多くの崇敬を受け、人びとは春日社の朱塗りの美しい鳥居や社殿を前に祈りを捧げてきました。ただ、春日の神々への祈りは社殿など目に見えるものではなく、目に見えぬ神々、そして神々の鎮座する春日野という「場」へ捧げられたものでした。春日野そのものが聖なる祈りの対象であるという認識です。こうした考えから、「春日宮曼荼羅」など、春日野の景観を一望にする作品が多く制作されました。
http://www.tnm.jp/uploads/fckeditor/blog/201408/uid000067_2014081114130559a77bc1.jpg
春日宮曼荼羅図 鎌倉時代・13世紀(8月11日(月)で展示終了)
こうした聖地春日野の景観をふんだんに描き、その聖性を絵巻に込めたのが春日権現験記絵でした。
展示している各場面の詳細な説明は出来ませんので、一場面を取りあげます。
この絵巻の最終巻であり最後の絵である巻第20です。
http://www.tnm.jp/uploads/fckeditor/blog/201408/uid000067_201408111413091229bc92.jpg
春日権現験記絵模本 巻第20(部分) 冷泉為恭他模 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵
春日の二の鳥居から本殿へ至る参道が長大な画面に描かれています。春日社を主題とするこの絵巻の中でも、これほど長く春日野を描いた箇所はありません。まさにこの絵巻のハイライトと呼べるシーンです(一方、物語の内容は春日の怪異をめぐるお話。詳細は会場で)。
展示室は多くの「美しき春日野の風景」であふれています。ぜひともお運び頂き、その清澄で美しい春日野の景観に思いを馳せて頂ければと思います。
最後に、展示室の作品には、どこにもかしこにも多くの鹿が描かれています。愛らしい鹿たちを探すのも、この特集の楽しみ方の一つです。
http://www.tnm.jp/uploads/fckeditor/blog/201408/uid000067_2014081114131397abe6b6.jpg
春日権現験記絵模本 巻第12(部分) 冷泉為恭他模 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵(8月12日(火)から展示)
鹿に囲まれる牛車。これには深い訳があります。答えは会場の解説に。ぜひお越しください。
奈良県奈良市に鎮座する春日大社は、創建以来多くの人びとの信仰を集めてきました。この春日大社に祀られる神々の利益と霊験を描くのが春日権現験記絵(三の丸尚蔵館所蔵)です。全20巻から成るこの絵巻は、鎌倉時代の後期、高階隆兼(たかしなのたかかね)という宮廷絵所(きゅうていえどころ)の絵師が描いたもので、多くの絵巻作品の中でも最高峰の一つに数えられています。
江戸時代後期には、紀州(和歌山)藩第10代藩主徳川治宝(とくがわはるとみ、1771~1852)の命によってこの春日権現験記絵の模本が制作されました。浮田一蕙(うきたいっけい、1795~1859)、冷泉為恭(れいぜいためちか、1823~64)、岩瀬広隆(いわせひろたか、1808~77)といった名だたる復古やまと絵師たちによって写された模本には、彼らの画技がいかんなく発揮されています。
この特集は、春日権現験記絵模本の魅力とともに、春日信仰の諸相を様々な角度からご紹介する試みの第1回目で、今回は「美しき春日野の風景」をテーマとしました。春日信仰においては、神々がまします春日野の景観そのものも信仰の対象とされ、多くの絵画作品に描かれてきました。今も清澄で美しい自然にあふれる聖地・春日野の景観を、春日権現験記絵模本や春日宮曼荼羅(かすがみやまんだら)、春日鹿曼荼羅(かすがしかまんだら)などからご紹介します。
江戸時代後期には、紀州(和歌山)藩第10代藩主徳川治宝(とくがわはるとみ、1771~1852)の命によってこの春日権現験記絵の模本が制作されました。浮田一蕙(うきたいっけい、1795~1859)、冷泉為恭(れいぜいためちか、1823~64)、岩瀬広隆(いわせひろたか、1808~77)といった名だたる復古やまと絵師たちによって写された模本には、彼らの画技がいかんなく発揮されています。
この特集は、春日権現験記絵模本の魅力とともに、春日信仰の諸相を様々な角度からご紹介する試みの第1回目で、今回は「美しき春日野の風景」をテーマとしました。春日信仰においては、神々がまします春日野の景観そのものも信仰の対象とされ、多くの絵画作品に描かれてきました。今も清澄で美しい自然にあふれる聖地・春日野の景観を、春日権現験記絵模本や春日宮曼荼羅(かすがみやまんだら)、春日鹿曼荼羅(かすがしかまんだら)などからご紹介します。
担当研究員の一言
見渡せば、この展示室は春日野の造詣で埋め尽くされています。「そうだ 奈良、行こう」ではないけれど、美しい聖地・春日野の景観を鑑賞した後は、実際に春日の地を訪れてみるのはいかがでしょう。/土屋貴裕http://www.tnm.jp/uploads/fckeditor/uid000068_20110408171406e1b2547e.gif 主な出品作品 |
http://www.tnm.jp/jp/common/images/line_g.gif |
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。 |
春日宮曼荼羅図 鎌倉時代・13世紀(2014年8月11日まで展示)
春日本地仏曼荼羅図 鎌倉時代・13世紀(2014年8月12日から展示)
春日権現験記絵(模本) 巻第十六 冷泉為恭他模 江戸時代・19世紀
春日鹿曼荼羅図 室町時代・16世紀 内藤堯宝氏寄贈
春日権現験記絵(模本) 巻第十九 冷泉為恭他模 江戸時代・19世紀
春日宮曼荼羅彩絵舎利厨子 室町時代・文明11年(1479)
春日本地仏曼荼羅図 鎌倉時代・13世紀(2014年8月12日から展示)
春日権現験記絵(模本) 巻第十六 冷泉為恭他模 江戸時代・19世紀
春日鹿曼荼羅図 室町時代・16世紀 内藤堯宝氏寄贈
春日権現験記絵(模本) 巻第十九 冷泉為恭他模 江戸時代・19世紀
春日宮曼荼羅彩絵舎利厨子 室町時代・文明11年(1479)
関連リンク 【昨年の展示ですが参考に…】
<1089ブログ> 展示室で歩く聖地・春日野
春日権現験記絵とは、奈良市に鎮座する春日大社に祀られる神々の利益と霊験を描く絵巻で、三の丸尚蔵館が所蔵しています。全20巻から成るこの絵巻は、鎌倉時代の後期、時の左大臣西園寺公衡の発願により、高階隆兼という宮廷絵所の絵師が描いたもので、多くの絵巻作品の中でも最高峰の一つに数えられています。
この絵巻、永らく春日大社に秘蔵されてきたのですが、江戸時代の終わりに民間に流出してしまったようなのです。関係者の努力により絵巻は回収されましたが、こうした貴重な絵巻が紛失した時にそなえ、模本を作ろうという動きが出てきました。その命を下したのが紀州(和歌山)藩主徳川治宝(とくがわはるとみ)。治宝は幕末において様々な文化的な営みを主導した、まさに「文人お殿様」。この絵巻の模本を作ることで、いにしえの有職故実の研究にも役立てようとしていたようです。林康足、原在明、浮田一蕙、冷泉為恭、岩瀬広隆といった復古やまと絵師たちによって写されました。
模写にあたっては「復元模写」という、絵の具や絹などが剝落した箇所を復元し、彩色などをする方法がとられました。発色の良い絵の具が眼に栄えます。今回この特集で展示しているのは、この時写された模本です。模本といって侮ってはいけません。原本制作当初はこうした発色だったとも思われます。
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春日権現験記絵模本 巻第19(部分) 冷泉為恭他模 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵
この雪山の表現は原本でも模本でも、全場面中白眉の表現。
さて、今回の特集は「美しき春日野の風景」をテーマに、験記絵模本の中から、春日野を描く場面を選りすぐって展示しました。
春日社は藤原氏の氏神として多くの崇敬を受け、人びとは春日社の朱塗りの美しい鳥居や社殿を前に祈りを捧げてきました。ただ、春日の神々への祈りは社殿など目に見えるものではなく、目に見えぬ神々、そして神々の鎮座する春日野という「場」へ捧げられたものでした。春日野そのものが聖なる祈りの対象であるという認識です。こうした考えから、「春日宮曼荼羅」など、春日野の景観を一望にする作品が多く制作されました。
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春日宮曼荼羅図 鎌倉時代・13世紀(8月11日(月)で展示終了)
こうした聖地春日野の景観をふんだんに描き、その聖性を絵巻に込めたのが春日権現験記絵でした。
展示している各場面の詳細な説明は出来ませんので、一場面を取りあげます。
この絵巻の最終巻であり最後の絵である巻第20です。
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春日権現験記絵模本 巻第20(部分) 冷泉為恭他模 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵
春日の二の鳥居から本殿へ至る参道が長大な画面に描かれています。春日社を主題とするこの絵巻の中でも、これほど長く春日野を描いた箇所はありません。まさにこの絵巻のハイライトと呼べるシーンです(一方、物語の内容は春日の怪異をめぐるお話。詳細は会場で)。
展示室は多くの「美しき春日野の風景」であふれています。ぜひともお運び頂き、その清澄で美しい春日野の景観に思いを馳せて頂ければと思います。
最後に、展示室の作品には、どこにもかしこにも多くの鹿が描かれています。愛らしい鹿たちを探すのも、この特集の楽しみ方の一つです。
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春日権現験記絵模本 巻第12(部分) 冷泉為恭他模 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵(8月12日(火)から展示)
鹿に囲まれる牛車。これには深い訳があります。答えは会場の解説に。ぜひお越しください。
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posted by 土屋貴裕(平常展調整室研究員) at 2014年08月12日 (火)