Mさんの寄稿 「バークファウンデーションの仏像について」
Mさんからの 藤田美術館快慶作地蔵の投稿に付加かれている文章の3行目
メンバーのMさんから 寄稿が在りました。
8/19に投稿した藤田美術館の快慶作地蔵菩薩に関連して、アメリカ・バークファウンデーションの仏像のホームページを見ていたら、いくつか気になる作品がありましたので投稿します。私も外国のホームページで日本の仏像を調べたことはあまりありませんが、なかなか面白いものがありました。
まずは下記のホームページを見てください。(アドレスに下線がついていれば、そのまま左クリックで開くことができます。できなければコピー&ペーストしてからリターンしてください。)
写真1列目右が快慶作地蔵菩薩。2列目右が推定快慶作不動明王です。画像を2、3回クリックするとパソコンの画面一杯まで拡大されます。地蔵菩薩は截金文様がとても綺麗です。不動明王については醍醐寺三宝院、京都宇治田原正寿院の快慶作不動と同じぐらいの大きさ、形から快慶一派の作と推定されているものです。醍醐寺の像は胎内銘から快慶の作と確定していますが、正寿院の像は台座裏の後世の銘から快慶と推定されているもので、重要文化財です。奈良博に(平常陳列で)出ていますのでご覧になった方も多いと思います。お寺のホームページの不動明王の写真は下記を参照。
なお、バークファウンデーションの地蔵菩薩と不動明王の2体は2006年1~3月に東京都美術館で開催されたバークコレクション展に出品されています。(残念ながら私は行っていません。)その時の様子は滋賀県のMIHOミュージアムへ巡回した時の下記ホームページで分かります。
最初のバークファウンデーションのホームページに戻り、写真の上から3列目、左から2番目の毘沙門天を開いてください。日本語で「肥後仏師定慶」と書いてあります。この像の形と肥後定慶の文字から、すぐに連想するのは東京芸術大学の肥後別当定慶作毘沙門天です。(下記ホームページ)
バークファウンデーションの毘沙門天は迫力があってなかなか面白い像です。彩色も綺麗なので拡大してよく見てください。首が短くて、芸大の像よりも運慶の願成就院毘沙門天に近い感じがします。(願成就院像は当初の状態より首が落ち込んでいるらしいのですが。)なお、「肥後仏師定慶」という表現は聞いたことがないので、この用語については日本の美術史専門家は関与していないのかと思います。
次にバークファウンデーションのホームページの左の方の文字のSculptureのBuddhistの下のShinto(神道)のところをクリックすると、埴輪、神像、狛犬の写真が6枚あります。この中の2列目左の蔵王権現に注目しました。平安時代のものとは思いますが、両足とも地面につけて直立し、両手を胸前で交差しています。このような形の蔵王権現は見たことがありません。強いて言えば軍荼利明王の地方作(埼玉飯能の常楽院像や滋賀県金勝寺像など。下記ホームページ)がこれに近いと感じます。