孤思庵の仏像ブログ

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【修正途中・未整理】 仏像関係の新刊紹介 「現代仏師と読み解く 聖なる異形の仏像」

驚きの造形と存在感。「現代仏師と読み解く聖なる異形の仏像 」が発売

           2015年5月15日 -新刊本 の広告と書評を見つけました。
http://plginrt-project.com/adb/wp-content/uploads/2015/05/91L2VjVOfeL-1-550x300.jpg

2015/5/21に綜合図書から書籍「現代仏師と読み解く 聖なる異形の仏像」が発売されます。本書では、一般的な仏像の造形となにかが違う、五劫思惟阿弥陀如来坐像やみかえり阿弥陀像、釈迦如来像などいわゆる「異形の仏像」が多く取り上げられています。
それぞれの仏像に付けられたコピーもなかなか秀逸で仏師の視点から、その仏像が意味するもの、造形の秘密、歴史的背景といった解説しています。仏像好きはもちろん、そうでない方も楽しめる内容となっています。価格は1,512円、112ページです。

【孤思庵随筆】
この本は見て居ないのですが…異形の仏像を取り上げた本は以前にも在り 眼を通しました。それは唯、紹介でしたが、上記の新刊本は「現代仏師と読み解く 」の副題が付いて居ますので、図像学的掘り下げのコピーが付いていると想像します。
私がここで申したいのは、異形の仏像のそれに限らず、仏像は読み解く が面白いと思って居ます。 異形のそれより 趣味途中の私達にとっては、ポピュラーな仏像の読み解きの方をまずは優先と思います。その方向の掘り下げも宜しく・・・!

添付写真 異形?異形じゃないじゃん・・・坐像の千手と思いましたが。良く見ると合掌手が無いです、手も42本には足りないようです。上下が切れた写真では分らなかったのですが、



此の写真で全体を見れば、騎象であります? 普賢で調べてみましたが多臂は見当たりません、第一手に蓮華を持ちますので観音のように思えますが、 証の頭上の阿弥陀化仏が立像でついて居るようでもありますが、「の」の文字に邪魔され判然としません!確かに異形の菩薩像です・・・お判りの方いらっしゃいますか? この本買ってみますか!?  おそらくどこかの図像文献には記載されているのでしょう 近頃機会が在り 阿娑縛抄や覚禅鈔を見る機会が在り、十一面や不動に数多の異形があるを知りました。きっとこれも源典は何れかの図像集で、それに依り作造されたものかと推測します。

乗り掛かった船で 佐和隆研の「仏像図典」で調べてみました、騎象から普賢菩薩は見当が付きますので普賢菩薩では持物は色々あるものの何れも二臂でした。 

在りましたよ!普賢延命菩薩 これです、多臂(20臂)で複数(四頭)の像に乗って居ます。増益延命の三昧に住する普賢菩薩を言うそうです。
普賢というのはインドではサマンタバドラと呼ばれ、すべてに亙って賢く、しかも善であるという意味で、その内実として幸福、長寿の願いが込められている菩薩です。 それで、普賢延命菩薩は 除災、長寿などを祈念する修法「普賢延命法」の本尊と成りうるのです。  

この普賢延命菩薩の持物は調べても見つけられませんでしたが、しかし調べるうちに、普賢延命菩薩と胴体と見られる大安楽不空真実菩薩の 曼荼羅の所在は、胎蔵界遍知院〔一切如来智印(三角智印) 大智の力をシンボリックに…)の向かって右端に住するのでして、儀軌には大安楽不空真実菩薩が普賢延命菩薩であるとありまして、その楽不空真実菩薩の儀軌が見つかりました。

頭に五仏の冠を頂き、二十本の手があり、
右手には  五鈷杵・五鈷鉤・ 箭・弾指・三瓣宝珠・日輪・如意幢・双立三鈷・金剛鉤・金剛索
左手には  蓮華・利剣・八幅輪・舌中三鈷杵・十字羯磨・甲冑三鈷杵・双立利牙・剛拳金剛鎖・金剛鈴  をそれぞれ手にしています。

思った通りに上部掲載の普賢延命菩薩の尊容にほぼ合致と思われます。 上記の持物はほぼすべて写真に見られてると思います。最初に見つけた三鈷2個が並び立つは、「双立三鈷」其のままで良いのですね。唯一 不安でした 舌中三鈷杵 も、形は分からないですが、舌中三鈷杵でのネット検索で 「如来舌(舌 中に三鈷杵)を持ちます。」の文章にあたり、ほぼ意味を掴めました。
なお如来舌で検索してみましたら、如来舌菩薩・にょらいぜつぼさつ(梵名:Tathagatajihvaタターガタジフバ). 儀軌に. 左手 舌の三昧耶形を置いた蓮華を持つ。 右手 掌を仰げて胸の前におく。 如来舌菩薩 は如来の説法は常に真実のみ語ることを示すために、如来舌といいます。と在りまして、如来舌を弁舌 巧・爽やかを象徴かと誤解していましたが、常に真実のみ語ることだったんですね!

 ムム 第一手は金剛薩埵と同じに右手に五鈷杵(ごこしょ)、左手に五鈷鈴を持つ…金剛薩埵の変化身か?  さらに読めば、白宝口鈔に「延命と普賢延命と普賢と金剛薩埵とは大体同じ。普賢は因位(修行中の地位)の名なりと在り、この尊は灌頂を受けて金剛薩埵と号す。と・・・ そしてこの尊(金剛薩埵)が延命の三昧に入ると普賢延命菩薩と成り、真言系では二十臂を具えるとありまして。これには四摂智の三昧耶形(仏を表す象徴物)を持つとありました。

それを読んでから上の普賢延命菩薩写真の持物を見ますと、三昧耶形と分かるものが見えて来ました。
左手の一番下の持物、三鈷が二つ並立するもが見られます。三昧耶形と菩薩の持物との共にあるものも多いですが、三鈷が二つ並立するもの(名前が在るのでしょうが調べられてません)は、一般持物に見られない、正に.「三昧耶形」だけのもので
これらは那智出土の平安時代(12世紀)の金銅三昧耶形です。
個々の三昧耶形の名称は 判らないのですが、上の左の写真の三昧耶形は正に上に掲載の普賢延命菩薩写真の持物の一つと合致してます。上の右の写真の前列右端の金剛鈴も同じく前列右端の三鈷も左右の手に持たれて居ます。(金剛薩埵の持物です)

先述の白宝口鈔の文章「延命と普賢延命と普賢と金剛薩埵とは大体同じ。普賢は灌頂を受けて金剛薩埵と号す。そしてこの尊(金剛薩埵)が延命の三昧に入ると普賢延命菩薩と成り、真言系では二十臂を具える、その手には四摂智の三昧耶形(仏を表す象徴物)を持つ。が納得させます。

此処の「四摂智の三昧耶形」については「四摂智」とは、衆生を導く、又は 救い取る智慧なのだそうでして、その智慧を持つ菩薩が四摂菩薩なのでしょう、四摂智の三昧耶形(仏を表す象徴物)を持つとありましたとありました 四摂菩薩の三昧耶形が知りたいところです。普賢延命菩薩は四摂智の三昧耶形(仏を表す象徴物)を持つと在りますので、「四摂智の三昧耶形」 、想像では此の「普賢延命菩薩」持物に合致するものが在ると期待しました。

四摂菩薩は 金剛鉤菩薩・金剛索菩薩・金剛鎖菩薩・金剛鈴菩薩でして、その尊名から持物は鉤・索・鎖・鈴との想像は硬いと思われまっす。蔵書の「マンダラの仏たち」で確認できまして、夫々の持物はその通りでした。

この四摂菩薩は曼荼羅理解の内でも一番解り易い処と思います。(衆生を)鉤(カギ)で引き寄せ、索で捕え縛り上げ、鎖で動けないようにします、そしての音で喜ばすと在ります。当然に四摂菩薩のそれぞれの三昧形も持物と同じに 鉤・索・鎖・鈴なのでしょう。

はたして、上の文のように 普賢菩薩ー(灌頂を受ける)→金剛薩埵ー(延命三昧・四摂三昧)→普賢延命菩薩の構図ですので普賢延命菩薩の持物には 是非に 先述の鉤・索・鎖・鈴も含まれていればと期待しました。

上の「仏像図典」の解説の他にも、あるブログ文章に「普賢延命菩薩は頭に金剛界五仏の宝冠をかぶり、二十本の腕を持つ。それぞれの腕には金剛界十六大菩薩と四摂菩薩の三昧耶形(象徴)を持つ」と在ります。

四摂菩薩に付いては別記してありますので、十六大菩薩に付いて調べてみました。十六大菩薩は金剛界曼荼羅大日如来を中心に五仏仏が配置され 中心の大日を東南西北に囲む阿閦・阿閦・無量・不空成就寿の四仏如来たち、さらにそれを囲む「四親近菩薩」たちです。

阿閦如来) 金剛薩堹.金剛王.金剛愛.金剛喜 
宝生如来) 金剛宝.金剛光.金剛幢.金剛笑
無量寿如来) 金剛法.金剛利.金剛因.金剛語
不空成就如来) 金剛業.金剛護.金剛牙.金剛拳

その図像を見ますと菩薩には珍しく持物を持つものが少なく、著名の金剛薩堹の金剛杵と金剛鈴の他には西の無量寿如来に属し聖観音と同じともされます金剛法菩薩が手に蓮華を持ち、般若金剛菩薩とも言われます金剛利菩薩が 左手に蓮華、右手に剣を持っているだけでした。 十六大菩薩は最上位の菩薩で、極めて如来に近いとの見識が在るのではと思いました。
しかしそれで、私の普賢延命菩薩の持を探るという目論見は潰えました。
話しが曼荼羅に入ってしまいましたので、もっと根本の曼荼羅に付いて触れておきます。

曼荼羅には、一般的な「大曼荼羅」と呼ばれる、諸仏の像を絵画として表現したもの他に A.「羯磨曼荼羅」と呼ばれる仏像彫刻で現した立体曼荼羅 B,「法曼荼羅」や「種字曼荼羅」と呼ぶ、1つの仏を1つの梵字で象徴的に表したもの。C.「三昧耶曼荼羅」(さまやまんだら、さんまや-) と呼ばれる 諸仏の姿を直接描く代わりに、各尊を表す象徴物(シンボル)で表したものが三昧耶形でして。諸仏の代わりに、金剛杵、蓮華、剣、鈴などの器物が描かれます。これらの器物を.「三昧耶形」(さまやぎょう)と言い、各尊の悟りや働きを示すシンボルなのです。

そして、その.「三昧耶曼荼羅」に描かれているのが.「三昧耶形」でして先述の延命菩薩の持物が 法具・武器などの普通の法具でなしに.「三昧耶形」と成っているのではとの経緯と成ったのでした。

しかしある本には 「普賢延命菩薩には二十臂のものもあり、そそ手にはいろいろな法具を持つ」と在りました、どうやらそれで良い様です、ことさら.「三昧耶形」ではと 拘る事しなくてくて良かったのではと反省し始めたころ…そんな中在りましたよ!

 
普賢延命菩薩 在りましたよ!これです、多臂(20臂)で複数(四頭)の像に乗って居ます。増益延命の三昧に住する普賢菩薩を言うそうです。
普賢というのはインドではサマンタバドラと呼ばれ、すべてに亙って賢く、しかも善であるという意味で、その内実として幸福、長寿の願いが込められている菩薩です。 それで、普賢延命菩薩 除災、長寿などを祈念する修法「普賢延命法」の本尊と成りうるのです。  

この普賢延命菩薩の持物は調べても見つけられませんでしたが、しかしネット検索で調べるうちに、普賢延命菩薩と同体と見られる大安楽不空真実菩薩の 曼荼羅の所在は、胎蔵界遍知院〔一切如来智印(三角智印) 大智の力をシンボリックに…)の向かって右端に位置するのでして、

               一切如来智印(三角智印)
 【胎蔵界遍知院】          ↓
                                         ↑ 
                                大安楽不空真実菩薩(普賢延命菩薩と同体)

クリックすると新しいウィンドウで開きます   クリックすると新しいウィンドウで開きます
    大安楽不空金剛三眛真実菩薩


儀軌には大安楽不空真実菩薩が普賢延命菩薩であるとありまして、その楽不空真実菩薩の儀軌が見つかりました。

頭に五仏の冠を頂き、二十本の手があり、
右手には  五鈷杵・五鈷鉤・ 箭・弾指・三瓣宝珠・日輪・如意幢・双立三鈷・金剛鉤・金剛索
左手には  蓮華・利剣・八幅輪・舌中三鈷杵・十字羯磨・甲冑三鈷杵・双立利牙・剛拳金剛鎖・金剛鈴  をそれぞれ手にしています。

思った通りに上部掲載の普賢延命菩薩の尊容にほぼ合致と思われます。 上記の持物はほぼすべて写真に見られてると思います。最初に見つけた三鈷2個が並び立つは、「双立三鈷」其のままで良いのですね。唯一 不安でした 舌中三鈷杵 も、形は分からないですが、舌中三鈷杵でのネット検索で 如来舌(舌 中に三鈷杵)を持ちます。」の文章にあたり、ほぼ意味を掴めました。
なお如来舌で検索してみましたら、如来舌菩薩・にょらいぜつぼさつ(梵名:Tathagatajihvaタターガタジフバ). 儀軌に. 左手 舌の三昧耶形を置いた蓮華を持つ。 右手 掌を仰げて胸の前におく。 如来舌菩薩 は如来の説法は常に真実のみ語ることを示すために、如来舌といいます。と在りまして、如来舌を弁舌 巧・爽やかを象徴かと誤解していましたが、常に真実のみ語ることだったんですね

普賢延命菩薩の二十本の手の持物、良く見れば 「仏像図典」の 同尊儀軌の解説の中にも在りましたよ!
『摂無擬経』に普賢延命菩薩の儀軌一節が在ってん其れの紹介がされてます。こちらは原文で、例えば 金剛杵を縛日羅 金剛鈴を金剛鐸 と記していて、安易にここに転載しがたいのですが、概ね 先述の五鈷杵・五鈷鉤・ 云々の持物が書かれている内容が分かりました。

普賢延命菩薩の二十本の手の持物 に辿りつけて 嬉しいです。


普賢延命菩薩の外延を縷々書いてしまいましたが… 

普賢延命菩薩普賢菩薩から派生し、三昧に入る.「三昧耶形」と成った密教系の菩薩像であり、もっと簡単に言いますと普賢菩薩金剛薩堹を合体して 普賢延命菩薩となし、「普賢延命法」(除災、長寿などを祈念する修法)の本尊としてその普賢延命菩薩造像されたものとの簡潔で良かったようです。 

また冒頭の仏像図典」には普賢延命菩薩には東台の二系統の儀軌尊容があり、真言系では20臂像で4頭の白象が支え、天台系では2臂像で3つの頭を持つ1頭の象が支えている。と在りましたが、それは大別で、複雑に色々な像も造像されたようです。


遺作では、Wikipediaに依りますと、絵画の、京都府の松尾寺には国宝の2臂像(天台系)、広島県の持光寺には国宝の20臂像(真言系)のなどの名品があります。また、ボストン美術館には藤末鎌初の3頭1体の象がえ尊を支える天台系の普賢延命菩薩像が収蔵されているそうです。
彫像としては、法隆寺大宝蔵殿(もと金堂安置)の20臂像などがあるが、遺例はさほど多くないそうです。
その様な中、稀少な例で奈良県五條市の常覚寺は普賢延命菩薩を本尊とすると。


冒頭に、普賢延命菩薩はマニアックな尊と決めつけ物言いをしましたが、普賢延命菩薩と尊名を知りまして、手元の本、真鍋俊照「日本仏像辞典」・北進一「仏を知る」や瓜生中「仏像がよくわかる本」、久保田悠羅「密教曼荼羅 如来・菩薩・明王・天」 以上では普賢延命菩薩として項目立がしてあり、 大法輪閣編集部「図解仏像の見分け方」では普賢菩薩の項で文中説明に普賢延命菩薩の解説がしてあります。

斯様にスタンダードな尊でありながら、それまで知らずに来ていました。おそらく仏像仲間の連中は
普賢延命菩薩を知らなかったんだってと呆れて居る事でしょう! 

きっとまだまだ大事な尊を見落として居る事と思います。改めて図像解説の図書を読み返し勉強して行きたいと思いました。
メンバーの一人はもう不要と 新人の方に上げてしまっていたので、この私の失態に感化され、

アマゾンで中古本を破格で再購入されたと伺いま。ご本人も、その本を譲られた後輩も しっかりと再読されたが良いと思われます。

手直し繰り返しつつで、相変わらずの長文成ってしまい、不熟のままの内容ですが・・・、読書、語彙からのネット検索勉強の独学でしたが、密教の世界、曼荼羅世界を覗けたようで本人は楽しかったです。

【完】

コメント(1)
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Mです。
普賢延命の彫刻で国重要文化財指定品は、法隆寺の他には大分市大山寺の平安時代の像と佐賀市龍田寺の康俊作(1326年銘)の2件のようです。「異形の仏像」の表紙の写真は龍田寺の像です。
今はもう存在しないものでは昭和元年に焼失してしまった高野山の像が最も古い作品のようです。(下記のアドレスの写真)

http://www.reihokan.or.jp/bunkazai/nenpyo/kondo-s.html
http://www.artmemory.co.jp/2013/01/post_576.