孤思庵の仏像ブログ

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「祈りの道へ-四国遍路と土佐のほとけ-」展鑑賞

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多摩美大美術館 「祈りの道へ-四国遍路と土佐のほとけ-」に開催初日の22日に行って来ました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
  
仏像愛好の集いメンバーと その一人Saさんのお友達一人も加わり総勢5人でした。
兎に角今までの展覧会とは異質でした。重要文化財は一切なし、ですが それなりに良かったです。

目的の一つが、運慶の時代から 湛慶の時代へと工房が引き継がれる過渡期の作品と考えられる笹野大日堂の大日如来でした、小像乍ら品格のある相貌や 厚く胸板をつくる感じは運慶の匂いがしました。膝から下は少し弱い感じがしないでもありませんが、誰が観ても慶派とわかる秀作で、「雛にも稀な」の感で重文の価値でした。像底に「上げ底式内刳り」が在るも、像は傷み分解状態で発見されてで納入品は一切残されなかった。
 
http://kanagawabunnkaken.web.fc2.com/index.files/images/jpeg10/2014.10.12tamabi2.jpg      http://kanagawabunnkaken.web.fc2.com/index.files/images/jpeg10/2014.10.12tamabi3.jpg

銘記も修理名は在るも作仏師の手掛かりはないなどの、斯様な状況に発見から時を経ても、いまだ国指定重文に及ばぬに 納得が行きはじめました。

しかしこの様式運慶の次世代からその次の慶派は間違いありません、分解状態に近く発見されても欠失は少なく裳先付近のみの新補だそうです。

発見者は本展監修の青木 淳准教授で、同美大就任以前の高知時代の事だそうです。発見後、盗難等を恐れ暫く慶派秀仏の事は伏せられたとの事などお話になり、非常な思い入れが感じられました、そして説明時には「運慶」を連発されて居ました。

1986年に須崎市文化財指定。2009年には県指定文化財に指定され、その年、高知県下の美術館で発発表 これらの事を思うと、国指定文化財の道は容易くないと思い知れて来ました。

その大日が看板ですので、他も文化財指定には遠いらしい、しかしそれがお趣を誘います。修理が及ばず実に在れているのです。それが重文指定を見慣れた身にはかえって新鮮でした。 その荒れ用朽ち様が自分の判断を超えていまして、後述の仏像愛好か家に、どうしてここまで朽ちるのかと聞きますと…水につかったのではとの事でした。その時は私もそうなんだと思いました。後日、修理仏師で地方自治体の友人に聞きましたら、水に浸つてはこの様に痛まないとの事で。雨にぬれる条件がこうさせたと教えてくれました。

図録の写真を観て解説してくれました。神将像の甲冑の裾までの傷みがひどく、其の下の脛の部分は痛んでないのです。これは甲冑部分が家での廂の役を果たし脛は雨水にぬれない部分と成って居たからだと説明してくれました。そうして見ると像に降った雨の流れ落ちる道に痛みが酷いのが解りました。

博物館で展示品を見ているばかりでは気づかない事があるのでした。他にも鎹のさびでの浮き上がってくること、また最初の鎹の適所と、痛んでから、同じ場所に打ちにくい理由で、補修時の鎹の打ち場所の違いなども聞きました。 つくずく展示品の鑑賞と修理者の仏像あしらいには大変な違いが在り、愕然とさせられました。
 
今までは、眺めるのでは無しに読むんだと意気込んで修理補作の箇所を見抜き悦に成って居ましたが、触らなければ わからない事が沢山あるのだと痛感、仏像鑑賞の限界を思い知りました。



展示鑑賞の後に全員が 講演会14:00~16:00 Ⅰ部「祈の道へⅠ・Ⅱ」 Ⅰ部「土佐、祈りの原風景」青木 淳氏(多摩美大 准教授・本展監修) Ⅱ部「霊場住職と語る《四国遍路》」堀井智宏(26番霊場 金剛頂寺 住職 真言宗豊山派 宗務総長)を受講

私はそのあと一人で、展覧会オープンの祝宴にまで参加し、軽食はサンドイッチだけでしたが、ワイン・清酒など5種類ほどが飲み放題でした。

食いしん坊の私としては、珍しくかっつきませんで、 来賓あいさつに立たれた 仏像研究家(奈良 鹿鳴荘 吉祥会・Ku大学古美術研究会OB)と、対談のゲスト先述の堀井師 と質問中心の懇談をさせと貰いました。

入場無料は300円と安く、その上パーティ付きで
何とも気が引ける様でいた。一方図録は2,000円で高い気がしましたが、当日と後日に質問のツールとして第活躍で大満足でした。