孤思庵の仏像ブログ

少し深くの 仏像愛好のブログ続けてます、オフ会に集ってます、貴方も如何?

「高野山の名宝」展 を観て

 
 
 
 
 
  
 
  
 
 
 
 10月19日にサントリー美術館高野山開創1200年記念 高野山の名宝」展 ・会期:2014年10月11日(土)~12月7日(日) に早々偵察に行って来ました。まだ空いていてゆったりと鑑賞できました。

何と言っても目玉は 国宝【八大童子像】(内 6躯が運慶作) でして、画像で親しんだ名作が ガラス越しでなしに間近に見られて感激! このチャンスに色々と角度を変えての矯めつ眇めつでした。
 

 

これは仏像の魅力でなしに人物?(不動明王に随従する尊なのです)肖像彫刻の如くで、通常の仏像鑑賞とは異質の感じです。

純粋な芸術作品として鑑賞したい作品の様です。これらには図像学的にその童子たちの儀軌を斟酌しようなんで気は此のくだりの鑑賞には無です。

因みにそれぞれ童子の儀軌的は 高野山霊宝館【収蔵品紹介:仏に関する基礎知識:八大童子】www.reihokan.or.jp > ... > 収蔵品紹介 > 仏に関する基礎知識  に出ています。

言い古されていますでしょうが、それぞれが、どこかに実在する人物の様に思えてなりません。おそらく運慶も そんな気持ちで恵光童子矜羯羅童子・制託迦童子清浄比丘童子慧光童子の作成には身近の誰かをモデルに考えたのではないでしょうか?
 
 
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そんな風なリアルな顔の造作に反して、髪には毛筋を現さずで省略的なのです。やがて思い当たりました髪がラフに省略だからこそ、此方の見る目が自然に顔に行き、そのリアルな玉眼にと視線がゆくのです。その玉眼の黒目も計算されてます。黒目の縁が赤色で縁どられています。これは金色で彩る神性を表す忿怒系の眼とは相違で、人間性を表してしているようです。見ますに本当に生きた人の眼で感心します。玉眼仏師成るものをかつて知りまして、専門に玉眼を良くする仏師が居たようですが、しかしきっと運慶は細かく指示やダメ出しをした事でしょう。
 
 
 
 

●仏像陳列の中では

国宝【諸尊仏仏龕】
弘法大師 空海が中国から請来されたと伝えるもので、その精巧な彫には驚かされます。  中尊は釈迦如来、左脇侍は宝冠に化仏が付いていますので観音菩薩と解りますが、右脇侍は弥勒菩薩だそうです。仏像はインド風で周囲の人物は中国風ですので中国で作られたとみられてます。
 
 


重文【孔雀明王坐像】快慶作  クリックすると新しいウィンドウで開きます
これまた圧巻です。孔雀の禽獣座と光背は江戸時代の後補で 彩色は極最近に補彩されたようで綺麗で華やかです。
孔雀が毒蛇や毒虫、毒草を食って甘露に変える霊鳥とされ、これを神格化した孔雀明王は、一切諸毒や、貪欲・瞋恚・愚痴という心の三毒も除く一切の害毒を除き浄化する功徳をが在ります。
その持物は右手には(想像上の柑橘系果実、気力を増すので「増益」・蓮華で「敬愛」、左手には吉祥果(魔障を除くという柘榴(ざくろ)で「降伏」・孔雀の尾で「息災」のそれらを持ちます。
 
明王の中では唯一慈悲相・菩薩形です。後補ですが禽獣座の 孔雀の首に掛かる布に感心です。少し左右をずらし程よくかかってます、もしこれが無かったらと想像しますと実に味気ないものと成ってしまい、効いて居ます。後補ですが快慶の創作当時から在ってほしいと思います。因みに他の孔雀明王坐像像や図を見ました中にはその首に掛かる布状はこれだけの様です。


 重文【四天王立像】快慶作 クリックすると新しいウィンドウで開きます
慶派復原の東大寺大仏殿の四天王のサイズの丁度10分の1ですので、その像の雛型と見られています。 『鈔本東大寺要録』と「東大寺大仏殿図」に各尊の大仏師として担当の名が記されてます。
東大寺大仏殿の四天王完成後に快慶は自分担当の雛型を持っていたようで、その像の規格で他3像を快慶の工房で補填してそれを重源の高野山別所に移したものと推測されてまして、為に 雛型だった内一尊は他に比べ出色と云われてます。

是非にキャプションを読まれる前に、鑑賞の眼力でどの尊が出色か見極めてください!
そしてまた東南西北配置の四天王たちの姿態のシンメトリー性と前後配置の妙を確認されてください。


重文【執金剛神】快慶作  クリックすると新しいウィンドウで開きます       
先週金剛院(舞鶴市)に二度目の訪問で快慶作・深沙大将と執金剛神に再開して来たばかりです。高野山でも快慶作の深沙大将と執金剛神が一対です。
この二尊共に護法神ですがその一具一対の訳を知りません、何かに出典が在るのでしょうか、また快慶の考えなのでしょうか?
何れにしましても快慶はかなりの宗教観念を持っていたように思えます。

●目立った仏像は他に霊験譚のある【弘法大師像(萬日大師)】・ 最古級の重文 【金剛界大日】・重文 【天弓愛染】・重文 【不動坐像】2躯ぐらいだったと思います。
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仏画は沢山出てましたが、仁王会の本尊五大力菩薩坐像画(現存三幅)が交代で展示され11/3迄が【金剛吼菩薩坐像(画)】
305㎝×238㎝でして、その大きさに圧倒されます。

重文【弘法大師行状図絵】6巻の内1巻展示で、高野山開創にゆかりの「三鈷の 松(さんこのまつ)」逸話 ... 空海が唐から帰国する際、真言密教の布教に相応しい 土地を探してほしいと願いをこめて、三鈷杵を日本に向け投げた (後に高野山の松の枝に唐で投げたあの三鈷杵を見つけ、空海はここに真言密教の道場を開くことを 決断・・・)の三鈷杵を日本に向け投る場面の絵を見付けました。
尚、別に空海請来と云われる五鈷鈴・独鈷杵・三鈷杵・五鈷杵などの展示も在りました。

http://marukado.net/201003-/kouya07_44  http://marukado.net/201003-/kouya13re94 http://marukado.net/201003-/kouya089993
 
 

 
 
 
●文書類では

国宝【聾瞽指帰】 クリックすると新しいウィンドウで開きます
若き24歳 空海の身内宛ての出家宣言の書「三教指帰」の 自筆元本の『聾瞽指帰』 その冒頭には蛭牙公子、兎角公、亀毛先生、虚亡隠士、仮名乞児の5人の名が書かれているのが読めました。

●工芸品では

国宝【澤千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃】クリックすると新しいウィンドウで開きます
平安時代の作品で我が国の漆芸史上を飾る貴重な品です。





●11/2(日) 14:00~15:30には 「高野山」展 記念講演会II「高野山と運慶・快慶」 (申込は締切ました)講師:山本 勉 氏を受講します。 また同展鑑賞にいくらかでも参考に成ります様にその内容は講演日以降に掲載予定です。



●ウエブでは、「サントリー美術館高野山開創1200年記念 高野山の名宝」展 開催 会期」 www.suntory.co.jp/news/2014/sma0005.htmlが良く紹介しています。ご参照ください。



 
 
 
 
【おまけ】本日の学習 【ガドゥガ】  クリックすると新しいウィンドウで開きます
文殊菩薩不動明王の持つ剣でもあり、. 智恵の 光で無明の闇を切り開き、. 煩悩・怨敵を断ずる 般若の智慧を象徴する法具の「利剣」を「ガドゥガ」と云うそうです。もしかするとチベット密教の呼び名だけかもしれません!