孤思庵の仏像ブログ

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4月30日  川崎 能満寺 聖観音菩薩  開帳最終です

 
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神奈川県川崎市高津区の能満寺の聖観音菩薩立像が、12年に一度の午年ご開帳中です。
開帳期間は2014年4月30日(水)と明日までです。

本日29日に行って来ました。急の召集にもかかわらず、お二方が呼応して頂き、そのほかにも前の日記を見て直接行かれた、お一人ともお寺で逢えて、私たち集いのメンバーの内、計四人が本日拝観しました。

行きまして気が付いたのは、関東地方屈指の古刹「関東の正倉院」とも言われる影向寺へは徒歩10分のすぐ近くでありました。影向寺には数年前の11月3日の縁日 御本尊開帳日に、重要文化財(国指定)木造薬師如来両脇侍像 3躯 - 平安時代を拝観しています。(本日は拝観できないので寄りませんでした。)


本日の目的「能満寺」さんへの参道には聖観音菩薩御開帳の赤い幟が何本も立っていました。御開帳が信仰を感じさせます。着きますと心経を唱える方がお一人いらっしゃる程度で、最終日前の平日すいて居ました。
 
此処も天台宗、、先述の影向寺も、今日の目的の秘仏聖観音菩薩立像が以前に在った付近の岩川村長命寺も現在廃寺であるが能満寺末の天台宗の寺院であったといい、一連天台宗です。

行基によって開創されたと寺伝を持つ創建の年代は白鳳時代末期(7世紀末)で後に郡寺と成った影向寺の系列なのでしょう?調べましたら、影向寺塔頭十二坊(薬師さまを守る十二神の一体づつをまつった脇侍)の ひとつであったのが、戦国時代の天文年間(1532-54)にここに移ったといわれて ます。

当寺の本尊は 木造虚空蔵菩薩立像(県指定重要文化財) 後頭部内面には墨書銘が記されており、鎌倉の仏師朝祐によって明徳元年(1390)に造られたとあります。博識の同行彼女は仏師朝祐は鎌倉覚園寺の薬師三尊像の作者と教えてくれた。
 
一般に鎌倉時代以後の仏像には優品が少なくなるとされているが、朝祐はその中では高い技量で、覚園寺の復興に腕を振るった仏師であった。此処の像も、同様に衣の襞を装飾的に表現するなど南北朝時代の仏像の特徴があるらしい、興味あるところですが、秘仏で 住職新任の時だけに御開帳とで、近年にあったらしいので当分御開帳の機は難しそう。
 
すいていて参拝客は他に数組しか居ない、それでも朱印の受付所や茶の接待の場も設けられ、3人ほどの高齢の方がつめて居られました。 混む時もあるのでしょう、今日は手持無沙汰か お茶をすすめる声がしきりに掛かるので、拝観は後回しになり、お茶をごちそうになる。接待の飴も頂いて、いよいよ目的の聖観音菩薩立像を拝観、お堂の最前列に引き出され、賽銭箱を挟んで入るも間近で、厨子に入るも、大きく開扉されて居て明るく、そこそこ大きさ、像高 101.3cmの像を至近で、つぶさに拝観できます。

像容は前の日記に掲載しました神奈川仏教文化研究所と市教育委員会の専門的見解がありまして、それを読んでの拝観ですので、その見所を意識して拝観しました。 お顔は云われて居る様に、江戸の改変に なおざりが感じられました。おそらく、肉身部も顔の改変の時に漆を懸直しているのでしょう黒居漆が良く残る胸部は衣とはエイジングがまるで異なっています。、あれ木肌の下半身に比べ違和感があります。
 
その胸腹部は、下半身に比べ、細いのですが、その肉付きは良く、木心乾漆と、また時代も違うので引き合いに出してはいけないのでしょうが、なぜか観音寺の十一面さんを思い出しました。

腰から下は胸腹に比べ裙の開きが広く幅広を感じました。の深さは一木で内刳り無しの重さを感じさせる。折り返しの下部分の裙の衣襞は独特と云うより稚拙と不自然を感じる。さらに良くないのは天衣を挟んでの大腿下部から膝の部分に残念を感じる。 三屈法を狙ったのだろうが、失敗し骨格に破綻をきたしている。まるで大腿部で切り離されて、右手方向に平行移動のズレがあるように感じる。

この様に続けて酷評を書くので、全くいけないようですが、価値は認めてます。神奈川仏教文化研究所の「平安時代東国の土臭さ」の評になってしまう。私は、それより地方の遅れを感じます。そういう中央の作との違いを考えるられるので、良く見る仏像とは相違の点です。 

本来の藤原時代彫刻は完成された典雅な風だが、此処の像には地方の稚拙を感じます。神奈川仏教文化研究所の弁の「一見の価値はある仏像だと思われます。」の見方は、「地方性が強い」そんな意味あいなのでしょう。

もう一つの川崎市教育委員会の評では「作行きも優れた本像は東国の平安彫刻を考える上でも貴重な位置を占める。」と言って居ます。作行きも優れたの表現は妥当か奇問に思うが、貞観彫刻の破綻の力強さに通じる様な魅力は在るように思う。 で、一見の価値には賛同する。並の像より面白いは確かに思います。


さあ皆さん、残る御開帳日最後の30日だけです。後は12年後!参拝されますか? 最終日は法要が営まれるとの事でしたが時刻は聞いてません、そちらに興味ある方は tel 045-441-8974能満寺様にお問合せください。


【能満寺】
住所:高津区千年354

アクセス:武蔵小杉駅より東急バス道中坂下行き、鷺沼行き、野川台公園行きに乗車、バス停「能満寺」にて下車、徒歩5分。



★30日御開帳じまいの拝観の方は、ご連絡頂ければ…雨が心配されますので、大井町か大崎駅よりマイカーにて送迎も厭いません。現地駐車場も確認済です。