孤思庵の仏像ブログ

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鎌倉国宝館で瑞林寺 康慶作 地蔵坐像  12月2日まで

 
過日鎌倉国宝館の特別展「古都鎌倉と武家文化」に瑞林寺の康慶作 地蔵菩薩坐像を見てきました。

慶派仏師と言えば「運慶」ですが、その父で師匠の「康慶」も特筆すべき仏師です。

奈良仏師の中で嫡流ではなかったものの、その手腕で慶派を別格の座に引き上げた功績は、運慶もさながら、父の康慶の仏師集団隆盛の貢献度は運慶に匹敵すると思います。

先ずこの瑞林寺の地蔵菩薩坐像の墨跡に早くからの鎌倉武将達の名が在り、両者の早くからの交流が認められ、慶派の隆盛の戦略の基礎を見ます。

余談ですがこの像は奈良で作仏され、康慶は鎌倉に来ていないと見られてますが、早くから時代の為政者鎌倉武士にターゲットを定めた康慶が居無ければ運慶は無かったと言って過言で無いでしょう。

又慶派の大日如来などの宝髻の慶派独特のデザインも康慶の創作ようです。

仏像好きではあった私が、仏像の鎌倉写実に目覚めさせられたのは、この瑞林寺の康慶作 地蔵菩薩坐像でした。

鎌倉写実を感じさせられましたのは、初めて瑞林寺に訪ね見ました、その衣の衣皺でした。残念ながら今回の国宝館でこの度の鑑賞では、あまりその感動はありませんでした。

暫くしてその原因が判りました。衣皺に素晴らしさを感じましたのは特に左手の肘の曲がり角、その衣皺に感じ入ったのでしたが、今回の展示で普通の見方でそれが見えないのでした。

それに気付いてから、無理に右に回り込んで、その左腕の肘の曲がり角の衣皺が垣間見れたのでした。

この展示左手の肘の曲がりが見れない展示は残念です。

ただ仏像を借り受けて展示するだけではダメです。一番その作品の良いところが目立つように展示して欲しいものです。


ですから今回の鎌倉国宝館の瑞林寺 康慶作 地蔵坐像は満足で無いのですが・・・・


その様子が良く見える瑞林寺に出向いての鑑賞をお奨めしたいのですが、場所は辺鄙ですし、檀家のある寺故で、法事を理由に、拝観を断られる事も多く、今回の鎌倉国宝館展示は、実に、大変にありがたい。

ロケーションに難在りではあるが、是非にと鑑賞をお奨めしたいです。

私自身の今回の鑑賞が遅れたことで、この日記のご紹介も遅れ、残る開基が少なくて恐縮ですが・・・是非に鑑賞をお奨めします。そして鑑賞時には右にぎりぎり回りこみ左腕エルボのリアルな衣皺を鑑賞願います。