孤思庵の仏像ブログ

少し深くの 仏像愛好のブログ続けてます、オフ会に集ってます、貴方も如何?

推奨本 「ほとけの履歴書」 東京芸大 籔内佐斗司教授 著

2011年05月11日11:56
 
ある方へ、入門書とし大変に売れている仏像ガールさん廣瀬氏への批判をコメントしてしまいました。

「仏像ガール廣瀬氏に失礼は私のほうです。仏像に対しての考え方は大きく隔たってます。彼女は仏像に勉強は要らない、頭でっかちに成るなといってます。私は好きに成ったら、人物であれ趣味であれ興味でもっと知りたいが普通では?の方です。仏像入門に彼女は大きく貢献されてます。しかしそれに由り仏像が好きに成ったならば、(切り口は自由ですが)勉強すれば、もっと楽しくなるのに・・・・。」と

では私の最近の仏像初級のお奨め版の本もご紹介します。 NHK出版 生活人新書「ほとけの履歴書 奈良の仏像と日本のこころ」です。

実はこの前回の日記 「東京芸大 文化財保存学 保存修理彫刻 研究発表展」見学 はこの本の紹介日記のプロローグだったのです。

僅か220頁の700円の新書です。ところが読んでみたら、数年かけて色々の本を読んで、色々の講演を聴いての、今の私の仏像に関する知識のほとんどの骨子が網羅されているではないですか!。ある意味、悔しいです。

プロローグ: 奈良のこころ、ほとけさまのこころ

第一章: ほとけの来た道 
では仏教伝来と共に我が国に到来した仏像の大陸での東伝の事から 飛鳥仏の事まで・・・良く美術の先生がこれまで・・・!と感服

第二章: ひかりのほとけさま 
では東大寺大仏の像造を引き合いに華厳(蓮華蔵世界)の事のこと、ほとけの種類(如来・菩薩・明王・天)や、その代表的尊各の由来説明を・・・話は原始仏教から大乗仏教までの変遷にも及ぶ。師と仰がれる、故西村公朝的な造詣かとも?

第三章: 漆で出来たほとけさま
乾漆像の技法の意義特徴 著明像の解説・・・ここは先生の本業分野でしょう

第四章: 木彫仏は揚子江から 檀像・代檀像に鑑真の連れてきた仏工が我が国の木彫物に与えた影響などから、時代を経て寄木造り間での長講・・・ここは金子啓明氏の論文が下敷き?良く似た論旨と思いました。

第五章: 南都復興を支えた仏師たち
慶派の活躍時代背景 著明遺作の解説です。
慶派の勉強なら、最近では別冊太陽の「運慶」がお奨め、少し難しいですが慶派の勉強には向いているかと思います。運慶本は山本勉氏が人気で多くの著書「運慶のひみつ」「運慶にであう」などを、私は根立氏の『運慶 天下復タ彫刻ナシ』が良かったです。

第6章: 仏像の技法研究と修復
内容は章題の通り・・・ここは籔内の真骨頂の章で、本題なののだろうが、あまり興味は引かれなかったです。章末には昨年度の保存修理彫刻 研究発表展の模刻作成の大学院生の紹介が有ります。先月4月下旬に、その本年度版「研究発表展」も見学してきたのが、前日記の内容です。

最後に、この紹介本は、本題の第6章の仏像の技法研究と修復
にではなく、そのアプローチ的の前章に価値を見出します。本書いささか、何処かで読んだような内容が多いが気になりましたが、仏像知識の必要をコンパクトに集約されたを賞賛したいと思います。籔内先生をどうのではなく、本書を入門の後の、仏像初級書としてお奨めしたいです。

また仏像本よき本は、あまたあるでしょうが私の知る本の中からは、上記本と、もう1冊とすれば、初級的な、各尊像の図像学的捉え方の方面では、「仏像はここを見る ― 鑑賞なるほど基礎知識」 祥伝社新書 瓜生中著 ¥787 (税込)をお奨めしたく思います。

いずれ中級向けの書籍のご紹介も致したく存じますが、今日はここまでに・・・・