『仏像愛好の集』の分科会 「仏像の基礎勉強会」開催日 8/23(火)
昭和40年(1975)に旧版第1刷が、昭和44年(1979)に新版第1刷が発行になっている。
330頁ほどある、かなりの大冊だ。
観心寺の如意輪観音坐像や、宝菩提院願徳寺の菩薩半跏像などについては、この本にしか書かれていないことがあるという話です。
倉田文作 氏(1918-1983)は、文化庁文化財保護部調査官や文化財保護審議会専門委員、奈良国立博物館長、ユネスコ・ローマ文化財保存修復国際センター理事等の要職につき、特に仏像彫刻の研究と文化財の保護に大きな功績を残した。
厳重な秘仏だった慈尊院弥勒仏坐像を初めて実査したり、絶対秘仏に近い東寺御影堂の不動明王坐像も実査したという経歴がある。
『仏像の見方〈技法と表現〉』 倉田文作の内容は
はじめに
原色図版
第一章 仏像のかたちと名称
第二章 仏像の材質と技法
第三章 各時代の特色と作例
飛鳥時代の仏像
奈良時代の仏像
平安時代の仏像
鎌倉時代の仏像
第四章 特殊な題材の作例
一 京都清涼寺の釈迦如来像
二 善光寺如来について
第五章 仏像の光背と台座
索引
これだけ見ると啓蒙書のような感じだが、むしろ専門書に近いような、踏み込んだ内容も書かれた本である。
取り上げられている仏像についての説明は、実に詳しく書かれている。
「はじめに」の冒頭には
日本の彫刻史は、たいへんおもしろい。というのは、飛鳥時代いらい、やく十三の世紀にまたがる長い歴史が、断続することなしに、各時代の基準になる作品がのこっていて、われわれの先祖たちの美に対する好みや追求のあとを正確にたどることができるからである。勉強もしやすいし、理解しやすい。ほかの美術史の部門にくらべて、彫刻史がいちばんコンクリートで、かつコムプリートであるということができる。
とある。