孤思庵の仏像ブログ

少し深くの 仏像愛好のブログ続けてます、オフ会に集ってます、貴方も如何?

3月31日 [根津美術館]、「びわ湖長浜KANNON HOUSE」に・・・

★「仏像愛好の集in東博」の開催直前の為、掲載順をずらさせて頂きました。」孤思庵

【仏像愛好の集のTakさんからの寄稿文です】

一気に桜満開になり、最寄りの駅前の商店街の桜並木が、パッと色めき立ちました。



3月31日(木)、早朝から陽気に誘われて、外出しました。

以前の「集いの会」ブログにも取り上げていただきました、青山・根津美術館『ほと
けの教え、とこしえに。仏教絵画名品展』へ足を運びました。かねてより出掛けるつ
もりだったのですが、延ばし延ばしにしてきたのですが、ついに展覧会の最終日に
なってしまいました。あいにく仏像の出陳はありませんが、根津美術館常設のフロ
アーにはインドや西域の石造諸尊像が近くで拝観出来るので、それで良しとしまし
た。メトロ半蔵門線表参道駅」までは、電車一本乗り換えなしで30分です。電車は
混んでいましたが、地下鉄降車後、地上に出ると青山通りは清々としていました。2
~3分で根津美術館到着。ちょうど開館時間の午前10時でした。館内は空いていて意
外でした。美術館を通り抜けて、庭園の方に直行する入館者が多かったようです。混
んでいるということだったので、庭園に行くのは取りやめました。

目玉の「兜率天曼荼羅」を後に、先に「絵過去現在因果経」(鎌倉時代作ですが、絵
奈良時代から伝わる古風な様式で描かれているそうです)、「仏涅槃図」(南北朝
時代作)、「當麻曼荼羅」(室町時代作)、「金剛界八十一尊曼荼羅図」(鎌倉時代
作)、「大日如来像」(平安時代作)、「法相曼荼羅」(鎌倉時代作)、「阿弥陀
尊来迎図」(鎌倉時代作)、「釈迦三尊像」(南北朝時代作)、「釈迦如来・阿難
像」(鎌倉時代作)、「十三仏来迎図」(室町時代作)、「諸尊来迎図」(室町時代
作)、奥の展示室では「釈迦三尊十六羅漢像」(常盤山文庫蔵、鎌倉時代作、19
幅)、「山越阿弥陀来迎図」(常盤山文庫蔵、室町時代作)など30点ほどの展示で、
あまり規模の大きなものではありませんでしたが、根津美術館所蔵の仏教絵画を中心
に、見飽きない充実した内容だったと思います。特に、工芸品などの細々とした出陳
が無く、「羅漢像」や「曼荼羅図」などかなり大きめの展示壁いっぱいの大きな作品
が横一列に並んでいるのも、圧倒される雰囲気がありました。適度に明るく作品の鑑
賞には好条件の環境だったと思いました。



さて、会場の半ば、「法相曼荼羅図」の隣りに「兜率天曼荼羅図」(南北朝時代作)
が出陳されていましたが、56憶7千万年後に、この世に現れて如来になる(下生す
る)「弥勒菩薩」が、その時の出番を「兜率天」で待って修行している姿を描いたも
のです。「弥勒菩薩」の兜率天での寿命が4000年であり、兜率天の1日は地上の400年
に匹敵するという説があり、下生までに4000×400×360=5億7600万年かかるという
計算になるが、どういう訳か後代になって、56憶7000万年になったようです。展示場
所の説明書きに「観弥勒菩薩上生兜率天経」という経典の名があり、そこには兜率天
のことが詳しく描かれているのでしょうか?画面の構図は、一般の作例のような正面
から建物を描いているのではなく、斜め上、つまり上空から俯瞰した景色で描かれて
おり、仏画としても珍しいものと云えるでしょう。このような仏画の作例としては、
大阪・延命寺本と本作の2例しかない、ということです。弥勒菩薩の浄土・兜率天
様子を、主殿内初層に坐す弥勒菩薩からは直線的な放射状に強い光明が放たれ、上層
階の窓からは、室内の宝珠からやはり光明が放たれている(揺蕩うようなクネクネと
した)様子が描かれており、画面全体に鮮やかな色調で、菩薩、天人、僧侶、楽人、
踊り子、童子などの人物(?)像が、精細に多くの色調で描かれ、非常に動きのある
躍動感のある活気に満ちた世界の様子を描いています。堂塔の建物、楼閣、回廊に
は、屋根上にシビ、鳳凰、宝珠が載り、金色の楼閣やいくつかの菩薩の坐す殿の観音
開きの様子も、金色の内扉あり、金色の透かし彫りの外開き扉ありで、変化に富んだ
建物や回廊の造りを披歴しています。また、苑池には小さな水鳥が遊び、回廊外の堀
には、竜頭の飾りのついた船に楽人や楽しく遊ぶ人々(?)の姿が画面手前に描かれ
ており、ひとつひとつが小さくしか描かれていないのに、非常に精緻な明瞭な絵柄と
なっています。楼閣の近くに立てられた「播」が風にたなびいている様子まで描かれ
ていて、のんびりした世界が印象的でした。

他の仏画のような、展示壁に吊り下げた展示方法とは違い、特別造りの大きな白板に
曼荼羅図を広げて、上部と下部を固定し、展示場所の奥行きを利用して、斜めに展示
していました。これは、やや痛みのある作品を、下部の軸木の重さで負担がかかるた
め、痛みを和らげるための処置ということでした。情報によると2年ほど前に公開さ
れ、一部修復が行なわれたようです。おかげで作品の下部はガラスケース前方にギリ
ギリ近寄ってきており、かなり接近して観ることが出来ます。もともとポスターやチ
ラシでも分かる通り、作品全体が鮮やかな緑色が目立つ(これは、兜率天の内院の内
庭や回廊外の通り・路地が明るい緑色で描かれている為)ので、全体の照明と相俟っ
て、明るく明瞭な描写の作品が、細部まで際立って明瞭に観る事が出来ました。最上
部の特に小さく描かれた、雲乗の三尊仏まで楽々と観ることが出来、全体に描かれた
極く小さい僧侶、武人、天人、楽人、踊り子、童子の姿は、顔の眼鼻まではっきりと
描かれていることに、本当に驚きでした。

かなり長時間の間、本仏画を観て観察しましたが、内院・主殿のみならず49の外院の
建物などは、一見、構造上も破綻の無い描写がされており、皆金色の建物や苑池に掛
かる架け橋などが克明に描かれています。画構成上は、画面の中心ではなく、少し左
側にズレた位置にある主殿に坐す弥勒菩薩からの光明が、画面全体に行き届いている
明るさがあります。なにより感心するのは、画面全体に亘って施された金糸による文
様(場所により文様のデザインが違う)でした。

何時までも語り尽せないような、膨大な情報と画技量を持った、感動の画像の内容で
した。これが、無指定文化財とは驚きです。どんな時代の環境によって、発願者が誰
なのか、携わった絵師は誰なのか、どういう工房の作業なのか、製作されてからの今
日にいたる仏画作品の経緯、歴史は、所有者は誰だったのか、この仏画の由来の分か
る古文書などは、研究・調査した学者は?など、謎が募るばかりです。



この仏画の前で、芸術系の大学の学生という女性から、「学芸員さんですか?」と話
しかけられました。その後、かなり長い間、仏画の前でいろいろと話しましたが、彼
女は、既にこの展覧会には、4回目の入館だそうで、「兜率天曼荼羅図」が気に入っ
たということで、やはりオペラグラスで長いこと拝観していましたが、話し相手がい
ない、情報が得られない、とのことでした。私から、帰り際に美術館に「質問書」を
出すことを伝えました。展示会場は、最後まで入場者が少なく、静かな雰囲気の中
で、十分観賞することが出来ました。

残念なのは、根津美術館では、今回の展覧会の「図録」が発行されていない、という
ことです。当美術館所蔵品が大多数ではあるが、常盤山文庫からのものもあり、図録
が欲しかった。自分の頭の中しか残らず、その記憶も、すぐに薄れてしまうから。美
術館に「質問書」を提出して、少しでも美術館の持っている情報を得たいと考えてい
ます。ショップでも関連のグッズ類はほとんどなく、展覧会としては寂しい限りでし
た。館内を巡った後、午後2時30分に美術館を退出しました。





青山から上野へ。

午後3時、花見客でごった返す上野のお山を、人混みを掻き分けてやっとのことで
びわ湖長浜KANNON HOUSE」に行って来ました。

びわ湖長浜KANNON HOUSE」は、滋賀県長浜市が、長浜市の東京における、情報発信
の拠点として開設したもので、他の自治体が行なっている「アンテナショップ」とは
違い、物産販売や観光案内、就活などの活動はしていない、ということでした。「湖
北」である長浜市は、土地柄130体に及ぶ「観音菩薩像」その他の像が伝わる「観音
の里」として知られ、多くは戦乱の社会を、地元農民や住民によって権力者におもね
ず、信仰として地道に、営々と守り続けて来た仏様の歴史があります。

地下鉄上野駅を出て、京成上野駅の「不忍池」側の通りに入ってすぐの、西郷さん像
のすぐ下のビジネスビルの1階で、扉一つの狭い入口です。受付の奥に、部屋全体が
黒い壁で反射を防いだ地味な造りで、地元産という「檜材」の無垢の柱を間隔を開け
て並べた透かし壁で仕切られた『観音堂』があり、「不忍池」側のスペースには、
テーブルと壁際の黒いスツールが置かれ、乳白色の落ち着いた色調の床になっていま
す。テーブルの上には、長浜や湖北の仏様に関する刊行書籍が幾つか並べてあるだけ
のギャラリーでした。お客様は、退出する最後まで、誰も見えませんでした。ギャラ
リーの窓の外はすぐ「不忍池」と「弁天島」が望め、徳川時代寛永寺の開祖・天海
が、不忍池を造る時に、「琵琶湖」と「竹生島」を模したという話しを聞いたことを
思い出しました。今は花見客と場所取りで賑わっていましたが、普段はのんびりと不
忍池を眺められる落ち着いたすてきな場所になるのでしょう。女性職員が2人でオー
プン(3月21日・月・祝)以来運営しているということでした。檜材の無垢の柱で仕
切られたスペースには、「琵琶湖・竹生島宝厳寺聖観音菩薩立像」(蓮華台座
付)が、1体のみガラスケースに安置されており、5月下旬までは、此処で拝観が出来
るようになっています。うれしいことに、お寺のご好意ということで、職員から「今
回は写真撮影OK」と聞き、カメラを構えてしまいました。すぐさま職員の方が、窓際
のスクリーンを下してくれました。今後は、長浜近辺のお寺から観音様が2~3か月ご
とに1体ずつ、この「観音堂」にお出ましくださる、との予定だそうです。ただし、
私の好きな「黒田観音寺」の仏様はデカ過ぎて無理だそうですから、芸大で拝観する
こととします。ハウスの壁にはいくつもの仏様の写真パネルが掛けられており、ハウ
スすべてが観音様という感じでした。午後5時になるまで、職員の方とおしゃべり。
職員でも鶏足寺や石道寺に出掛けていない、とのことを聞いたり、東北地方のお寺を
巡りたい、などのお話しを聞きました。芸大での「観音の里の祈りとくらし展Ⅱ」に
ついても話しをしました。



びわ湖長浜KANNON HOUSE」

営業時間:10:00~18:00

休館日: 毎週月曜日(月曜祝日の場合はその翌日)/年末年始(12/29~1/3)

電話:  03-6806-0103(代表)



びわ湖長浜KANNON HOUSE」公式HP: 

http://www.nagahama-kannon-house.jp/   



「観音の里・長浜」HP: 

 http://kitabiwako.jp/kannon/



東京芸術大学関係」HP: 

http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2016/nagahama2/nagahama2_ja.htm



「祈りの里の祈りとくらし展Ⅱ‐びわ湖・長浜のホトケたち‐」展 概要、出展リス


 http://kitabiwako.jp/kannon/k_news/?post_id=26019



東京芸大美術館で開催予定の「観音の里の祈りとくらし展Ⅱ‐びわ湖・長浜のホトケ
たち」展覧会

会期: H28年(2016年)7月5日(火)~8月7日(日)10:00~17:00

月曜休館: (ただし7月18日は開館)、7月19日

東京芸術大学大学美術館 本館展示室3

観覧料:未定

【以上 Takさんからの 寄稿文です】





【コメント】

Takです。
「KANNON HOUSE」と芸大サイトのURLを紹介して、アドレスを文章の下にに記載していましたが、ブログ画面では抜けてしまいました。{KANNON…」のサイトはかなり手を掛けたビジュアルな構成になっており、芸大のページは出展リストまで発表されています。申し訳ありませんが、各自検索をお願いします。削除
2016/4/1(金) 午後 0:30[ tak***** ]


 【Takさんからのコメントを受けて!】

孤思庵です。
メールをコピーし、此処のブログに転載した際に、落としてしまった様です、再度UPしてみました。
当初は不備で、済みませんでした。どうやら できた様です。今では何で落としたか??ですが・・・、もしかしたらメールが長文の為,受診画面では省略されてしまっていたのかもです。
又は、文字色を黒に編集の際のミスかもしれません。とにかく確認が甘くて、済みませんでした。
m(__)m」孤思庵
2016/4/1(金) 午後 午後3;45時頃