十一面観音
法華寺 十一面観音
十一面観音、梵名エーカダシャムカ は、仏教の信仰対象である菩薩の一尊。観音菩薩の変化身の1つであり、六観音の1つでもある。頭部に11の顔を持つ菩薩である[1]。梵名は「11の顔」、「11の顔を持つもの」の意。
概要
十一面観自在菩薩心密言念誦儀軌経によれば、10種類の現世での利益(十種勝利)と4種類の来世での果報(四種功徳)をもたらすと言われる。
十種勝利
- 離諸疾病(病気にかからない)
- 一切如來攝受(一切の如来に受け入れられる)
- 任運獲得金銀財寶諸穀麥等(金銀財宝や食物などに不自由しない)
- 一切怨敵不能沮壞(一切の怨敵から害を受けない)
- 國王王子在於王宮先言慰問(国王や王子が王宮で慰労してくれる)
- 不被毒藥蠱毒。寒熱等病皆不著身(毒薬や虫の毒に当たらず、悪寒や発熱等の病状がひどく出ない。)
- 一切刀杖所不能害(一切の凶器によって害を受けない)
- 水不能溺(溺死しない)
- 火不能燒(焼死しない)
- 不非命中夭(不慮の事故で死なない)
四種功德
歴史的由来
日本での信仰 雑密とは、真言密教や天台密教が成立する前に、奈良時代にはあったという初期の密教です。雑密・純密をそれぞれ大まかにインド密教の前期・中期に対応させることが多い。
十一面観音は、密教系の尊格であるが、雑密の伝来とともに奈良時代から信仰を集め、病気治癒などの現世利益を祈願して十一面観音像が多く祀られた。観音菩薩の中では聖観音に次いで造像は多く、救済の観点からも千手観音と並んで観世音菩薩の変化身の中では人気が高かった。
伝承では、奈良時代の修験道僧である泰澄は、幼少より十一面観音を念じて苦修練行に励み、霊場として名高い白山を開山、十一面観音を本地とする妙理権現を感得した。平安時代以降、真言宗・天台宗の両教を修めた宗叡は、この妙理権現を比叡山延暦寺に遷座し、客人権現として山王七社の1つに数えられている。
像容[編集]
通例、頭上の正面側に柔和相(3面)、左側(向かって右)に憤怒相(3面)、右側(向かって左)に白牙上出相(3面)、背面に大笑相(1面)、頭頂に仏相を表す[3]。
日本では、奈良時代から十一面観音の造像・信仰は盛んに行われ、