孤思庵の仏像ブログ

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Takさんの投稿  先日、奈良へ出かけた時の、様子

【Takさんの投稿 】

先日、奈良へ出かけた時の、様子をご報告します。少しでも出掛けた気分になっていただければ幸甚です。
 
923日(土・祝)、雨上がりの曇天の中、いつものように午前6時新横浜駅始発の新幹線で、京都駅に午前8時、JR京都線に乗りかえ「高の原駅」到着。こちらでも上空には厚い雲が垂れており、今にも雨が降りそうな雰囲気でした。駅前は大手スーパーや電気量販店の大きなショッピングセンターが広がっており、駅前の広々としたロータリーから、「奈良大学」行きのバスに乗車すると、すぐに発車しました。附近は、奈良市ベッドタウン、大学や高校などのキャンパスに近く、あの有名になった「東大寺学園」(以前の学校は、現在「東大寺ミュージアム」の場所にあったはずです)や、「奈良大学」の済々としたキャンパスが広がります。ほんの10分足らずで奈良大学キャンパスの正門バス停に着きました。
ゆったりとした通りからすぐに大学構内になり、先々に制服・制帽のガードマンが立ち、ひとりひとりが朝の挨拶を、律義にもいい加減年食ったおじさん(私のこと)に、声をかけてくれます。幾つもの個性的な建物が並び、案内版には講堂、博物館などの案内があり、分かり易くすぐに足を向けました。構内の様子にカメラを向けながら、まずは博物館へ。まだ9時過ぎということで、閑散とした建物の1階にいろいろな資料とともに、何故か四足動物の骨格が置かれていて、不思議な感覚でした。それでも奥に進むと、「興福寺・阿修羅像・内部構造調査」との看板とともに、展示ケースや壁面の展示スペースには、幾つもの8年をかけて調査・分析した、阿修羅像の謎を明らかにした証しが、展示されていました。そして、ガラス扉を開けた中には、展示の目玉である「心木構造模型」が、ひとつポツンと置かれていました。四周を巡って撮影してしまいました。博物館の本当の開場時間は、ついぞ知らずに終わったが、とにかく9時過ぎには勝手に入り込んでいたのです。周りの展示ケース内に置かれた調査資料や模型などを、勝手に撮影したりしていました。それでもそのうち、幾人かの来場者が現われ、ぶらぶらしていました。もっといろいろと展示物があると思っていたのですが、たかだか10分で観られるくらいで、ほんの僅かで期待外れでした。そんな展示場所に3040分もウロウロと時間を潰していました。あまりにも時間が余ってしまい、気抜けしてしまいました。午後の「シンポジウム」会場は近くの「講堂」ですが、1230分開場とシンポ案内に記載してあったのですが、先着1000名とあり混雑すると思い、余裕を見て12時には会場前に行って、並べばよいと考えていました。10時過ぎには、博物館で言葉を交わした県内の男性(中村さん)と、「かなり早いけれど、会場に行ってみますか」とのことで、講堂へ向かいました。講堂前のレストラン前の広いピロティにあるベンチに腰掛けて、開場受付の準備をしている大学の職員や「朝日新聞」の関係者の動きを横目に、のんびりと二人で話しをしました。本当に午後シンポジウムが行われるのか、と思われるほどに閑散としていました。忘れていましたが、当日は土曜日で祝日です。大学の学生も少なく、平日とは違って閑散としているはずだ、ということに気付きました。
結局は、開場予定時間よりもかなり早く、12時にはホール内に入ることが出来ました。ホールは床面の傾斜が緩やかな、天井の高いシアター形式で、大学の入学式や全学行事に使えそうな本格的なホールです。一緒に入った男性が、ステージのスクリーン映像をコントロールする、PCの設置された中央最前列に着席し、私は中央前から5列目の左端という位置に席をとりました。習い性のようで、何処へ行っても同じような位置に、席を取ってしまいます。各々の座席にはサイドテーブルが付き、聴講の条件は悪くありませんでした。照明も音声も申し分ありませんでした。こんなに大きなホールを持つ大学の学生数はどのくらいなのだろうか?と考えてしまいました。とにかく最近の大学のキャンパスは綺麗で立派です。
当初、出足の鈍かった入場者も直前には、かなり満杯になっており、「さすが阿修羅像のイベントだな」と思いました。私の席の右奥に来た夫婦のうち、婦人のほうから「清泉女子大学の講演会にいらっしゃっていましたね」とのことで、私はまったく知らない方だったのですが、先方が私のことを知っており、声をかけてきました。やはり今日の為に、夫婦で前日から奈良に出掛けてきている、ということでした。聴講は先着順・無料ということで、1000名も入る会場は満杯になりました。2月に東京・有楽町の「朝日ホール」でシンポジウム『阿修羅像を未来へ―文化財保護のこれからを考える―』が開催されたこともあって、かなりの方が、地元ではなく東京などから来ているのではないか、と考えてしまいました。
 
催事の進行は、以下の通りでした。
  1. 開会挨拶: 市川良哉・奈良大学理事長
  2. 基調講演: 「文化財の保護をめぐって」 多川俊映興福寺貫首
3.第一部:  「最新技術が探る阿修羅像」 
        「CTスキャンによる阿修羅像の健康診断」 今津節生・奈良大学教授
        「CTスキャンで阿修羅像の内部を探る」 楠井隆志・赤田昌倫・九州国立博物館
4.第二部:  「CTスキャン調査からの新発見」
        司会・金子啓明・興福寺国宝館長
        「阿修羅像の心木構造と合掌手」 矢野健一郎・仏師・仏像修復家
        「阿修羅像、六つの顔に秘められた製作者の意図」 山崎隆之・愛知県立藝術大学名誉教授
 
先の2月に朝日ホールで開催の「阿修羅像」のシンポジウムを聴講出来なかったこともあり、是非にと意気込んで出かけた催事でした。多川貫首文化財保護の話しは、短時間でしたが含蓄のある話でした。他の講義は、多くの写真やCGなどを活用して、画像中心の講義で、資料やレジュメは説明不足で、一度見過ごした画像は、もう一度戻って説明してもらえませんので、スクリーンを見つめるのに忙しい限りで、メモが取れませんので、あまり参考にならないくらいでした。でも初めての画像と話しの内容に感心しました。なかでも山崎先生の講義は、金子先生のような論調で、聞き馴染んだ感じで、一部納得出来る内容と新知見で、良かったです。講義の内容の性質上、このような画像映写中心の進行になるのかな、と考えてしまいました。
 
*各々の講義の詳細については、別途簡単なご報告を行ないたいと考えています。
 
閉会の挨拶が終わると、1000名もの観客がドッと立ち上がり、ホール後ろの出口に向かうために、前方の通路脇に席を取ったのに、周囲は帰り支度をした観客に囲まれてしまいました。私は、会場の前方、ステージの脇に向かいたいのに、しばらくは観客の流れに逆らうように、一生懸命に前方へ向かいました。そこには、多川貫首、辻明俊執事、金子啓明先生がステージから降りて来ていて、多くの人々と挨拶をしていました。早速お三人にご挨拶をして、短時間でしたが、ステージ脇でお話しを伺いました。かん子先生の出番は司会ということで、ご自分の詳細の講義が無かったことが、期待外れでしたが、シンポ後のステージ脇でのお話しは、つい先日のお話しと同じで、私の感想についてもご理解いただいていたということで、得心しました。金子啓明先生のお話しについては、断片的にはブログ記事にコメントしました。
朝から行動を共にした中村さんが、私がご両人との話しが終わるのを待っていたかのように、一人でいたので、あらかた観客のいなくなった会場を連れだって退出しました。構内のアナウンスで案内されている、大学本館前から「高の原駅」行きの直通バスが、今回のイベントに合わせて運行されていましたが、二人で遅く会場を出たので、もう発車時間に余裕がなく、やむを得ず連れだって歩いて駅に向かいました。彼は地元と云っても、橿原神宮方面在住ということで、それでも何回か来馴れているようで、道順を間違いなく駅まで歩きました。約15分で「高の原駅」へ到着です。広々とした駅前広場には、大きな店舗があるのですが、見渡すと何処も閑散としていて、休日とは思えない感じでした。手前に近鉄線、その先にJR線の駅舎があり、彼が近鉄線利用ということで、私も近鉄線に乗ることにしました。彼とは西大寺駅で別れました。
 
 
2017930日 1030 Tak